2013年1月29日 NET IB NEWS
安倍内閣が金融緩和に続いて、雇用拡大に動き出すのか。「アベノミクス」の仕掛け人、山本幸三衆議院議員(自民党、福岡10区選出)にデフレ脱却と日本経済再生の展望を聞いた。山本議員は第1次安倍内閣で経済産業副大臣、現在は自民党の経済再生本部事務局長を務めている
(聞き手:山本 弘之)
<安倍首相から組閣前日の電話>
――「アベノミクス」の仕掛け人として、年末年始も休む暇がありませんでしたね。
山本 組閣の前日の12月25日、安倍晋三総裁から電話がありまして、「入閣の話か」と思ったんですけど、「党の経済再生本部の事務局長をやってくれ」と言われました。もちろん、「わかりました」と(笑い)。政府のほうでは、甘利明さん(衆院議員)が経済再生担当相をやっており、いっしょに今がんばっています。私は、税調の幹事もやっており、税制改正も含めて、「アベノミクス」をしっかり本物にしなければいけないので、私の大きな責任だと思っています。
まずデフレ脱却ですが、日銀金融政策が最大のポイントで、日銀にだまされないことが非常に大事です。物価目標2%、安倍さんが強く言ったので、日銀も認めざるを得ないと思っているが、細かい話になるとみんなよくわからないと思ってだまされかけるので、そうしないように僕がチェックをかけます。
たとえば、物価目標2%と言っても、何が2%なのか。消費者物価指数(CPI)で見ますが、総合で見るのか、コアで見るのか、コアコアで見るのかによって、違うんですよ。そんな細かいものはみんなわからないから。総合CPIは、生鮮食品、エネルギーもみんな入っている。異常天候で野菜が上がったら上がるわけで、経済実態と関係なしに上がってしまうことがあるので、そんなのはダメ。生鮮食料品を除いたコアCPIが通常使われているのが消費者物価指数。ところが、これも中東で原油価格が上昇すれば上がっちゃうので、それだけでデフレを脱却した感覚になる。エネルギーも除いたコアコア、本当はこれが1番いい。それが日本自体の経済における物価の姿。本当は、コアコアで2%という議論をしないといけないんだが、みんなわからないのでちゃんとしていない。
2つ目は、期間をしっかり決めないとダメということ。「中長期的」というのが日銀の手で、それでは今までと変わらない。いつまでたっても、なるかならないかわからない。どこの国でも、「中長期的」と言えば実際の運用は1年半から最大2年がインフレターゲットの常識。そうでなければ、市場も信頼しないし、責任もはっきりしない。これも押さえておかないとダメだ。安倍さんは「ダメだ」とはっきり言っています。僕が「1年半でないとダメだ」と言ってきたから、その意識があったと思う。それをきちっと押さえないといけない。どんなに長くたって2年、できれば1年半で達成しないと意味がない。
<物価目標、期間、ロジックのごまかし>
もう1つ、日銀は必ず、「金融政策だけではできないんです、構造改革、成長力強化がないとできない」というロジックを使うんですよ。新聞記者はみんな騙されちゃっている。だけど、構造改革、成長力強化は、デフレだろうと、いつの時代でもやるしかない。これが「デフレ脱却に必要だ」というロジックを飲まされたらダメなんですよ。デフレ脱却は金融政策のみでできる。そこを、日銀はすぐ騙そうとする。白川方明総裁は、「成長力がないとダメなんだ」と言っている。しかし、成長力は必要だがデフレ脱却とは関係がない。
日銀は「中長期」と期間でごまかし、構造改革、成長力でごまかしと、ごまかしのテクニックを使うが、そうならないようにきちっと押さえていくのは僕しかいない。ちゃんとやっていきますけどね。
(つづく)