2013年3月29日 The Wall Street Journal
【東京】元大蔵官僚で自民党の山本幸三衆院議員は、安倍晋三首相を強く支持している。そして、15年間に及ぶデフレからの脱却を目指す積極的な金融緩和策を自民党内で最も頑強に提唱した議員の1人だ。黒田東彦新日銀総裁就任以来初めてとなる来週の日銀金融政策決定会合での断固とした行動を市場参加者たちが期待するなかで、Japan Real Time(JRT)は山本氏に新日銀体制や期待する日銀の政策などについて聞いた。
JRT:日銀の新指導部をどのように評価するか。
山本氏:大きな期待をもって見守っている。とくに黒田総裁と岩田副総裁にはわれわれが唱えてきたリフレ理論というのを理解してもらっていると思うので、是非大胆な思い切った政策転換をしてもらって、本物のデフレ脱却を果たしてもらいたい。特に(私は)この20年間デフレ退治の問題で(日銀と)対立してきたから、ようやくそれが芽が出てきたということで、感慨深いものがある。
JRT:日銀は1月に物価上昇率2%を採用することで合意し、黒田総裁は就任会見で2%の物価目標を2年程度で達成するため「何でもやる」と述べた。具体的にはどのような政策が必要だと考えるか。
山本氏:具体的な手段は日銀の独立性の話なのであまり言わないほうがいいと思うが、2%達成を2年でやってくれれば文句はない。ただ一般論でいえば、要するに金利のついている、キャッシュとできるだけ違うような資産を買えば効果がでる。そういう意味では長期国債。それが一番まずやるべきこと。まずはマネタリーベースを思い切って増やすんだと。これが毎月どれくらいずつ買うのかだが、僕だったら例えば毎月5兆円ずつ買って、それを大体160兆円か170兆円くらいまでにする。今までのデータでみると、それくらいいくと大体、期待インフレ率が2%くらいいくということなので、まずそこまでやる。その辺をみながら実際のインフレ率がそれを追いかけてくるから、そういうのがはっきりするまで無制限にやったほうがいいとは個人的には思う。
JRT:このところの円安と株価上昇は実体経済に影響を与えていると思うか。どの程度の水準が適正水準だとみているか。
山本氏:反映し始めていると思う。街角景況感も上がっているし、指標もこれから上がってくると思う。過去のマネタリーベースとインフレ2%目標政策との関係の式から過去のデータで出てくるのは、去年の暮れの計算では株は1万1600円、円は対ドルで1ドル=98円。株はそれ以上上がっているけどね。
JRT:日銀の金融政策の説明責任を強化するために山本氏は日銀法改正を支持しているが、日銀新体制が稼働し始めた今、どのように考えているか。
山本氏:今は新体制ができたので、その実行状況を見極める段階。そして(7月の)参院選が終わって、法律改正が衆参でも出来る状況になればその必要性について議論していく。元々日銀がしっかりやればその必要はない。長期的にみると総裁が変わる度にやり方が変わるのは好ましくないので、次の総裁までにはきちっとインフレ目標政策の法的枠組みを作った方がいいと思う。これから5年間の間で考えていけばと思う。
(Alexander Martin)