2013年9月23日 時事通信
日銀の黒田東彦総裁が3月20日に就任してから半年が経過した。マネタリーベース(資金供給量)を2年で倍増させる「異次元緩和」を導入し、従来の政策を大きく転換した黒田日銀の評価について、安倍政権の 経済政策「アベノミクス」の仕掛け人の一人である自民党の山本幸三衆 院議員聞いた。
-黒田東彦日銀総裁の手腕をどう評価するか。
百点満点だ。金融政策のレジーム(体制)転換をしっかり果たした。まず 円安・株高になり、人々の期待をインフレ予想に変えた。実体経済にも確 実に効果が浸透してきており、これほど見事な景気の回復ぶりはない。 物価に対して受け身だった日銀のカルチャーを、自分たちが責任を持っ て物価を動かすという姿勢に短期間で完全に変えた。
-「2年で2%」の物価目標は達成可能か。
十分、達成可能だ。固定的に2%ではなく、そのプラスマイナス1%の 範囲で安定していくのが一番いい。1.5%を超えればほぼ達成と見ても 構わない。
-総裁は消費増税先送りをけん制している。
デフレ脱却には責任を持つから消費増税は財政健全化の観点からちゃんとやってくれと毅然 (きぜん)と言ってもらって結構。増税による景気悪化を心配する必要はない。デフレは貨幣現象 だ。お金をどんどん出しさえすれば解消する。(増税に慎重な)浜田宏一内閣官房参与はそのことを忘れているみたいだ。 予定通り増税しなければ、海外投資家に日本は本当に構造改革する気がないと思われ、株が 売られてアベノミクスの効果が吹き飛ぶ。
-増税時に日銀は追加緩和すべきか。
政府は補正予算を組むし、追加緩和を少し考えてもいい。(駆け込み需要の反動が出る)来年 4~6月が一番問題だから、そのときは追加緩和的に国債などの買い入れペースを少し速めれ ばいい。結果的にマネタリーベース(資金供給量)が目標の270兆円(2014年末)を超えても構わない。(了)
山本幸三(やまもと・こうぞう)、浜田宏一(はまだ・こういち)