来年10月の消費税率10%引き上げを先送りするよう主張する自民党国会議員が22日、「アベノミクスを成功させる会」(山本幸三会長)の勉強会を党本部で開いた。予定通りの引き上げを狙う自民党税制調査会(野田毅会長)も同日、新たな体制の下で勉強会を開催、安倍晋三首相が判断する年末に向けて両勢力の攻防がいよいよ本格化した。(豊田真由美、水内茂幸)
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「成功させる会」には43人が出席し、左藤章防衛副大臣、衛藤晟一首相補佐官ら政府関係者もいた。
「(再増税は)慎重にタイミングを計るべきだ。特にデフレから脱却するこの時期は危ない」
山本氏はこうあいさつし再増税を牽制(けんせい)した。
講師に招かれた首相の経済政策ブレーン、本田悦朗内閣官房参与は「日本銀行が掲げる『2%の物価上昇』の継続を確信できるまで、再増税は待った方がいい」と述べ、再引き上げの時期を平成29年4月まで先送りするよう求めた。
出席者からも「現在の経済状況では(消費税を)上げるべきではない」(西田昌司参院議員)という発言が相次いだ。山本氏は会合後の記者会見で、4月に8%へ引き上げたことを「円安による輸出の伸びも低調で、大変な誤算だった」と批判。計5回の勉強会を開いた後、11月中に首相へ政策提言する方針だ。
「成功させる会」には、選挙基盤の弱い新人議員が多く参加している。新人の一人は「来春の統一地方選も考えれば、とても再増税できる環境でない」と吐露する。
山本氏は同会を100人規模まで拡大しようと鼻息を荒くしている。
党税調の勉強会はピリピリムードに包まれた。
「いろいろな場所で勉強するのは結構だが、党税調で偏りなく、正面から堂々と議論するのが本来の自民党のご正道だ」
野田氏は勉強会でこうあいさつし、山本氏らの動きに不快感を示した。出席者からは「社会保障財源を確保する上で、再増税は不可欠だ」と予定通りの引き上げを求める声があがった。ただ、西田氏ら増税慎重派も乗り込んだため、乱戦模様にもなった。