政策レポート

ミャンマー・カンボジア・台湾出張報告

 

ミャンマー・カンボジア・台湾出張報告

2014年8月

衆議院議員 山本幸三

7月8日から14日までミャンマーとカンボジアを、そして22日から25日にかけては台湾を訪問してきました。その簡単な出張報告です。

1. ミャンマー訪問は、自民党日本・ミャンマー友好議員連盟(会長は逢沢一郎氏、私は幹事長)としてのもので、衆参国会議員11名、民間人30名の大訪問団となりました。日本は、ミャンマーの古くからの友好国であり、とくに2010年の民主化転換後は、官民挙げての支援体制を組んでいます。そうした中で、その絆を一層確実なものにするために定期的な議員連盟同士の会合を持つことが重要であると考え、この2年間その実現に向けて努力してまいりました。今回、その記念すべき第1回会合がミャンマーの首都ネピドーで開催されたという訳です。ミャンマー側からは超党派で上下両院の47名の議員が参加し、ミャンマー側の関心の高さが窺がえました。ミャンマー側から人材育成や中小企業に対する支援の要請が行われ、日本側からティラワ港の建設・管理・運営を日本企業にやらせてもらいたいことや日本のメガバンク3行の支店開設などの要望を致しました。また、同行した民間グループには技術研修センターを開設しようとしているNPO、ミャンマーでの薬草栽培を考えている企業(新日本製薬)そしてミャンマーにライオンズクラブを創りたいと考えている人たちがいることの紹介をし、ミャンマー側から大いに歓迎されました。最後に、この議連間の会合は今後も定期的に(最低年1回)開催することが合意され、再会を約して大成功の裡に終了致しました。

 

 

2. 議員連盟同士の会合のほか、一行はテイン・セイン大統領、上下両院議長、ソー・テイン大統領府大臣、ミン・フライン農業灌漑大臣、ワナ・マウン・ルイン外務大臣、ウィン・シェイン財務大臣、ペ・テッ・キン保健大臣、コー・コー・ウー科学技術大臣らと次々に会談し、ミャンマーに対する具体的な支援プロジェクトについて詰めの議論を行いました。いずれも極めて有意義な会合で、日本のミャンマー支援がようやく具体的な成果を上げる段階にきたことを実感致しました。

3. 議連としての公式日程が終了した後、11日には私と三原朝彦先生はミャンマーの古都マンダレーまで足を伸ばし、新日本製薬がJICAとともに試行している薬草栽培の試験プラントを見学してきました。また、北九州市が改善に取り組もうとしている浄水場の現場も見てまいりました。さらに、マンダレー州首相のイェ・ミイン氏とも会い、両プロジェクトについての協力方を要請してきました。8月末には、マンダレー市の市長の来北なども決まり、ようやく前進が図られそうです。

 

4. 最後の13日は、私は新日本製薬の後藤社長達が支援しているカンボジアのシェムリアップ(アンコールワット遺跡があるところです。)にある小学校の卒業式に出席してきました。この地域は、ポルポト政権時代に大量の地雷が埋設され、戦後も多くの人が地雷に触れて傷つき、生活に困窮をきたす状況に陥っていました。その現状を目の当たりにした緒方由美子さんという方が「せめて子供たちには教育を」ということから小学校建設に踏み切り、新日本製薬などの企業の協力も得てその後の運営も継続して行っているのです。日本人の善意によって「学ぶ楽しさ」を体得した子供達が目をキラキラさせながら日本語の校歌を歌っているのを聞くと胸が熱くなる思いでした。卒業式には、プノンペンの日本大使館から樋口義弘公使もわざわざ参加して下さり、その模様を大使館のフェイスブックで早速紹介して頂きました。

 

5.  一度帰国した後、22日から25日までは台湾政府の招待で台北に行ってまいりました。台北では李登輝元総統にお会いした他、蕭万長前副総統をヘッドとする経済政策担当チームの方々と直面する台湾の経済問題について意見交換しました。

 

6.  李登輝元総統は92歳という年齢も感じさせないお元気な様子で、3時間に渡って「政治指導者とはどうあるべきか」ということを熱心に語りかけて下さいました。「何としてもこれだけは言い残しておきたい」という気迫で、私に御著書や論文のコピーなどダンボール箱一杯に及ぶ資料まで頂きました。安倍総理の強いリーダーシップを高く評価しておられ、今後の日台関係強化を強く望んでおられました。

 

7.  蕭万長前副総統や陳添枝元経済担当相などとの会議の主たるテーマは、日本とのEPA(=FTA)締結とTPP参加についてでした。今、台湾の最大の問題は、大陸中国との関係です。今年初めの学生による国会占拠事件(向日葵運動)でも明らかになったように、中国との関係が強くなりすぎて経済的に中国に飲み込まれてしまうのではないかというのが、多くの台湾の人々の最大の懸念事項なのです。こうした事態を回避するために、とくに日本との経済関係をもっと確固たるものにしておきたい、それが、日本とのEPA(=FTA)締結に向けた願望です。さらに、米国との関係強化も必要なので、今協議が行われているTPPに台湾としても是非参加したいとの要望です。馬英九総統も既に何度もTPP参加の期待を表明しており、それを早期に実現するために、日本の協力を得たいので安倍総理にそのことを是非伝えて欲しいというのが私に対する要請でした。私から、「日台EPAについては前向きに対応できると思うし、TPP参加希望については、安倍総理にしっかりお伝えする。」と確約してまいりました。帰国後直ちに安倍総理に台湾の強い要望についてきちんとお伝えしたことは言うまでもありません。今後の日台経済関係が堅固なものになることを切望しています。