平成28年11月25日 衆議院決算行政監視委員会
○大串(博)委員 農協あるいは全農というものは、組合法に基づく民間事業です。補助金を受けて、あるいは国庫の出資金なんかを受けて優遇されているわけでもない。法律に基づく、あるいは会社法に基づく一般企業と同じで、それが株式会社であれば、株主というのがいて、株式会社なりの意思決定機構があって行っているのに対して、協同組合というのは、出資者というのがいて、その出資者の意思決定のもとに行われている、こういう民間事業体なわけですね。この民間事業体に対して、規制改革会議がいろいろな意見を言っている。私、行政指導まがいじゃないかと思ったんですね。
というのは、規制改革推進会議の役割は何かなと思って調べてみると、内閣府本府組織令にありますが、「経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革に関する基本的事項を総合的に調査審議すること。」とあります。
ところが、十一月十一日の農協改革に関する意見を見てみると、民間事業体に対して、一年以内に仕入れ販売から撤退しなさいとか、あるいは一年以内に委託販売方式を廃止し、全量買い取り販売方針にしなさいとか、金融事業を三年後に半分にしなさいとか。つまり、これを売りなさい、これを売ってはいけない、売り方は委託はだめです、売り方はこうしなさい、この事業は何年後に半分にしなさい、民間事業体に対して規制改革会議がそういう措置をとるべきというふうに言っている。
山本規制改革担当大臣にお尋ねしたいと思いますが、二つお尋ねします。
規制改革推進会議は、内閣府本府組織令に示されているこの規制改革推進会議のマンデートに照らし、どういった権限でこのような行政指導まがいのことを行っているのか。これが一点。
それともう一点は、これは規制改革推進会議が政府に対してこういう施策をとりなさいというふうに言っているわけですけれども、政府も、御案内のように農協は民間事業体ですから、何がしかの法律なり規制をかけてこういうふうなことをやらせているわけではありません。民間事業体です。政府も、何がしかのことを、こういうふうに半減しなさい、やめなさい、これをやりなさいと言う権限はないと私は思うんですね。規制改革推進会議は政府の何の権限をもってこういうことができると考えてこういう提言をされたのか、山本規制改革大臣の御所見を求めたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 御指摘のように、規制改革推進会議は、内閣府設置法第三十七条二項に基づき、内閣府本府組織令第三十一条により設置された審議会ということでございます。
内閣府本府組織令第三十二条においては、規制改革推進会議の所掌について、規制改革推進会議は、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制のあり方の改革に関する基本的事項を総合的に調査審議すること、当該諮問に関連する事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べることを所掌事務としているところでございます。
以上に基づきまして、規制改革推進会議は内閣総理大臣の諮問に基づいて規制改革を総合的に調査審議しておりまして、今般、そのもとに設置された農業ワーキング・グループが農協改革に関する意見を公表したところでございます。
農協改革については、本年四月に施行されました改正農協法に基づきまして、五年間の農協改革集中推進期間においてJAグループの自己改革が進められているものと承知しているところでございます。
今回の農協改革に関する意見は、前身の規制改革会議による平成二十六年六月の答申以来、農協改革に関し議論、提言してきた立場から、総理の諮問機関であります規制改革推進会議農業ワーキング・グループとして、改革の現状をフォローアップする、そして農協が自己改革によって目指すべき姿を示したものであります。
特に全農は、我が国の生産資材や農産物の取り扱いにおいて大きなシェアを占めておりまして、資材価格や農産物流通の改革を進めていく上で、その自己改革の状況について政府として重大な関心を持って見守っていく必要があると考えているところであります。
本意見は農協に対しての拘束力を有するものではありませんけれども、どのような組織や事業がふさわしいかについては、本意見を基礎として、各組織の実情を踏まえて検討が進むことを期待しているところであります。
○大串(博)委員 今言われたところに核心があると思っていまして、つまり、拘束力を持つものじゃない。規制改革推進会議というのは、何か政府の時代に合わなくなった規制があって、それをなくしていきましょうというのが私は本分だというふうに理解しているんですよ。ところが、今回やられていることはそうじゃなくて、根拠はない、政府としては権限はない、拘束力はないにもかかわらず、こうしてくれ、ああしてくれというのを政府の立場から言っていることになる。これって、古いタイプの行政指導以外の何物でもないんじゃないかと私は思うんですね。
しかも、けさの新聞を見て、私は驚きました。きのうの夜まで、政府・与党の間で今月中に発表される取りまとめの議論がなされていたようでありますけれども、それに対してどうなったかというと、一年以内にこの販売はやめなさいとか、三年以内に半減しなさいとか、一年以内、三年以内とかそういうのはなくなりましたけれども、一方で、農協に対して、数値目標つきの年次計画をつくらせて、それを政府が監視するというような形になっているやの報道があります。
私は、こんな形になったときには、これは一体何だろうと。権限も法律もない中で、こういうことやるという法律がぴしっとあればいいですよ、農協に関して何がしかの規制があるならいいですけれども、権限、根拠、あるいは従わなければならないというベースがあるなら別ですけれども、ないにもかかわらず、年次計画をつくらせて、数値目標をその中に盛り込ませて、政府がそれを確認、監視していく。これって、極めて日本では近年例を見ない、計画経済的なものではないかというふうに思われるんですね。
農水大臣、これからの取りまとめに向けて、きょうはこういうふうな報道が出ていましたけれども、本当にこういうふうな方向になるんでしょうか。一体どういうふうな権限をもって政府はそういうことを行えるんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 私どもの考え方としましては、農協は農業者によって自主的に設立された民間組織であるという位置づけは全く変わりません。その改革は、あくまで自己改革が基本でなければならない、そう考えております。
一方で、我々農林省の農協改革についての立場は、平成二十六年六月に政府・与党で取りまとめました、五年間を改革集中推進期間とする自己改革についてのまとめ、これを基礎としておりまして、そこを強く要請させていただいております。
また、二十七年六月に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、農林省は自己改革が確実に達成されるように促しているところでございます。
さらに、昨年成立しました改正農協法の附則におきまして、改革の趣旨に沿った自主的な取り組みを促進するとともに、五年後の農協改革の実施状況等を見て制度の見直し、検討を行うという立場でございます。
今回、新聞報道にございます数値目標等、こういうものにつきましては、現在大詰めの議論が与党の中で行われていると承知しておりますけれども、最終決定とは聞いておりません。その意味におきまして、私どもは、あくまで農協改革は民間組織の自主的な改革に立つべきものというように考えておるところでございます。
(略)
○小山委員 営農指導事業に大変評価をいただいて、元協同組合グループ職員出身者としては大変ありがたいなと思っておりますけれども、明確にお答えいただかなかったところもあるかなと思っております。
私は、営農指導事業の赤字をいわゆる信用、共済以外の経済事業で黒字にするというのは、今、八割が赤字の状況です。ということは、買い取り販売とかで今、規制改革会議からも出てきましたが、非常にリスクの大きい取引をして、そこで営農指導の赤字を補おうとすると、これは農協の協同組合としての経営にとって大変リスクが大きいと思うんですね。それをやって、前回農水委員会でも申し上げましたとおり、森林組合が、組合は違いますけれども、赤字を出したというような経緯もございます。
私は、販売事業はもちろん黒字でなければいけない、収支とんとん以上でなきゃいけない、購買事業もある意味では本来業務ですから黒字にすべきだ、生活その他事業も、その他ですから、ここで赤字にして経営の足を引っ張っちゃいけないと。だけれども、営農指導の赤字というのは、ここだけで黒字にしようとしたら賦課金をたくさんお願いするということになりますから、結局組合員さんへの負担が大きくなって、組合員さんの所得を向上させる、農家の所得を向上させるということと矛盾することになるんですね。
ですから、営農指導の赤字は、それは組合によっていろいろありますけれども、信用、共済も含めて総合事業体として最後で帯を結べればいい、私はこう考えています。実は、去年、林大臣に伺ったときにはそういうことで、農協法も問題ないということでありました。ですから、これから規制改革会議からいろいろなことが出てきますけれども、信用、共済事業も含めて黒字確保でいいんだと。
それから、もうきょうは質問を落としますけれども、信用事業譲渡は削除ということではありますが、これを譲渡したら、代理店収入で黒字を確保すればいいんだったら、本来の、経済事業の販売、購買は少なくとも黒字にしようということと逆行すると思うんですね。逆行するというか、今と余り変わらないと思うんですね。
ですから、どうかそこのところは、余り過度に買い取り販売、買い取り販売と言って、リスクが大きいものになって、かえって赤字を出しちゃったと、だけれども買い取り販売をする農家のためだけの農協ではありませんから、まさに私たちは特に強調しているんですが、地域インフラとしての役目も果たしている、地域に貢献をする協同組合という側面もあろうかと思いますので、ぜひそこは、過度なリスクをとる体制にならないように、山本農水大臣からも御指導いただきたいと思っております。
それと、きょうは山本幸三大臣にもお越しをいただきまして、ありがとうございます。
規制改革会議のメンバーの選定について、これも農水委員会で少し伺ったんですが、伺いたいと思いますが、これはどういうふうに選んでいるんでしょうか。特に、今回、座長の金丸さんとか、私が前回ちょっとおかしいんじゃないかということで指摘をさせていただいた本間正義さん、これは今まで十回メンバーが入れかわっている、そして二回の政権交代を経て、本間さん一人が十二年間にわたって委員である。
以前、農業あるいはこういった農政改革と言われているものに知見を有する人がメンバーになるんだというんですけれども、そういう人はたくさんいるはずなんですね。何でその中で本間さん一人が十二年間も選ばれ続けたのか。このことについて、ぜひ、今回選ばれた理由を教えていただきたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 規制改革推進会議の委員につきましては、すぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命することとされており、委員十四名が、現在、内閣総理大臣より任命されたところでございます。
九月十二日に開催されました第一回規制改革推進会議におきまして、規制改革推進会議のもとに農業ワーキング・グループが設置され、前規制改革会議の農業ワーキング・グループの座長を務めた金丸委員が、農業の規制改革を引き続き推進するという継続性の観点から、農業ワーキング・グループの座長として大田議長より指名されたところでございます。
また、規制改革推進会議の専門委員については、専門の事項を調査させるため必要があるときに、当該専門の事項に関し学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命することとされております。
本間専門委員については、大学での研究を通じて農業の諸分野に精通し、また長年にわたり農業分野における規制改革に携わっていただいていることから、農業ワーキング・グループの専門委員に任命されたところでございます。
○小山委員 本間さんのような知見のある方、長年研究している方、例えば考え方は違いますけれども鈴木宣弘さんとか、あるいは私も知り合いですが堀口健治さんとか、本間さんの師匠の生源寺さんとか、いろいろな方がいるんですけれども、やはり十二年間も本間さんがずっといて議論をリードしているというのは、私はちょっとどうかなと。やはりこれは問題がある。
継続性ということであれば、金丸さんが入っているから、そこでいいと思うんですね。やはりこれは、一つの委員会としてずっと続いているわけではないわけですから、見直していく必要がむしろあるのではないかと思っておりますのと、ここからは自民党の先生方はなかなかお話しできにくいと思いますのであえて申し上げますけれども、安倍総理が任命しているんですよ。
ですから、これはいやしくも、ほかにもいろいろな、もうきょうは時間がないので言わないですけれども、与党から相当、自民党さんの中でも不満が出た、おかしいんじゃないかと信用事業譲渡は削除された。だけれども、もともとは、信用事業を三年間で半分にせよというような、かなり無理な、これはシステム的に無理なんです、そういう提案をもともとされていた。
私は、こういうはちゃめちゃなと言ったら怒られるかもしれませんけれども、提案をしたというのは、これは大体、規制改革会議のメンバーを選べばどういう方向に議論が流れていくかというのは予想がつくんです。だって、十人ぐらいしかいないメンバーですから。大体どういう主張をしているかということは、その方の著書とか記事を見ればわかるんですよ。それでこういう意見が出てきた。
まさにこういう意見が出たということは、これはもう総理の任命責任です。僕は、そのぐらい今回出した内容というのは与党の中でも批判がありました、そのとおりだと思っています。だから総理に何かしろと言うところまでのものではないかもしれないけれども、やはりここは、こういうメンバーを選んだ、こういうような意見が出てしまった、私はこれは総理の責任というものもあると感じていただきたいと思います。
それと、ちょっとこれは通告していないので、御無理でしたら構いませんけれども、農協改革ということでやっている、そういう中に農業の専門家が入っている、これはわかります。それから、いろいろな規制改革会議のたてつけ上、農業の専門じゃない方にも入ってもらって、ほかの部門からも意見を聞こう、これもわかります。
農協ですから協同組合ですけれども、協同組合の専門家というのが一人も入っていないんですね。これは、どうして協同組合の専門家を入れようというような話にならなかったんですか。もしお答えいただければ、お願いします。
○山本(幸)国務大臣 規制改革推進会議のメンバーは十四名で、識見を有する方から内閣総理大臣が任命する。これは、私と総理と官房長官で御相談して決めさせていただいております。
この十四名が本委員であります。したがって、決定権を持つのはこの十四名の方々でありまして、有識者の中から決めるということであります。
ただ、議論をする場合に、もっと専門的な知識のある人から話を聞いた方がいいじゃないかということで、それぞれのワーキング・グループでまた専門委員というのを選びます。本間さんはその一人ですね。
そのほか、農協、団体等については、団体の皆さん方を必ず呼んで意見をしっかりと聞いて、そうした上でワーキング・グループなりの意見をまとめていきますので、それはそういうところで意見をしっかり聴取しているということであります。
○小山委員 実は私は、この規制改革会議とか審議会というのは民主党政権のときから大変関心を持っていまして、今と同じような話を当時の園田政務官に質問したことがあります。そのときにも、協同組合の専門家という観点からの人は入れていなかったという話もあったり、人数があのときはふえたんですけれども、そうだ、水産が足りない、小松正之さんを入れようとやってみたんですが、ほとんど小松さんの意見が通っちゃうんですよね。ほかの人は専門じゃないものですからわからない、専門以外の委員が。
そういう形で、かなり影響力を持つ結論が出てくるような委員会の議論がなされていくというのは、非常にこれは慎重にメンバーを選んでいただかないと、後で取り返しがつかないような結果の方向に動いてしまうこともあるかと思いますので、ぜひ次回はそういったことも御留意をいただければと思っております。
それと、規制改革推進会議農業ワーキング・グループが提言した中で、全農が委託販売を廃止して買い取り販売にすると。今回も、新聞報道によりますと、数値目標で段階的にやっていくんだということで話をしているようですけれども、買い取り販売化することで農産物の販売価格が上がっていくと言っている、これの規制改革会議の根拠というものは何なんでしょうか。例えばそういう先行事例があるとか、あるいは具体的なモデルがあるとか、そういったものがあるんでしょうか。
例えばアベノミクスでしたら山本幸三大臣がお得意のところだと思いますけれども、金融緩和をすることによって貨幣の価値が下がる、だから貨幣の価値が下がる前に消費者が行動しよう、こういう理屈だったと思いますけれども、こういったようなものが、私はアベノミクスのところは考え方が必ずしも一緒ではないんですが、どういう考え、根拠に基づいて、委託販売を買い取り販売にすると農産物の価格が上がるというような結論になったんでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 農業ワーキング・グループの基本的な問題意識は、農家の競争力を高めて農家の所得を少しでも上げたい、その場合に、コストについてはできるだけ下げて、そして販売する場合の価格はできるだけ上げるというようにしていくことが基本だということで議論をしているわけであります。
その際に、現状の全農が行い得る農産物販売事業というのは、組合員やその所属農協からの無条件委託販売が基本ということになっていると認識しております。そうすると、必ずしも農家にとって本当にいい価格で買ってもらえるというような状況が常に存在するとは限りません。むしろ農家にとってはもっといい販売先があるかもしれない、そういう競争的な状況をもたらすことによって農家の所得が上がるという問題意識でアプローチしていると思います。
したがいまして、この委託販売を買い取り販売に転換することになりますと、全農がみずから買い取ったら、全農の方に今度はリスクが生じるということになりますから、逆に全農の方はもっといい値段で売れるところを探さなければやっていけないということになりますから、そういう意味で、そうした競争というか努力をするインセンティブが働くという形で物事を考えているわけであります。
その意味で、やはり農家にとってはできるだけ選択肢が広がる方が基本的に所得も上がる可能性があるということで、こうした話になっているんだと思います。
○小山委員 一番の目的が農家の所得向上ということもわかりました。
しかし、もともと規制改革会議から出ていた十一月十一日の提言では、委託販売はとにかく全廃だ、買い取り販売に全部移しなさいということだったんですね。だけれども、物によっては、生鮮食料品とか、早期に集めて早く全部販売しなければいけないというようなものとか、買い取り販売になじまないものもあったりいたします。
そういう中で、全て買い取り販売というのは私はやはり行き過ぎだったのではないかと思っておりますし、委託販売であれ買い取り販売であれ、買い取り販売だって全農なり協同組合の維持のためのランニングコストがゼロというわけにはいかないわけですから、当然、人件費や施設費や、かかる固定費の部分というのは、委託手数料という形ではなくて利益という形で上乗せになるわけですね。ですから、買い取り販売をやったとしても、この部分をどうするか、これがゼロというわけにはいかないわけですから、実は、委託販売でも真剣になって販売をする、組合員さんの所得を上げるんだという職員のモラールというものがあれば、結果は同じだと僕は思っております。
ただ、物によって買い取り販売の方がよければ、それは買い取り販売をやっちゃいけないということでもないですしね。でも、もともと出ていた発表の中で、全て買い取り販売にしなければいけない、全て買い取り販売にすれば農産物の価格が上がるんだというのは、それで農産物の価格が上がる、それで農家の所得が上がるというのは、根拠として私はかなり弱いところがあったのではないかと思っております。
最後に、規制改革会議は個々の農家の所得がふえることとか農業の成長産業化というような産業政策については提言しているんですけれども、その結果として農村とか中山間地域の将来についてどのようなビジョンを持っているのか、大変時間が少ない中で恐縮ですが、お答えいただきたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 会議としてまとまった考え方を出しているということではないと思いますけれども、基本的な問題意識としては、先ほど申し上げたように、農家の競争力を高めて所得を少しでも上げるようにやっていこうというのが基本の考え方であります。
したがって、中山間地等において努力している生産者も含めた農業者が報われるようにする、そういうことを基本として考えているところでございます。
○小山委員 最後の答弁をいただきましたが、でも、農業政策なりいろいろな政策というのは、一つの産業政策の面だけから考えるべきではないと思うんですね。それは、その人たちの生活にとっては生活の一部、重要ではあるけれども一部でしかないと思います。
こういう中山間地域がどうあるべきなのか、地方がどうあるべきなのかという視点がない中で、また協同組合も、産業政策の道具としてだけではなくて、地域で果たしている地域政策、よく佐々木隆博議員がそんな話をしますけれども、そういう側面も含めてやはり議論していただかないと、一部だけの見方に偏った議論になってしまうのではないかということも大変危惧をいたしております。
今後、そういったことも含めて御検討いただくことを望みまして、質問を終わらせていただきます。
(略)
○後藤(祐)委員 要支援一、二の市町村事業への移管に伴っては、私の地元ではサービス提供の縮小などがちらほらやはり聞こえます、ぜひ慎重に進めていただきたいと思います。
最後に、お金の無駄遣いを指摘していきたいと思います。
配付資料一ページ目から、これは二十六年度の会計検査院の決算報告の一部なのでございますが、二ページ目にいわゆる地域活性化関係の交付金がたくさん並んでいます。これらについて、三ページ目から四ページ目にかけて線を引いてありますけれども、緊急経済対策で補正予算で積んだお金をそれより前の年に使ったお金の借金返しに使っていた、地方債の償還や過年度の債務負担行為に基づき締結した契約の契約代金の支払いに使っていたと。
つまり、補正予算というのは、景気対策として、そこから後、事業を起こすためのものですよね。過去もう既にやってしまったものは変わらないわけですから、その借金返しにこんなものを使われたら、経済効果としては全くプラスアルファがないですよね。これはさすがにおかしいんじゃないかという指摘なのでございます。
特に、そこの事例一というところで、山口県は、この漁業の使い方自体がいけないと言っているんじゃないですよ、これは過去において正しい支出があったんだと思いますが、借金返しをこれで四億四千九百五十万やっている。これはさすがにおかしいと思うんですね。
ルールがどうなっているかといいますと、七ページを見ていただきますと、こういった交付金についての交付金要綱というのがありまして、線を引いてあるところ、緊急総合対策に対応した総合的な対策を実施し、もって地域活性化に資するために必要な事業にしかお金を使えないはずなんです。借金返しはこれに当たらないでしょう、どう考えても。
山本担当大臣、これはこの交付要綱の線のところには当たらないと思いますし、当たらないのであれば補助金適正化法違反とも言え、国に返納すべき事案だと思いますが、いかがでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 経済危機対策等に関し実施した過去の交付金について、例えば平成二十一年度補正予算で措置した交付金、地域活性化・公共投資臨時交付金については、地域における公共投資を円滑に実施し、地域活性化の速やかかつ着実な実施を図る事業を対象としておるところであります。
これらの交付金を活用して行った事業のうち、地方債の償還や過年度の債務負担行為に基づく事業、整備または改修された施設等が短期間で休止等していた事業については、会計検査院の御指摘にもあるとおり、基本的に不適正なものであると認識しております。
御指摘の事業については、個別事業に応じて、関係法令や要綱に即して、著しく不適切なものでないか、事業の適切性を精査する必要があると考えております。
○後藤(祐)委員 一回時間が過ぎちゃっているから今から返せと言いにくいということなんだと思いますが、こういうのをびしっとやらないと、こういうひどいのはなくならないですよ。
配付資料の六ページ、では事後のてんまつはどうなったかといいますと、事務連絡を発して地方公共団体へ周知徹底した。こんなのじゃ、もらった者得じゃないですか。
財務大臣、最後に伺います。
悪質と言っていいと思います、少なくとも不適正な使い方だと思いますが、これは補助金適正化法違反だと思います。こういったことをやったところに対しては、いろいろなやり方があると思います、同じ項目あるいは、これはちょっと別の名前の交付金になっておりますが、その交付金の後の査定に反映させるですとか、あるいはほかのお金の問題もあると思います。ぜひ、もらい得にならないように、不適正なことをやったところに対しては、財務省として、あるいは地方活性化担当大臣としても、ほかの省もそうです、厳しく当たるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○玄葉委員長 麻生財務大臣、時間が来ておりますので、答弁は簡潔で結構です。
○麻生国務大臣 簡潔じゃ困るのは向こうなので。野党に対する配慮も考えぬといかぬと思っておりますので。
個別の事業について申し上げるわけにいきませんので、一般論として申し上げれば、補助金、交付金というものにつきましては、御存じのように、根拠法令とか交付金のいわゆる内容というのは、補助金事業というものを別のものに使って遂行した場合は補助金等適正化法違反、法律違反ということになりますので、補助金等の交付決定の取り消し、補助金の返還、罰則の対象となります。
今言われていましたように、今後はこういったような使い得みたいな話にならないようにしろという話なんですけれども、基本的にどのように予算が使われどのような成果を上げたか評価とか検証とかをすることになるんですが、予算のさらなる効率化をしていく上で、これは極めて重要な要素の一つになります。
いずれにしても、今こういったものは、後藤委員の御指摘がありましたように、交付金の適切な執行を図る上には、予算編成を来年度やっていくに当たりましての取り組みとか、それから主務官庁においてこれはされるんですけれども、その交付に係る審査などを通して我々としてはきちんとチェックをしていくということになりまして、担当しております主務官庁がまずは第一、その次に、予算を査定するときにこれは去年と違うのではありませんかと申し上げるのがこっち、そういう段階になろうかと存じます。
(略)
○玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせをすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十五分散会