平成28年11月10日 参議院内閣委員会

 

 

平成28年11月10日 参議院内閣委員会

○国務大臣(加藤勝信君) 実現会議の構成については先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
あるとき、労働界から出ておられる連合の会長ともお話をした中で、会長からも、別に一人だからということではないと、それから今申し上げたその後のプロセスについてもいろいろなことがあるんだと、こういうお話がございました。
ただ、今御指摘あるように、経営者側、そして働く側の方々からも含めて様々なお話も伺いながら議論を進めていくというのは非常に大事だということで、先般、この実現会議とは別途に、総理を囲むという形でのいろいろお話をしていただく車座トークみたいなものもさせていただいておるところでございます。
また、今後、そうしたことも含めて、今委員からも御指摘ございました、様々な立場の方々からの意見をしっかりと踏まえながら議論が進んでいけるように配慮していきたいと思っております。

○矢田わか子君 ありがとうございます。
関連しまして、現在、規制改革推進会議が四つのワーキンググループを設置し、規制緩和政策の検討をされているとお伺いしております。そのうち、人材ワーキング・グループでは、転職して不利にならない仕組みづくりなどの論議をこれから行われようとしているとお聞きしております。
こうしたワーキンググループが扱うテーマによっては、当然働き方改革にも関連する部分が出てくると思われますが、この二つの検討機関の関係について、規制改革担当の山本大臣より次に御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 今、加藤大臣が答弁されましたように、働き方改革実現会議の方で働き方改革に関する幅広い事項を検討するものと承知しております。
 そういう中で、私ども規制改革推進会議としては、規制改革という立場から、これを補完しあるいは支援するようなことはできないかということで考えております。そういう下で、人材ワーキング・グループというのをつくりまして、特にその中で労働移動の部分で貢献できるんではないかというように考えておりまして、失業なき労働移動を推進するという観点から、転職して不利にならない仕組みづくりというものを中心に、規制改革の観点で幅広く取り組むというように考えております。
 こうした働き方改革に関する議論につきましては、多様な働き手の声を反映しながら検討を進めていくことが重要であると考えておりまして、働き方改革実現会議と必要な連携を図りながら規制改革を進めてまいりたいと思っているところであります。

○矢田わか子君 ありがとうございました。
多分、横断的に束ねるのは加藤大臣のところのお役目だというふうに認識をしておりますので、是非ともリーダーシップを取っての関連付けをよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、育児休業・介護休業制度についてお伺いをしていきたいと思います。大臣所信の質問の際にも実は若干触れさせていただいたんですが、時間切れでしたので、今日は深く問題について提起をさせていただきます。
政府は、最長一年半にわたって給付金を受けられる育児休業期間を最長二年程度まで延長する施策について、現在、労働政策審議会で論議をされております。この延長措置は、乳幼児の育児について選択肢が増え、歓迎する声もあると思います。が、一方でこれが、保育所の整備の遅れをカバーしようとする意図や、あるいは乳幼児はやはり母親が家でしっかりと育てなければいけないんだというような、私たちから言わせれば古い発想からくるものであれば問題視せざるを得ないというふうに思っております。あくまでワーク・ライフ・バランス、この観点から論議を進めていただきたいという思いであります。
特に、育児休業の取得者のキャリア維持について留意すべきではないかということを思っております。一般的に、休業期間中は、キャリアの維持と新たなキャリア形成のチャンスが失われやすいということがあります。このことから、職場復帰が円滑に進むような職場復帰プログラムを確実に実行させる環境整備が必要であります。
現在、特に女性でも取得率の低い中小企業を対象に、もっとやっぱり育児休業取りましょうよというふうな多分思いも込めて、育児休業復帰支援プランの助成措置、金銭的な補助についても実施されておりますが、この制度を一層活用してもらう、実効性を高めていくためにどんなふうにしていけばいいのか、厚生労働省からお考えをお聞きしたいと思います。

○政府参考人(吉本明子君) ただいま御指摘がございましたとおり、育児休業の取得に関しましては、女性につきましては平成二十七年度八一・五%でございます。ただ、これを事業所の規模別に見てみますと、五人から二十九人の小規模な事業所は六七・九%にとどまっているといった状況でございます。
このため、御指摘のございました育休復帰支援プラン、これにつきましては、今後も、策定に係るコンサルティングの実施、また助成金の支給など、特に中小企業につきましては個別にプランナーがきめ細かく助言を行いまして、そうしたプランの策定支援を行いまして、結果として育児休業の取得、職場復帰のしやすい職場環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

(略)

○矢田わか子君 ありがとうございました。
やっぱり政治の分野というのは、国民の皆さんから見ても、国のリーダーシップを取る機関でもありまして注目されています。そこがどこまで進むかによっていろんなところに影響を及ぼすと思いますので、是非とも前進をお願いしたいと思います。自民党の皆様もどうぞよろしくお願いいたします。
最後になります。まち・ひと・しごと創生についてお伺いをしたいと思います。
若い女性の減少から、二〇四〇年頃には消滅可能性のある自治体が八百九十六に上るという日本創成会議のレポートが大きなショックを与え、各自治体における町づくり、人づくりについては一段と真剣味を帯びてきております。また、内閣府のまち・ひと・しごとの創生本部も、地方支援のための政策づくりや予算確保に精力的に動いておられます。この政策の中心的課題は、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立することにあると思います。地方の新たな人の流れを生み出し、町に活力を取り戻すことにあります。そして、そのためには、それぞれの地域において産業を振興させることが不可欠であると思っております。
その際、留意しておくべきことは、政府は外部人材の活用を重視され、例えば地方創生人材支援制度として、今、意欲と能力のある国家公務員、大学の研究者、民間人材を市町村長の補佐役として派遣し、地域に応じた処方箋づくりを支援するという制度を運用されております。しかし、地域を担う人材は、実はその地域に豊富におられると思います。
資料三を御覧ください。これ、山形県の事例です。山形では、経済産業省が進めているものづくりカイゼン国民運動の取組として、企業のOBを対象に、中小企業の経営革新や生産革新を指導する改善インストラクターの養成が行われております。例えば、山形大学で行われているシニアインストラクター養成スクールでは、この資料によると、域内企業からインストラクターの候補者を出し、スクールでそういう方々を育て、プール人材として域内の企業に派遣していくというふうなことになるわけですが、そういう方々がインストラクターとして中小企業に派遣され、実際に生産性向上で大きな成果を上げている事例があります。部材の移動距離を大幅に削減して何千万もの効果を出したり、生産リードタイムの短縮を図ったりということであります。
この例に見られるように、地域には、自治体、企業、金融機関、労働組合など、地域の活性化、産業活性化に関わる専門知識を持った人材が埋もれています。一定のカリキュラムによる研修を行えば相当の力を発揮する人材に生まれ変わり、その事例として山形を挙げさせていただいた次第です。
今後、まち・ひと・しごとづくりを担う人材がますます求められると思いますので、こういった経済産業省の取組とも連携しながら、是非とも地方の活性化に取り組んでほしいと思います。単にお金をまくだけではなく、その地域で産業を生み出す、その取組について、是非とも担当の山本大臣より御見解を伺いたいと思います。

○委員長(難波奨二君) 時間が参っておりますので、大臣、簡潔に答弁をお願いいたします。

○国務大臣(山本幸三君) 御指摘のように、地方における産業の創出だけじゃなくて、担い手の育成が大変大事であります。山形大学の例は大変すばらしい例だと思っております。
 そうした意味で、こうした政府の施策をしっかりと活用しながら、産学官金労士の多様な主体が連携してそうした指導者を再教育して、地域の中小企業の生産性向上に役立つということが大変大事でありまして、こうした先進事例を横展開をしっかりと図っていきたいと思っております。

○矢田わか子君 ありがとうございました。是非ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、私は、経済統計の改善ということにつきまして御質問をしたいと思います。
経済統計につきましては、内閣府に山本大臣を中心とした改善策を議論する研究会が設置をされ、より実態に反映したデータの作成が期待をされております。なぜ見直しが必要なのかといえば、言うまでもなく、統計が正確ではないと様々な経済対策あるいは金融政策等に問題が生じるからでありまして、特に昨今は日本経済が一%を上回るか上回らないかというようなところで大変に競っているところでありますので、ちょっとした誤差による、データがですね、成長率、それによってプラスになったりマイナスになったりするぐらいのところにあります。また、景気マインドの好転ということからいたしましても、その環境整備に統計の見直しは急務だと私は思っております。
今日、お手元に日銀のワーキングペーパーを用意させていただきました。御覧いただきますと、これは本年七月に日銀がワーキングペーパー、一つの論文としてホームページ上に掲載をしているものでございます。GDP統計で、税務データを用いた分配側のGDP試算ということを発表されているわけであります。
これを見ていただきますと、名目GDP、二〇一四年度、赤線が試算値、すなわち日銀の試算でありますけれども、五百十九兆円、青線は内閣府の現行値、支出側GDPで四百九十兆円と、これだけ大きく違ってきております。その要因が下に書いてございまして、ピンクが雇用者報酬分で十四・四兆円、そして営業余剰分で十二・六兆円違うと、こういう分析をされております。裏には実質GDPを試算したものが出ておりまして、これも赤線、日銀では五百五十六兆円、そして内閣府では五百二十五兆円と。それを前年比でいわゆる成長率にいたしますと、日銀でいえば二〇一四年度はプラス二・四%の成長、しかし内閣府の統計ではマイナス一・〇の成長、マイナス成長と。まさにプラスとマイナスが全く違うという、こういう状況でございます。
これは、やはりいろんな政策を打ち立てる際に、マイナス成長から先どうするのかと考えるのとプラス成長から先どうするのかと考えるの全然質が違ってくるわけでありまして、なぜこうも違うのかということについて、まず、今日は政務官にお忙しいところお越しいただきました、御説明いただきたいと思います。

○大臣政務官(武村展英君) お答え申し上げます。
御指摘の論文につきましては、日本銀行の職員が個人として作成をされているものであるというふうに認識をしております。個人の論文の試算値と内閣府の公表値の違いにつきましては、計算の方法や基となるデータ、基となる一次統計が異なること、そうしたことが背景にあるというふうに考えます。
日本銀行の職員が個人として作成されたものにつきましては、税務情報や法人企業統計等を基に年次の分配側GDPを試算したという一つの試みであるというふうに承知をしています。
一方で、内閣府のGDP統計につきましては、国連の定める国際基準を踏まえました標準的な手法にのっとって、工業統計等の各種の詳細な一次統計を活用しまして、できるだけ精緻な形で支出側や生産側のGDPの推計を行っているところでございます。

○西田実仁君 個人ということを強調されておりますけれども、しかし、別に個人のホームページに出ていたわけじゃないんですよ。日本銀行という中央銀行のホームページに掲載をされているワーキングペーパーであります。
もちろん、手法が違ったり、基づく統計が違うわけでありまして、違うということを殊更強調するのではなくて、どこが、どういう手法が違って、何を使っているのか、それでなぜこんなに違ってくるのかというところをきちんと見詰めるということが私は生産的ではないかというふうに常々思っておりまして取り上げさせていただきました。
今、様々、基礎統計の見直しをされている中で、例えば家計調査、これはサンプル調査でして、家計簿から取り上げておりますけれども、これが偏りがあるんじゃないか、捕捉率が低下しているんではないかとか、あるいは昨今のネット販売等の実態にそぐわなくなってはいないか、こういう問題も指摘されております。
私も税制調査会で党内でやっているときにも、家計簿を使っていろいろ計算すると、身の丈がそもそも経済全体と違っているものですから、家計簿から推計すると違う答えが出てきて、軽減税率の導入の際の議論では大変に物議がいろいろ出ました。そういう経験もございました。
また、設備投資におきましても、法人企業統計を使ってまいりますと、中小零細企業のデータが十分に反映されていないんではないかということがもう前から指摘をされておりますし、研究開発投資あるいはソフト投資が反映されにくいという問題点も指摘をされております。
政務官には、もう一つ、この家計調査や法人企業統計など基礎統計をどう見直してより実態にそぐうように改善していくのか、今後のスケジュールも含めましてお聞きをしたいと思います。

○大臣政務官(武村展英君) お答え申し上げます。
委員御指摘の経済統計につきましては、経済運営に当たって大変重要なものでありまして、不断の改善が必要であるというふうに認識をしております。
現在、経済財政諮問会議におきまして、GDP統計を軸としました経済統計の改善について議論が行われているところでございます。このため、内閣府におきまして、より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会で専門家による議論を行っているところでございます。先生御指摘のGDP統計以外にも、家計調査や法人企業統計などもございます。こうした各種経済統計の精度向上やビッグデータなどの新たなデータ源の活用等について検討をしております。
スケジュールにつきまして、本年十月二十一日の経済財政諮問会議におきまして、安倍総理から石原大臣に指示がなされております。各種統計の改善方策やその工程などにつきまして、年内をめどに政府としての基本方針を諮問会議において取りまとめるよう御指示があったところでございます。

○西田実仁君 山本大臣におかれましては、確かな根拠に基づく政策立案の定着ということで検討を行っておられるとお聞きしております。より実態に近い統計手法の見直しについての御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 私どもの下の研究会は、財政が厳しくなった下で、政府の政策をより説得力あるものにするためにはしっかりしたエビデンスに基づいた政策立案でなければいけないと、そういう観点から、その立案の基礎となる最たるものが統計でありますので、これをちゃんとしたものにしなければいけないというユーザー側の方からアプローチしたいと考えているわけであります。
 その意味では、今の、最近の議論の中でちょっと気になっておりますのは、景気判断のためだけにその統計を考えるような感じがありまして、それでは本質を見失うと私どもは考えています。つまり、GDP統計というのも、景気判断だけ考えて、あるいは四半期のGDP統計だけを見ていたら、本質的な日本経済の構造問題は分析、理解ができないと思います。私どもは、その意味で、景気判断という部分的な考え方じゃなくて、本当の意味での日本経済の構造をしっかりと分析して理解し評価をするという必要のための統計の改革が必要だと思っているわけであります。
 その意味で、例えば成長戦略を考えるときに、今の統計では産業別の生産性上昇率の統計はありません。あるいは産業別のGDPデフレーターもありません。そういうものをしっかりとしていかなければならないと思っておりまして、その意味では、GDP統計も今、日本の場合は支出面が中心でありますけれども、国際的な基準は生産面に移っておりまして、むしろそういう方向で考えていく必要があるし、そうすることによって、今ない統計のサービスとかあるいは各産業別の生産性とか、そういうものが出てくるんじゃないかというふうに思っておりまして、そういうユーザーの立場からしっかりとした統計に直していく必要があると、そういう問題意識でやっていきたいというふうに思っております。

○西田実仁君 そういう試みは大変大事だと思います。
一方で、私の常々の問題意識ですけれども、行政府の方にはそうした統計は当然出されて議論していただいておりますけれども、諸外国にありますように、立法府の方にもそうした経済統計を分析をするあるいは長期推計をする機関なり機能というものがやはりなければ、行政府と立法府の間で生産的な議論ができないのではないかというふうに思っておりまして、こうしたことは私の問題意識としてまた進めていきたいというふうに思っております。
次に、財政投融資の運用残と行政改革ということの観点からお聞きしたいと思います。
二枚目のページを見ていただきますと、財政投融資計画と実績ということで、過去十年にわたりまして様々、この財政投融資の運用残というのがどうなのかというのを調べてまいりますと、大体、計画に対する実績は八割に満たないというふうに過去十年なっているわけであります。折しも今日から秋のレビューが開催をされて、山本大臣の問題意識には、より成長戦略を深く議論する方針というふうにも伺っておりますので、あえてお聞きしたいと思って今日は取り上げました。
財務省の方に今日来ていただいておりまして、財務省理財局が出しております報告、財政投融資資金運用報告というのがありますが、この説明資料を読みますと、なぜその計画に対して実績が過去私が言う十年で八割を切っているのかという中に、例えば平成二十一年から二十三年の間の、リーマン・ショックによって厚めにセーフティーネットだから計画を立てたけれども実績が及ばなかったとか、あるいは東日本大震災という特殊事情を挙げられたりということで、毎年、毎年度なぜこれだけ運用残が出ているのかという理由は述べられております。それはつぶさに拝見をしました。しかし、そうした特殊事情の期間を除いても、実はこの計画に対する実績率というのは八割に満ちていないという実態がございまして、つまり巨額の運用残額というのは恒常的になっているというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
考えられる原因としては、計画そのものが大変に高いと、実態と懸け離れているんじゃないか、まあそれはいろんなセーフティーネットとか理由があると思います。一方で、実際に融資をする側の地方公共団体でありますとかあるいは日本政策金融公庫等の融資機関の融資能力あるいは融資支援能力というものが不足していてなかなか計画に達しないんじゃないかという理由も考えられるし、あるいは双方かもしれません。
いずれにいたしましても、これだけ恒常的に巨額の運用残額が続く現状は正常とは言えないと私は思いまして、財政政策と金融政策は経済運営の両輪であります。財政政策の重要な一部を成す財政投融資の運用が、もし、財政再建の要請の高まりを背景に、恒常的な運用残額を是認するということではいけないのではないかという問題意識も一方でございます。是非、今日は財務省から、まずこの現状、なぜこうなっているのかを簡潔に述べていただきたいと思います。

○政府参考人(北村信君) お答えいたします。
財政投融資計画の執行率は、議員御指摘のとおり、近年では八〇%程度となっております。執行されなかった部分について申し上げますと、まず、日本政策金融公庫における中小・小規模事業者の資金繰り支援のためのセーフティーネット貸付けに十分な融資枠を確保するなどの万全の対応を取った結果、執行されなかった枠があるということ、それから、地方公共団体における工事入札に伴う事業費の減額等によるものなどなどが約二〇%であるというものでございます。
財政投融資計画の編成に当たりましては、過去に運用実績の少なかったものに対してはその実績を勘案して財投計画枠を減額するなど、適切な編成に努めてまいりたいと存じます。
他方で、財投の活用を図る観点から、平成二十七年度より財務局において、地方自治体や地域金融機関に対して財投施策の説明会を実施しておりまして、こうした機会を活用して財投施策の更なる周知を図ってまいりたいと存じます。
なお、財投につきましては、議員御承知のこととは存じますけれども、財投機関の執行状況に応じて財投債を発行しており、運用残部分について財投債は発行していないため、無駄な財投債の発行や利払いが生じているわけではないことは申し添えておきたいと思います。

○西田実仁君 今年度におきましては、この間、第二次補正予算でも財投、補正計画をいたしまして、上積みしました。昨年の実績が約十二兆に対して、第二次補正予算も含めますと、プラス約七兆円の財投計画になっているんですね。
この七兆円という額は、そのまま一〇〇%もし実施すれば、それだけの景気刺激効果があるわけです。もちろん無駄は必要ありませんけれども、七兆円という額は、今年第二・四半期のGDPギャップが約五兆円のマイナスでありますから、これをちゃんと執行すると、そのGDPギャップを解消するほどの効果があるということになるわけであります。
まず、今お話しの、御説明のように、今年度、二次補正までわざわざ組んだわけでありますから、きちんとそれを実行できるようにして景気を浮揚していただかなければならないと。そして、来年度以降については、おっしゃったような立案の適正化をしていくということが必要でしょうし、あるいは融資能力や融資支援能力をもっと向上させるということも必要だと思いますし、参議院での決算審議ということもより強化をしていかなければならないというふうに思います。
山本大臣に、こうした行政改革を所掌する大臣として、今の議論を聞いての御感想をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 財投としての特殊性もあると思いますが、安全性を見ておくという必要があるということもありますが、しかも、実質的なコストの負担というのはないようにしているということでありますが、ただ、恒常的に余りに差があるというのは好ましいことではないというふうに考えておりますので、これは、返済、執行の両面から適切な財投計画を編成して、効果的な運用が行われるように工夫を是非してもらいたいと思っております。

○西田実仁君 今、山本大臣からも御説明いただきました。
ここまでが大臣のところですので、もし委員長のお許しが出れば、山本大臣は御退席いただいて結構でございます。

(略)

○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。よろしくお願いします。
今日は、規制緩和そして地方創生の観点から、民泊についてお聞きをしたいと思います。
この日本国内でも今この民泊というのが大変なスピードで広がっていっているというふうに思いますが、まずその基本的な政府の考えなんですが、民泊に対して推進をしていく立場なのか、それとも、今様々問題も起きているというふうに認識していますので、規制を掛けていくというようなそういった立場なのか、その辺りについてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 民泊サービスにおける規制改革につきましては、本年六月に閣議決定されました規制改革実施計画において、年間提供日数上限などの一定の要件を満たす民泊サービスを適切な規制の下で推進できるよう、家主居住型、家主不在型の類型別に規制体系を構築し、平成二十八年度中に法案を提出することとされております。これを踏まえまして、現在、厚生労働省及び国土交通省において、次期通常国会への法案提出に向け、関係者との調整を行いつつ、具体的な制度設計を進めていると承知しております。
 民泊サービスは、多様化する宿泊サービスや増大する宿泊需要への対応、空き家の有効活用等に極めて有効であり、違法な民泊サービスを排除するためにも適切なルールの整備が重要であります。規制改革担当大臣としても、しっかりと検討状況等をフォローし、民泊サービスが円滑に全国で展開されるよう取り組んでまいりたいと思っております。

○清水貴之君 今お話しされたように、確かに今宿泊施設の不足も言われていますし、二〇二〇年の東京オリンピックというのもありますので、それに向けて、そうやって外国の方が泊まれる場所を増やしていくというのは非常に意義のあることじゃないかと思うんですが、ということで民泊の国内の物件も伸びているんだと思います。
現状で、国内で営業している、使われている民泊としての部屋数であったりとか、この数というのはどのように把握をしているんでしょうか。

○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。
国内のいわゆる民泊を行っている施設及び旅館業法の営業許可を得ている民泊施設の数につきましては、手続がインターネット上で完結していることなどから実態を把握することは困難であり、正確に把握はできておりませんが、例えば本年三月の規制改革会議公開ディスカッションにおいてエアビーアンドビー社が提出した資料によりますと、エアビーアンドビー社のサイトに登録されている日本国内での民泊施設数の登録件数は約三万件であると承知しております。しかし、登録された情報が正確でない場合があるため、実際の件数としてはもう少し少ない可能性があると考えております。

(略)

○和田政宗君 それでは、地方創生についてお聞きをしていきます。
今月一日のまち・ひと・しごと創生会議において、政府は、地方創生の総合戦略について、地方での平均所得の向上や空き店舗などの遊休資産の有効活用などを重点的な検討課題として、年末をめどに改訂する方針を示しました。
この総合戦略は、毎年末に改訂しまして新たな目標値を設定するわけですけれども、今回なぜこうした項目の改訂を決断したのか、お聞きいたします。

○国務大臣(山本幸三君) まち・ひと・しごと創生法におきましては、「政府は、情勢の推移により必要が生じた場合には、まち・ひと・しごと創生総合戦略を変更しなければならない。」とされているところであります。
 地方創生については、昨年度までに国と地方の総合戦略の策定がほぼ完了しまして、本格的な事業展開の段階に入ったところでございますが、一方で、新しいデータ等によりますと、東京一極集中の動きが止まっておりません。むしろ加速するような状況でありまして、これに対して私どもは大変な危機感を持っております。その意味で、地方創生の実現のための施策をより強化しなければいけないと思っております。
 そうした意味で、地方に還流させるためには、やはり地方に仕事がなければならない、所得が一定程度なければならないという要望が大変強うございまして、そうしたことを踏まえて、地方の平均所得を向上させる取組や遊休資産の活用等、施策の一層の強化を行う必要があると考えた次第であります。加えて、地方創生を進めるに当たりまして、地方の生活の豊かさに目を向けてもらう観点から、地域生活の魅力の分析、発信や、郷土の誇り、愛着の醸成など、働き方改革を含めたライフスタイルの見詰め直しが必要と考えております。
 これらを踏まえて、先日、十一月一日に、まち・ひと・しごと創生会議におきまして、重点的な検討事項として、平均所得の向上を通じた地方創生、ローカル・アベノミクスの一層の推進、地域特性に応じた政策メニューの充実強化、働き方改革を含めたライフスタイルの見詰め直しを示したところであります。今後、これらの点について重点的に検討を進めて、有識者の御意見等も踏まえて、今年中を目途に総合戦略を改訂してまいりたいと考えております。

○和田政宗君 それでは、その地方創生、これを進めていくときの各論、どういったことをやっていくのかということについてお聞きをいたしますけれども、まずビッグデータの民間への開放についてお聞きをいたします。
この度、地域経済分析システム、RESASが開放されるということになりましたけれども、これは政府や自治体が公表しているデータを市町村単位で再集計などをしているのが特徴で、例えばある地域の農産物販売について、市町村別の出荷先、農協や外食など業態別の出荷先といった情報を知ることができるわけです。
地方創生において、このビッグデータを開放することでどのような効果が見込めるのか、お答え願います。

○政府参考人(高橋淳君) お答え申し上げます。
政府におきましては、地域経済に関する官民の様々なデータを分かりやすく見える化いたしました地域経済分析システム、RESASでございます、これを平成二十七年四月より提供いたしまして、地方公共団体を始めとする地域における地方創生の取組を情報面から支援しているところでございます。
このRESASにつきまして、ただいま御指摘のありましたとおり、地方創生に向けたデータ利用の高度化を促す取組として、今月一日より、RESASに搭載しております公的な統計データを加工しやすい形式で一般の方々へ提供する取組を開始しております。これによりまして、例えば個人や民間企業などの利用者の方々が、RESASのデータと企業などが保有する独自のデータ等、複数のデータを組み合わせた高度な分析を行いますことや、RESASのデータを自由に加工して地域の魅力の発見に役立つアプリを開発することなどが可能になると考えております。
こうしたことを通じまして、RESASが、言わば民の力も借りまして地域経済の把握や分析に使いやすいツールとなっていくと考えておりまして、それによりデータに基づく地方創生の取組が各地で一層進んでいくことを期待しております。

○和田政宗君 次に、地方創生の発信についてお聞きをしたいというふうに思います。
地方創生支援ということで、飯倉公館を活用した対外発信事業というのがあります。この狙いと今後の展開、そして現在どういった効果が出ているのか、これをお聞きします。

○政府参考人(吉田朋之君) 地方創生支援、飯倉公館活用対外発信事業についてお尋ねをいただきました。
この事業は、地方の多様な魅力を内外に発信することを目的として平成二十七年から開始した事業でございます。具体的には、飯倉公館を活用いたしまして、自治体主催のセミナーや外務大臣と自治体首長との共催でレセプションなどを行って、国内の駐日大使、外国プレス、それから駐日商工会議所、それから県選出の国会議員の方々などをお招きして行っております。最近では、毎回約三百名が参加しております。これまでに、京都市、福島県、広島県・広島市、三重県、青森県、香川県、茨城県と共催し、七回事業を行ってきております。共催自治体の方からは、知事のトップセールスによる各国代表への直接の働きかけ、自治体関係者と外交団との人脈の形成、それから関連の報道であるとかウエブサイトを通じまして広報効果が得られたというふうに評価をいただいております。
今後につきましても、外務省としては積極的に推進していきたいと思います。本日、和歌山県と共催でレセプションを開催いたしますし、今年度内に複数の自治体と事業を開催する方向で調整しております。

(略)

○委員長(難波奨二君) 次に、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
政府から順次趣旨説明を聴取いたします。山本国務大臣。

○国務大臣(山本幸三君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本年八月八日、人事院から、一般職の職員の給与の改定に関する勧告並びに国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の改正についての勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告及び意見の申出どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、指定職俸給表を除く全ての俸給表について俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げるとともに、勤勉手当の支給割合を年間〇・一月分引き上げること等としております。
 第二に、扶養手当について、配偶者に係る扶養手当の月額を六千五百円に引き下げ、子に係る扶養手当の月額を一万円に引き上げること等としております。
 第三に、専門スタッフ職俸給表に四級を新設することとしております。
 第四に、介護休暇を請求できる期間を三回まで分割可能とすること、連続する三年の期間内に、一日につき二時間以下で勤務しないことを承認できる介護時間を新設すること、育児休業等の対象となる子の範囲を特別養子縁組の監護期間中の子等にも拡大することとしております。また、一般職の国家公務員である行政執行法人の職員についても、これに準じ、介護休業を請求できる期間を三回まで分割可能とする等の措置を行うこととしております。
 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。
 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 秘書官の俸給月額及び内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。
 以上がこれらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

○委員長(難波奨二君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十一分散会