(オバマ前米国大統領の折り鶴を拝見します)
(県産材や和紙などを活用した、くつろげるオフィスのつくりになっています。)
(株)ドリーム・アーツは、大手企業・大組織向けITソリューション事業や先端技術・マーケティング
を融合させたシステム開発・コンサルティング事業を展開しています。顧客は、社員が数万人規模
の大企業や官公庁などの大組織が対象となっています。
平成28年12月に、事業拡大に伴い、本社機能を東京から一部移転し、「広島本社」を開設して
おり、今後3年間で100人体制への増強を目指しています(現在は、グループ全体約300名の社
員のうち、広島本社には40名ほど在籍)。
好調な伸びをみせるソリューションの北米・中国への展開を図るため、両市場で対応しうるサービ
スの開発を行う必要や、新製品のスマートデバイス開発事業者の立ち上げのため、特にアンドロイ
ドに精通した技術者や新たな品質保証管理体制が必要であるということから、トップレベルのIT人
材の確保が大きな課題であったようです。
そこで、広島県のプロフェッショナル人材戦略拠点と連携し、課題や必要人材像を明確化し、説明
会などを開催するなどして、大手企業に勤務していたプロフェッショナル人材を採用しています。
実例を伺っておりますと、10年以上大手メーカーや金融系会社に勤められた方々が採用されてお
り、生活環境や子育て環境にメリットを感じているようです。
お話を伺った、山本代表取締役社長によれば、首都圏はITエンジニアの奪い合いの状態であり、地
方は優秀な人材の確保に優位だといいます。このような「場」を提供することで、U・I・Jターンを
希望するトップレベルのIT人材の受け皿となり、広島をエンジニアの集積地にして、地方大学への
オフィス開放やインターンの受け入れなどにより地域活性化や地方創生につなげていきたい、との
熱い想いをお聞きしました。また、こうした外部人材を確保するための企業の質の向上の重要性に
ついても意見交換を行いました。
こちらでは、こうした「本社機能の地方移転」や「プロフェッショナル人材の採用」などによっ
て、地域に新たな質の高い雇用を生み出し、事業革新や新商品開発などの取組に積極的にチャレン
ジする、まさに「攻めの経営」を行っていました。
かつては、茶屋文化ともに大いに栄えた尾道の斜面地は、車社会への転換とともに取り残され、高
齢化と空洞化が進んでいます。 こうした中で、尾道市と、空き家を再生し新たな活用を模索する
「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」が主体となって連携し、様々な魅力をもつ建物が集積す
る尾道の景観を守りつつ、移住・定住・起業する若者を呼び込むため、「尾道らしい」坂の町や古
い家に暮らしてみたいという方と空き家をどうにかしたいと願う大家さんをマッチングし、地域の
活性化を担う次世代のコミュニティの構築を図っています。市直営では困難であった土日の対応が
可能になったほか、地域の実業に根差した新規登録物件の掘り起こし、移住希望者への相談等、行
政を補完する形での取り組みが行われています。また、委託外の取組として、片付け隊の派遣、作
業補助、道具の貸し出しなどの「サポートメニュー事業」も実施されているようです。
これまで、100件を超す空き家・空き店舗を再生し、定住世帯数は80世帯以上、移住者数も1
50人以上となっているようです。今回その中のいくつかの取組を見させていただきました。
(幾重にも重なる飾り屋根や飾りの「うだつ」が設けてあります
尾道ガウディハウスは、昭和8年に建設された擬洋風建築の建物です。25年以上空き家状態であ
ったところ、平成19年から再生の取組がはじまり「尾道空き家再生プロジェクト」結成のきっか
けとなっています。今後、貸しスペースや短期滞在用貸家として活用を予定しているそうです。
黒くなった南京下見板張りの外壁が特徴的です。
(本当に細長い、どこまでも続くような造りとなっています)
(併設のあくびーカフェ内で平谷・尾道市長と意見交換を行います。)
「あなごのねどこ」は、「うなぎ」の寝床のような奥行きの深い尾道町家を地元の特産品の「あな
ご」にちなんで名前をつけた、尾道空き家再生プロジェクトの再生物件です。
古く港町として栄えてきた尾道旧市街地の商店街に多く現存する細長い京町家のような建物となっ
ています。尾道の歴史的建物に身近に触れてもらい、活用しながら次世代に受け継ぎ、尾道に移住
してきた若い担い手の活躍の場の創出と今までにない観光市場の拡大を目的に、古くて新しい交流
スペースを目指して、よそモノとわかモノを地域と結びつけていく交流拠点としてゲストハウスに
再生されています。
こちらのHPでは、各古民家の再生プロセスが時系列とともに詳しく紹介されています。
ぜひご参照ください。
(しっかりと体に合ったサイズと乗り方を教えていただけます)
この他にも、「Yard Cafe」では、ドライブスルーならぬサイクルスルーシステム(写真上 HPより)
を導入し、サイクリング中に手軽に食べられるフィンガーフードやスペシャルドリンクを販売する
など、自転車とともに過ごせる施設となっています。また、世界有数の自転車ブランド「GIANT
STORE」では、本格的スポーツバイクのレンタルや専門スタッフによるメンテナンスにより、サイ
クリストのロードライフを安全・快適にサポートしています。以前滋賀県の視察の際、守山市など
琵琶湖周辺を自転車を使って盛り上げている取組を拝見しましたが、こちら尾道も新たな魅力の発
信基地として新しい賑わいを創出しているようです。
(好天に恵まれ、瀬戸内の景色は本当に素晴らしいものがあります)
せとうちDMOは、瀬戸内を共有する7県(兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛)による広域
連携DMOとしてマーケティング・プロモーションを策定実行する(一社)せとうち観光推進機構と
『せとうち観光活性化ファンド』を活用してプロダクト開発支援を行う(株)瀬戸内ブランドコーポ
レーションで構成されています。
瀬戸内が有する幅広い観光資源を最大限活用しながら、多様な関係者とともに情報発信・プロモー
ション、効果的なマーケティング、戦略策定等を行い、瀬戸内ブランドの確立による地域経済活性
化や豊かな地域社会実現を目的としています。
(上述の水陸両用機です。近くでみると迫力があります)
そして、今回視察いたしました、瀬戸内周遊クルーズ船事業をおこなう株式会社せとうちクルーズ
(株式会社せとうちHD傘下)へ、せとうちDMOが支援(クルーズ船の建造資金の一部拠出や事業開発
支援など)していくことが、昨年8月に決定しています。
それにより、せとうちクルーズは、日本の建築美と上質なサービスを取り入れたクルーズ船「ガン
ツウ」を就航させる予定です。こちらは、瀬戸内海沿岸の景勝地を周遊しながら宿泊できる新造船
であり、その宮島・松山・大三島・丸亀などの寄港地では、その土地の文化を楽しめる特別なアク
ティビティを用意するなど、船だからこそわかる瀬戸内の自然美と今までにない上質な旅を提案し
ています。50㎡の部屋で1泊30万円から、95㎡で同80万円と、富裕層やインバウンドに照
準を合わせています。
また、これだけではなく、せとうちDMOでは、水陸両用機の事業を行う、株式会社せとうち
SEAPLANESへも支援を行っています。こちらは、当然水陸両用機を活用したレジャー面、地域の
活性化や観光振興、新しい交通手段など、「せとうち」の新しい価値を創造するだけではなく、近
年予測される南海トラフ地震等の大規模災害時に、迅速・的確な救護活動を展開できるよう、救護
班要員、災害救援物資及び輸血用血液製剤の輸送等に相互協力するため、日本赤十字社広島県支部
と「災害時等における救護活動への相互協力に関する協定」を締結しています。
今後は、JR西日本とのコラボや広島空港から瀬戸内海の島々への直行運航、ラグジュアリー旅行商
品への組み込みなどの事業展開を図っています。
このクルーズ船を活用した、瀬戸内の多島美と食を満喫できるハイエンドな宿泊型瀬戸内クルージ
ングなどは、まさに、地域資源を活かした地域の「稼ぐ力」の向上を図っている、全国的にも拡げ
ていただきたい好事例です。
(以上)
次回は、山形県と秋田県にお邪魔致します。