一部抜粋し、本HPでご報告します。
東日本大震災からの復興を願い、4月8日に白河市の名勝・南湖公園で行われるプロジェクション
マッピング「はるか 白河花かがり」(fukushimaさくらプロジェクトの主催で)のリハー
サルに7日夜参加してまいりました。
今年で5年目を迎える同プロジェクトは、日本最古の公園と言われる南湖公園の湖の水を霧状に噴
射してつくる縦15m、横30mの扇形ウオータースクリーンや公園内の松の木に映像を投影した
プロジェクションマッピングを背景に、水と光と音の共演が繰り広げられるもので、「白河 花が
かり」をテーマに白河の魅力や復興などをアピールするために、光と音楽の融合が3部で構成され
ています。
リハーサルでは、歌手の森公美子さんや和太鼓パフォーマー「無限with橋口隆之」らプロのア
ーティストと、50人を超える合唱団コミネス合唱団、大信こだま太鼓ら地元の出演者らが本番さ
ながらに熱演されていました。映像でどこまで伝わるかわかりませんが、このプロジェクションマ
ッピングとのコラボレーションには私自身圧倒されてしまいました。
(歌手の森公美子さんの美声が、自然あふれる白河の夜空に響き渡ります)
八幡屋は、 明治13年、湯治旅館として創業し、八幡太郎義家の愛馬の傷が治った霊泉の上に建て
られた宿(※)ということから「八幡屋」と名付けられたといいます。震災後、大きくお客の数は減
少したものの、そこから持ち直し、なんと第42回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」
で、36年間トップの「加賀屋」(石川県)を抜き総合1位に輝いたそうです。
謙遜されながら「特徴は、何もないこと」と説明を受けましたが、豊かな自然に囲まれた、懐しい
田舎の風景こそ、こちらの強みではないかと感じました。また、安心した職場づくりと「社員第一
主義」を掲げるとともに、地元住民の雇用にも大きく貢献しているといい、大変心強い限りです。
(※)平安時代、奥州を訪れた八幡太郎義家(源義家)が、戦いの中で負った馬の傷を、当地の谷川の水
で洗ったところ、傷が数日で治ることとなった、とあり、これが母畑温泉のはじまりで、近辺の母
畑温泉元湯神社は、このことから源義家が母衣と旗とを奉献させて作られたとされています。
(母畑温泉 八幡屋にて加納石川町長と意見交換をしました)
いわきワイナリーは、「特定非営利法人みどりの杜福祉会」が運営しており、いわき独自のワイン
ブランドを構築し、地場産品のブランディングに力を入れているほか、地域の障害者を積極的に雇
用するなど、地方創生に資する取組みを推進しています。
この事業は、理事長の「農作業を通じて、ハンディキャップを背負った人たちに安心して、自立し
た生活を送った欲しい」との思いから、スタートしたといいます。
昨年11月には、いわき市と、農「福」商工連携に関する協定を締結しており、今後、いわき市へ
の誘客促進、地域障がい者雇用の促進等を目的として、農福商工連携よる着地・交流・体験型観光
施設としての展開を予定しているそうです。
(美味しいワインを生み出す、ぶどう農園を見学します。)
「フラ」のまち湯本温泉において、湯本中央通り温泉商店街を巡りながら復興に取り組みついて各
店舗毎にお話を伺ってまいりました。
温泉地として有名であったいわき市ですが、映画『フラガール』の大ヒットによってスパリゾート
ハワイアンズやいわきの街が全国的に広く知れ渡るようになったものの、東日本大震災の影響によ
って、観光客数が激減してしまったそうです。その後思うように回復しない中で立ち上がったのが
フラ女将という温泉街の女将集団だといいます。
「フラ女将」たちは、フラダンスでより一層いわきの街を盛り上げていくために、湯本温泉のおす
めの美味しいお店や名所を書いた「お散歩マップ」の作成や、「着物deフラ」(着物でフラダンス
を踊る)など、「フラのまち」いわき湯本温泉の魅力を人々に伝えるために、様々な活動を行っ
ています。個人ではなく地域一丸となってまちを盛り上げていくという熱意を感じました。
活動の中でも、最近女将さんたちが考案した「美」を応援するカレー「フラ女将カレー」が全国的
に人気を博しているようです。私もいただきましたが、いわき産トマトジュースや地元の太平桜酒
造の酒粕が入っているようで、とてもまろやかな味です。
(清水いわき市長と名物の”フラ”女将の皆様と)
(商店街の皆様に優しく迎えていただきました。)
株式会社ドームいわきベースは、スポーツメーカーUNDER ARMOUR日本総代理店の株式会社ドー
ムが震災復興、地域活性化の一助として、2016年にいわき市内に設置をした物流センターであ
り、総投資額100億円、総敷地面積4万坪近くの鉄筋コンクリート4階建てという巨大な倉庫棟
で、東南アジアなどで生産され、輸入した製品を集約して全国に発送しています。
こちらの物流センターは、最新の物流機能をもっているだけではなく、「そこにいるだけでやる気
がみなぎり、モチベーションが高まるような職場作り」を目指し、センター内には多数のモニター
があり躍動感溢れるスポーツシーンが流れ続け、また、食堂には、アスリートのために考えられた
栄養バランスに優れたメニューを提供するDNS Power Cafeが設置されています。
そして、物流センターの機能に留まらず、ドームいわきベースから、新たな価値を創り出していく
べく、センター敷地内にグラウンド施設を設け、社員が自由に使用できるだけではなく、様々なス
ポーツイベントを実施し、地域の住民の方々にもスポーツに接する事が出来る環境をつくっていま
す。まさに、このドームいわきベースを「スポーツの発信地」としてブランドにしていくという試
みです。ちなみに、下述のいわきFCの所属選手も、物流センターで働きながらプレーをされてい
ます。働きやすく、アスリートにとっても素晴らしい環境がそろっています。
こうした物流センターの開業を皮切りに、いわき市を発展させるための「いわきグローリープロジ
ェクト」を立ちあげており、あわせてこの事業においてカギになるのが、いわきFCの挑戦だとい
います。いわきFCは、福島県いわき市をホームタウンとする、福島県社会人サッカーリーグに所
属するサッカークラブで、今回、ドーム社と組みながらいわき市の発展に尽力されている、いわき
FC代表取締役大倉智さん(写真)にお話を伺いました。
元プロサッカー選手という輝かしい経歴を持ちながら、欧米留学のご経験もある、大倉社長です
が、ドーム社とともに、「スポーツの産業化」という構想を掲げられています。スポーツを通じて
社会を豊かにするために、「いわき市を東北一の都市にする」「日本のフィジカルスタンダードを
変える」「人材育成と教育を中心に据える」という3つの大きな目標を掲げ、社会人サッカークラ
ブ「いわきFC」を立ち上げ、地域密着型のJ1トップチーム入りを目指しているのです。
また、単に競技としてのスポーツにとどまらず、スポーツで稼げる仕組みや人材を育成する仕組み
をつくり、スポーツの成長産業化とスポーツを核としたまちづくりをすすめることにより、雇用を
生み出すなど地域の人々に活力を生み出し、地域を豊かにしようと取り組まれています。フットボ
ールチームと物流センターとは面白いミックスです。
マネタイズの面では、例えば、「スタジアムビジネス」をあげられていました。お客さんの数を考
えながら、理想として365日稼働できる構造を考え、スタジアムによって街が活性化し、街が潤
っていくというものです。今後として、スポーツが産業として大きくなれば、人やモノ、カネが集
まって、業界の底上げにつながり、それは、プレイヤーだけではなく指導者やマネジメント側への
投資にも目が向けられるとでしょう。
全国でみても先進的な地域密着型の「スポーツの産業化」や「地域ロイヤリティのマネタイズ」等
のまちづくりの取組の事例を学ばせていただきました。
(いわきFCの大倉社長と清水いわき市長と)
(敷地内の様子です。センターのすぐ隣にサッカー場があります。ドームいわきベースHPより)
ワンダーファームは、2016年2月開業の複合型農業テーマパークで、JR東日本の支援によるト
マト栽培施設の他、地元農家と連携し、地場野菜の料理を味わったり収穫体験などができる、「食
べて、見て、触れて」、食と農を体験できる施設になっています。
中でも施設は、野菜や加工品を直売する「森のマルシェ」、地元農産物主体の料理を提供するビュ
ッフェレストラン「森のキッチン」、トマトのジュースやピューレなどの加工場「森のあぐり工
房」、季節の花や野菜を育てる「ガーデン・農園」、芝生の多目的広場などからなります。
また、とまとランドいわきとJR東日本が出資する「JRとまとランドいわきファーム」が大型ト
マト栽培ハウスを併設し、年600トンを生産をするほか、収穫体験やワンダーファーム向けだけ
ではなくJRグループにも駅ナカの店舗など大口での出荷をしています。
農業6次化の拠点施設として、また、観光誘客施設として、地域の活性化に資するものと期待され
ています。
(トマト農園を視察します。)
(森のマルシェには新鮮な農作物がたくさん売られています
(森のキッチンでは、とれたての野菜を食べることができます。)
紅梅夢ファームは、津波や原子力災害による避難等で営農が中断し、集落営農の機能も失われてい
た南相馬市小髙区において、本格的な営農再開に向け、平成29年1月24日に設立されました。
東京電力福島第一原発事故による避難指示の大部分が昨年7月に解除された南相馬市小高区の農業
復興を目指し、区内の7つの営農組織によって発足したのです。
極端な担い手不足の中で、地域全体を捉えた画的再開をどのように進めていくかということが、重
要な課題となっており、こちらでは、アイリスオーヤマグループ支援の下、地元の意向を踏まえな
がら、営農再開したほかの担い手のサポートや、自らの栽培面積を図り、拡大するなど面的再開を
一層進め、農業生産性の向上に向け、取り組んでいます。
今回の取り組みで、作付けを休止している農地を活用・保全すると同時に、営農再開の新たな形を
示すことで農業者の意欲向上につなげ、新規就農者の増加につなげます。
そして、4月5日に、私も宮城県でお世話になりました株式会社舞台ファームが、福島県南相馬
市小高区(旧小高町)にて株式会社紅梅夢ファームと連携し、今年度から同地区内における稲作の
営農再開を支援するというニュースがリリースされました。
http://butaifarm.com/
前述のように、同地区の稲作を中心とした営農再開は復興のためにも喫緊の課題でしたが、同地区
における営農再開に向けた新しい取り組みとして、この度紅梅夢ファームと株式会社舞台ファーム
が連携して今年度(平成29年4月)から稲作に取り組んでいくそうです。
福島県の奨励品種である「天のつぶ」を主食用として作付けし、生産された玄米は、舞台アグリイ
ノベーション株式会社にて全量買取をする予定とのことで、被災地の農業復興に向け、大変こころ
強い取り組みです。
(舞台ファームの針生社長、紅梅夢ファームの紺野専務、桜井南相馬市長から説明を受けます。)
以上、いずれの視察先でも、主張をはじめとする関係者等の皆様と意見交換を行い、地方創生に主
体的・持続的に取組んできた経緯や成果等を拝見させていただきました。
このように、地域の魅力ある資源を活用することによって、稼ぐ力を向上させようとする取り組み
は、地方創生のかたちそのものであります。私も、地方創生担当大臣として、今後の施策を検討す
るにあたって是非参考としてまいります。