平成29年4月06日 衆議院地方創生に関する特別委員会
○山田(賢)委員 おはようございます。私は、自由民主党の山田賢司でございます。
質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。本日は、十分と大変短いので、テンポよく行かせていただきたいと思います。
本法案は、地方への事務、権限の移譲や義務づけ等の見直しを行うというものでございますが、政府が掲げる地方創生において極めて重要なテーマとなっております地方分権改革、従来は政府の委員会勧告方式であったものを、平成二十六年から、個々の地方から要望等を上げてきてこれを審議するという形の提案募集方式に変更されました。
そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、平成二十八年の地方からの提案に関する対応状況について御説明いただきたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。
地方分権改革の推進は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生において極めて重要なテーマであります。このため、国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権改革を目指し、平成二十六年から、地方に対する権限移譲や規制緩和に関する提案募集方式を導入しております。
平成二十八年の提案募集については、平成二十七年とおおむね同じ三百三件の御提案をいただき、私みずからも、閣僚懇談会において、各大臣に対し、検討に当たって強力なリーダーシップを発揮するよう要請するなど、その最大限の実現に向けて努力してまいりました。その結果、ことしの提案に関する対応状況については、提案が実現するなど対応できるものの割合は七六・五%と、四分の三以上となったところであります。
具体的には、地域資源の利活用等による地方創生や、認定こども園の整備促進、病児保育実施地域の拡大等の子ども・子育て支援に資する提案が多く実現するなど、地方の現場で困っている具体的な支障に対し、きめ細やかに対応することができたと思っております。
今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと思います。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
今の地方創生の考え方というのは、従来の霞が関や永田町で考えたものを地方にやらせるということではなくて、住民に身近な地方が自分たちのニーズに合ったものを上げていく、これを国が後押しするという形になっている。非常に、大変よい試みだと思っております。
そして、大変すばらしい試みであるんですが、この提案募集方式というのは今年度も続けるのか。もし続けるのであれば、自治体によっては、意識の高い自治体というのはこういうのを上げてくるんですけれども、なかなかまだ消極的な、どうやっていいかわからないといった自治体もあろうかと思います。こういった自治体が提案をするためには、いつごろまでにどんなことをする必要があるのか、この手続の概略を御説明願いたいと思います。
○境政府参考人 お答えいたします。
提案募集方式につきましては、平成二十六年の導入以来、地方の発意に基づきまして、地方創生や住民サービスの向上に資する取り組みを実現してきておりまして、全国知事会や全国市長会などからも、地方分権改革を着実に進めるもの、真の分権型社会の構築に資するものなどの評価をいただいているところでございます。
したがいまして、平成二十九年につきましても、これまで三年間の経験を踏まえまして充実改善を図った上で、引き続きこの提案募集方式に取り組むこととしたいと考えております。
具体的な手続でございますが、ことしの二月に、各地方公共団体に対しまして、積極的な提案をしていただくよう、平成二十九年における実施に向けて呼びかけをしたところでございます。今後、五月の中旬までに地方公共団体から私ども内閣府に事前相談をしていただきまして、論点を補強するなど提案内容を充実させた上で、六月上旬までに正式提案をしていただきたいと考えております。
その後、地方公共団体から提案内容を十分お伺いした上で、地方分権改革の有識者会議、提案募集検討の専門部会における審議を経まして、各省庁と調整を行いまして、年末に対応方針を取りまとめたいと考えているところでございます。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
ここで、時間のない中で、一般質問についても、どうしても地元の事情がございまして、お聞きしたいことがあります。
ローカルアベノミクスということが叫ばれておりまして、この一環としてスポーツを核とした地域活性化というものが一つ挙げられていると思います。先日も、未来投資会議の場で、総理がバスケットボールのBリーグについて触れられております。スタジアム、アリーナというものを後押ししていこうというような議題が出たかと思っております。
私の地元にも西宮ストークスというプロバスケットボールチームがありまして、ただいま競技場の整備というものを検討しているんですが、競技場といっても、体育館の観客席をふやしたというような従来の市民体育館の延長という発想ではなくて、むしろ観客が楽しんでお金を落としていっていただけるプロフィットセンターとしてのスタジアム、アリーナというものができればいいなというふうに考えておるんです。
こういったもの、借金を抱えて税金でやるということではなくて、民間の取り組み、こういったものを取り入れていく必要があるんですが、この民間の取り組みに対して国としてどのような支援策が用意できるのか、御説明を願いたいと思います。
○平井政府参考人 お答えいたします。
スタジアム、アリーナを核とした地域の活性化につきましては、現在スポーツ庁におきましては、経済産業省等関係省庁と連携し、スタジアム・アリーナ推進官民連携協議会を立ち上げまして議論を進めているところでございます。
昨年十一月には、この方向性を示すスタジアム・アリーナ改革指針を公表いたしました。これまでのスポーツ施設に対する固定観念、前例主義等に関するマインドチェンジを図りまして、多目的複合型、町中立地、民間活力の導入などをキーワードとした構想のもと、将来に負担を残さない収益性の高い施設の整備に向けた官民連携の必要性を取りまとめたところでございます。
これらを踏まえまして、スポーツ庁としましては、関係省庁、関係機関と連携し、一つには指針に基づく資金調達や事業手法のガイドラインの策定、また専門家の派遣による整備計画の策定の支援、それからコンセッション方式を初めとしたPFIなど民間活力の導入の促進等を通じまして、全国各地で構想されている先進事例の具体的な案件についての支援を行い、スポーツを通じた地域活性化の実現に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
いろいろな制度を用意していただいているんですけれども、どうしてもやはり、地元自治体におきますと、これ以上借金をふやしちゃいけないとか、市民体育館というものはそういうぜいたくなものをしてはいけないという発想、あるいは、昔の箱物行政みたいになってしまって、結局借金を抱えて、誰も使わないものが自治体の財政を、足を引っ張ってしまう、こういうことになってはいけないんですが、その発想を転換して、ここでもうけていただく、こういうことも、もうけることは悪いことではないという自治体のマインドチェンジが大事ではないかということで、国においても、そういったことを国が今考えているんだということをいろいろな場面で普及をさせていただければと思っております。
私の持ち時間はこれで終わりますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○木村委員長 次に、小川淳也君。
○小川委員 民進党の小川淳也です。
分権一括法に関連してお尋ねをしたいと思います。
まず、先ほども議論のありました手挙げ方式が始まってから、要望件数が初年度に比べますと半分以下、かなり減っているように思います。分権に対する熱が冷めているんじゃないかという気がしますが、大臣、この点いかがですか。
○山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。
提案募集方式におきましては、平成二十六年の導入以来、長年、地方からの要望が強かった農地転用許可権限の移譲や地方版ハローワークの創設を初めとする権限移譲等を行い、地方公共団体からも高く評価されているところであります。
一方、規制緩和に関する提案につきましては、横ばい傾向ではありますが、権限移譲に関しては、これまでの取り組みの積み重ねもあり、減少傾向にあります。地方からの提案の掘り起こしのために、提案募集の実践的なノウハウを幅広く掲載した地方分権改革・提案募集方式ハンドブック、過去の提案状況を簡単に検索できる提案募集方式データベース、地方分権改革の経緯や各自治体における取り組みの成果を取りまとめた地方分権改革事例集を作成するとともに、ことしに入ってから二十回以上、地方に出向いて研修を行うなど、研修、説明会を充実強化しております。
今後とも、地方公共団体が住民生活の向上に資する提案を積極的に行うことができるよう支援するとともに、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと思っております。
○小川委員 実績が上がっているから提案件数が減っているという御認識ですか、大臣。
○山本(幸)国務大臣 それもあると思います。同時に、まだまだ市町村のところでは十分にこの方式についての理解が、完全に進んでいないのではないかと思っております。
といいますのも、全市町村の中で、昨年度は四%ぐらいの市町村しか提案しておりません。過去三年の累計を見てもまだ八%程度でありますので、まだまだ市町村の理解が十分に進んでいないのではないかと思っておりまして、これについて、我々は、各地で研修会を行うなど、あるいは、こういう提案をしたらこんないい事例になりましたよということを見える化していくことが大事だと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、データを提供したり、あるいはハンドブックをつくったり、優良事例集をお配りするということで努力をしてまいりたいと思っているところであります。
○小川委員 最初は、書いたものを読まれたからそういう御答弁だったんだと思いますが、やはり、実績が上がっているから提案が減っているという御認識だとすれば、それは甚だ世の中の実感、私ども野党の立場とはいえ、感じている実感と異なるんじゃないかという気がします。
ちょっと確認しておきたいと思いますが、かつて手挙げ方式という思い切った手法を採用されたことは、私は評価されるべきだと思います。初年度は九百五十三件の提案があった。しかし、昨年は三百三件、三分の一ですよね。しかし、三百三件の提案があったにもかかわらず、実現の運びになりそうなのが百十六件ということで、三分の一しか採用されていないわけであります。
こういったところに、もし、自治体の側からすれば、提案したところでそんなにいい答えは返ってこない、簡単じゃないという諦めムードが広がれば、この仕組み、手法そのものが、これから先、十分機能しない。今大臣は周知徹底とおっしゃいましたけれども、それ以上にこの要望をどう実現するかというところにこそ、むしろ注力していただきたいと思いますが、この点、いかがですか。
○山本(幸)国務大臣 それはもう委員御指摘のとおりだと私も思います。したがって、いかに提案を受けて実現を図っていくかということが大変大事になります。
ただ、提案については、実現しなかったものもあるわけですけれども、これにも幾つか理由がございまして、例えば、知事会は反対している、一方で市町村の方からはやってもらいたいというようなことで、意見の相違があって、なかなか結論が得られなかったということもあります。
それから、予算とか、あるいは全体の税財政については、これは総務省等のところで考えていただくというようなこともありまして、そういうものを除いていきまして、そして最終的に提案が実現というのが百十六件ということでありまして、その意味では、可能性のあるものについてはかなり、七六・五%ですから、やっていると思いますけれども、その辺の区分けの認識について、まだ十分理解ができていないということがあるのかと承知しております。
ただ、全国知事会や市長会は、このやり方については大変評価しておりまして、ぜひしっかりやってもらいたいということでありますので、お互いの理解を深めながら実現を図るようにしていきたいと思っております。
○小川委員 まさに、知事会と市長会の意見が合わないようなときこそ、大臣のリーダーシップが問われる、その真価が問われる事案だと思うんですよね。そういう意味で、大臣に期待される力量といいますか、それは非常に大なるものがあろうかと思います。
今回、幾つか複数の改正項目がありますが、目玉の一つは、いわゆる幼稚園型と保育所型のこども園に関する許認可権限を、現在の都道府県から政令市に移すというのが目玉の一つだと理解をしています。
ただ、これも、今まさに、知事会と市長会、あるいは関連の業界団体がいろいろあるでしょう。その兼ね合いがあってこその現在の形かもしれませんが、ちょっと制度論的に理解に苦しむ部分も多いんです。
例えば、幼保連携型、幼保一体型のこども園は、既に中核市まで含めて権限移譲されているわけですよね。幼保連携型ですから、従来にない類型ですよ。新しく設けた類型。したがって、さまざまな複雑な制度運用から、あるいは補助金や許認可を含めた手続から、あるいは子供たちの受け入れ体制から、かなり工夫と苦労がある世界だと思います。これが中核市まで移譲されているのに、なぜ幼保、幼稚園型、保育所型という従来型のシンプルな形態が都道府県でなければならないのか。
今回、政令市に移すことが一つの目玉ですが、なぜ中核市はだめなのか。これはちょっと説明するのは難しいと思いますが、いかがですか。
○中島政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の点については、歴史的経緯がございまして、今、現行法はこうなっているということを今から御説明させていただきます。
認定こども園法ができたのは平成十八年でございまして、そのときに、幼保連携型の認定こども園については、幼稚園と保育所というものの類型を合体させるということで、幼稚園部分については都道府県で認可をしていただく、保育所については、都道府県、政令市、中核市で認可をしていただく、その前提の上に立って、認定こども園として都道府県で認定をしていただくという、ある意味複雑な仕組みになっていたわけです。
それが、平成二十四年に、先生方、民主党政権のときに、総合こども園構想というものを打ち出されまして、保育所といわゆる認定こども園の全類型を総合こども園に一本化しようという形の構想を御提示いただいたわけでございます。
その中では、その総合こども園は、認可、認可、認定、そういう複雑な仕組みじゃなくて、認定という形で手続を一元化し、その認定を行う主体も、都道府県のみならず、政令市さらには中核市まで落とすという中身であったわけです。それがいわゆる総合こども園構想です。
それが、その後の税と社会保障の一体改革の議論の中で、民自公で協議をし、合意をされた結果、総合こども園の一本化というものはとりあえずおいておいて、現行の認定こども園制度というものを基礎づけて、それを改善していこうという形で制度が見直されることになった。ただ、その際、幼保連携型の認定こども園については、従来のような複雑な認可、認可、認定という形ではなくて、認可に一本化し、そしてかつ、認可権者も、都道府県のみならず、政令市、中核市まで落とすという形になっていたわけでございます。それは、衆議院における修正でしていただいたということでございます。
その際、今委員御指摘のその他の類型については特段の手当ては行っておられなかったということで、制度的には若干複雑な仕組みにこれまでのところはなっておったという経緯でございます。
(略)
○小川委員 ということ、一事が万事でありまして、分権という切り口からのお尋ねではありますが、非常に、政策効果の検証また実現に向けた意気込みにおいては極めて道半ばだということは改めて指摘をしたいと思います。
二、三、追加でお尋ねしたいのが、大臣、私ども民主党政権時代、もちろん大きな、いろいろな反省があるわけですけれども、ただ、この分権改革、当時は地域主権改革と言っておりました。目玉の一つは、やはり一括交付金だったんですよね。各省にまたがる補助金を統合して、そして地域のニーズに合わせて、場合によっては予算配分を組み替え、そしてできるだけ手続も簡素にして、自治体の自主性なり自立性を高めたいという文脈での政策でありました。それが廃止されているわけです。
一方、これはちょっと二つの観点から疑問に思うんですが、沖縄に対しては、この交付金は当時のまま残され、あるいはさらに拡充をされ、そしてソフト事業にまで踏み込んでいるわけであります。沖縄で喜ばれる施策であれば、全国四十六、その他の都道府県であっていいと思うんですよ。
今回の提案募集方式、約二百件が未実現、実現不可能ということなんですけれども、よく見ると、例えば、はねられたものの中に、TPP関連対策の補助事業を一元化してほしいという要望とか、それから、まさに、こども園に係る交付金制度がさまざま複雑なので一元化してほしいという、補助金の統合化に関する要望が出ているんですよね。それは、さまざま理屈がついているようですけれども、はねられているわけです。
大臣、これは改めて、どの政権がとか誰が政権を担当しているかにかかわらず、いいものはいい、望まれるものは望まれるで、この補助金の統合、一括交付金とあえて呼ばなくて結構です、各省にまたがった補助金の統合、そして自由度の高い交付金化こそがこの分権改革においては極めて大きな目玉になり得ると思いますけれども、大臣、いかがですか。
○山本(幸)国務大臣 御指摘の趣旨はよくわかりますが、沖縄については、本土復帰、四十七年に成ったわけでありますけれども、累次の沖縄振興法制に基づいてさまざまな振興策を講じるなど、本土とは異なる特殊な諸事情がございます。
このため、沖縄振興交付金については、沖縄県からの要望を最大限尊重し、沖縄の実情に即してより的確かつ効果的に施策を展開するために、ソフト、ハード両面から措置する必要があることから、沖縄振興特別措置法の改正時、平成二十四年四月施行ですけれども、に新たに規定を設けて創設されたものと承知しております。
一方、沖縄を除く全国を対象とした地域自主戦略交付金につきましては、地域の自由裁量を拡大するため投資補助金の一括交付金化に取り組むものとして創設される等、その政策的な位置づけが、そもそも成り立ちが異なっているということで、同様に扱うことは適当でないと考えております。そういう問題がございました。
それから、一括交付金を廃止したということでありますけれども、これは、運用する中で、対象事業が従来の補助金事業に限定されていることや、事業規模の年度間の変動や地域間の偏在を考慮すると、交付対象を一般市町村に拡大することは困難であったこと、それから手続の煩雑さといったさまざまな問題点が地方公共団体から指摘をされまして、平成二十五年度に廃止し、運用改善を行った上で各省庁の交付金等に移行しているものと、そういう意味で改善を図ったというふうに理解しております。
(略)
○渡辺(周)委員 ですので、どうぞ各省庁はそこは連携をしながら、地方の、ぜひともインバウンドに対応したインフラ整備、特に交通機関においては互換性を高めるべくいろいろ取り組んでいただきたい、そのことをぜひ強く申し上げたいと思います。
さて、それでは次の質問に移ります。
やはり、きょうの議題となっております法律、地方の自主性、自立性ということで、いろいろな法律の義務づけ、枠づけの見直しということが、我々も、先ほどの小川委員と同様に、反対するものではございません。むしろ、我々としては物足りないぐらいなんですが。
やはり、そうはいっても、法制度を幾ら任せても、変えていっても、肝心な地域の活性、地方創生ということに関しては、最初に申し上げたような例えば財源、自主財源ね、ふるさと納税はちょっとだけ触れました。それから、もう一つはやはり人ですよね。特に若い人たちの流出というものが今深刻な問題になる中で、きょうはちょっと残り限られた時間ですが、高校と大学について国の考え方を伺いたいと思います。
一つは、大学。最近、地方の私立大学の公立化ということが進んでいます。もうこれまでに大学七つが公立化をして、今後、六つの大学が予定、検討をしているということでございますが、これは、若者の流出、大学の経営が非常に厳しい中で、今、大体、私立大学の四割が定員割れと言われる中で、地方から撤退されると若者もいなくなる。だから、どうしても、公立にしてでも残したい。
反面で、私立の大学にしてみますと、公立化することによって、これは地域活性化の担い手をつくるということも地域にとってはありがたいが、実は、この交付金は国からの交付税で賄われるということになるわけです。
学生にとっては公立化によって学費も下がるし、競争率も上がったし、若者は残ってくれるし、うれしいんですが、ただ、これがずっと続いていくと、私立大学がどんどん公立化をすべく、ある意味では救済をされるということに関して、私立の学校の中でも不公平感が出てくるんじゃないかという指摘もございます。その点について、この私立大学の公立化について、大臣はどうあるべきだとお考えになっているのか。
それともう一つは、高校の、ちょっと時間がありませんので、分けていた質問を一つにしますと、地方への留学制度。
有名なのが、島根県隠岐の島の島前高校というところで、これは、島の外から、島根県はもとより全国から募集をして、今、この方式をまねて沖縄や北海道でも、いわゆる島外からの留学をふやして、若者の移住、定住をしていこうと。そのためには、ICTを導入したさまざまな授業の、先生が足りない部分の穴埋めもします。あるいは地域の人たちが一緒になって進学のための公営塾のようなものをつくったり、あるいは、実学として、地域の方々の協力のもとで、教室の中では学べないことを学ぶことによって、生き生きとした、いろいろな勉強ができて、将来は島の活性化に役立とうと。
何とかその島前高校の場合は、定員割れしていた学校が、何と定員が倍になったというような成功例がよくニュースになるわけですけれども、今申し上げた高校と大学、やはり教育機関がなくなることによって若い人たちがいなくなる。特に深刻なのは、高校がなくなってしまうと、十五歳の子供を持った家庭は、地域になかったらもう家族も一緒になって出ていってしまうんですね、教育機会がないということで。ますます若者の流出、働き盛りの流出に拍車がかかってしまうわけなんです。
まず、私立の大学の公立化について大臣のお考え、そしてまた、この離島留学にかかわらず、過疎地域の、例えば高校が今後そういう県外留学なんかをふやしていくための、どのように援助したり支援をしたらいいか、そんなことでお考えがあったらぜひ伺いたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 委員御指摘のように、少子化が進む中で地方の中小規模の私立大学の経営は大変厳しくなっておりまして、近年、地方公共団体が地域の実情や地域経済への影響などを考えて、大学を地方に残すために公立大学化する事例も見られております。
私立大学の公立大学化につきましては、第一義的には、地方自治体において、大学で養成される人材の需要や定員の充足、法人経営が見通せるのかを十分検討した上で公立大学としての設置の是非を判断されているものと考えております。
ただ、こういう問題については我々も大変強い問題意識を持っておりまして、本年二月に、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を私のもとに立ち上げまして、地方大学の振興、東京の大学の新増設の抑制及び地方移転の促進、地方における若者雇用機会の創出等について検討を行っていただいているところでございます。
当有識者会議におきましては、こうした論点も含めて現在さまざまな議論を行っていただいているところでありまして、今後、五月中旬を目途に中間報告を取りまとめていただく予定であり、私としても、地方大学の振興等についてはしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
それから、隠岐、島根県海士町の取り組みの、いわゆる島留学制度でございますけれども、私も二度ほど海士町を訪問して、この取り組みについても承知しております。
同町では、大変教育が大事だという認識のもとに、廃校寸前だった島唯一の隠岐島前高校におきまして、島全体を学校、地域住民を先生、地域課題を教材とするということで魅力化して、全国から意欲ある生徒を募集する島留学が平成二十年度から行われております。私も訪問し、同町で、島前高校を支援するために公立の塾を立ち上げております。隠岐國学習センターを設立して高校の学力を上げ、全国からの進学希望者も増加していると。近年、島外枠が厳しいために中学生の段階から親子で移住してくる例も出てきているなど、地方創生モデルとしては大変すばらしいものだと考えております。
また、例えば北海道の音威子府村というところでは、村立の美術工芸高校が、地元木材を生かした木工芸の教育で、北海道最北の宗谷管内から鹿児島県まで全国から生徒を集めている。そして、生徒たちが村の運動会など村内行事へ積極的に参加することにより、村の活性化にもつながっていると聞いております。
このように、地方において高校段階から生徒を集める取り組みにつきましては、地方創生において、新たな人の流れの創出や、生徒や住民に多様な価値観が生まれる、育まれるという観点から大変重要なものと評価し、できるものについては私どもも支援をしていきたいと思っております。
○渡辺(周)委員 ぜひ、これは実は、島のいろいろな、昨年の夏に、私が沖縄の委員長をやったときに、久米島でも、やはり島前高校をまねた久米島高校も、こうして実は島外留学を受け入れています、東京や横浜にも説明会に行ってと。やはり進学に対する例えばインフラがありませんから、進学を考えたときに、どうしてもデメリットということもあります。そこはICTの力で、ほかの学校の共通授業を受けたりしながら、何とかできる部分もあります。やはり、そこはぜひ最大限利用していきたいと思います。
島で成功すれば、実は、私の静岡県の伊豆半島も、この春の高校、二月ごろに募集人員に対する応募人員が、もう定員割れをほとんどしているわけですね。そうしますと、いずれ、地方の、これは離島に限らず、やはり過疎地域と言われるところにある唯一の高校も、将来的にはどんどんどんどん縮小して、最後は廃校になるのではないか。そうすると、まさに十五歳を抱える家庭は出ていっちゃうわけですから、ぜひ、これは一つの例として、離島で成功するものならば、地続きの各地、日本全国の各地でも成功するだろうということで、何とか後押しをしていきたいと思います。
もう時間が来ました。いろいろ、実は、中央省庁の地方移転についてもただす予定だったのですが、時間がなくなりましたので、別の機会に質問をすることとします。答弁を用意された方には、大変御足労いただいて申しわけなかったんですが、時間の決まりがございますので、これで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○木村委員長 次に、坂本祐之輔君。
○坂本(祐)委員 民進党・無所属クラブの坂本祐之輔でございます。
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、第七次地方分権一括法についてお伺いをさせていただきます。
今回の法案について、政府は、地方分権改革に関する提案募集要項において、国、地方の税財源配分や税制改正に関する提案及び国が直接執行する事業の運用改善に関する提案等については、これまでどおり、権限移譲または地方に対する規制緩和に当たらないものとして、提案募集の対象外とされておりますけれども、私は、ここが地方分権改革を推進していく上で最も重要な点であると考えておりまして、この点を排除してしまいますと、地方分権改革は今後も全く進まないと考えております。
ここにこそ政府の地方分権に対する姿勢があらわれているのではないか、本当に分権改革を進めようとしている意思があるのか、まず大臣の見解をお伺いいたします。
○山本(幸)国務大臣 平成二十六年六月に、地方の代表も参画している地方分権改革有識者会議におきまして、権限の移譲及び地方に対する規制緩和について提案募集方式の活用が提言され、政府としては、これに基づいて取り組みを進めているところであります。
こうした中で、税財源配分や税制改正等の財源措置については、国、地方を通じた税財政制度全体を視野に入れ、専門的に検討すべき事項であり、地方の多様性を生かして個別に制度改正の提案を検討する提案募集方式にはなじまないため、対象外としております。また、予算事業の新設や国が直接執行する事業の運用改善については、地方公共団体に対する権限移譲や規制緩和に当たらないと考えられることから、対象外としているところであります。
そういうことでありますけれども、今後とも、地方の意見に耳を傾けて、個別具体の提案に対しては丁寧な対応に努めながら地方分権を推進するように取り組んでまいりたいと思っております。
こうした国、地方の税財源配分や税制改正というような問題は、これもまた大変重要な問題であることは認識しておりますが、これについては、所管である総務省等の所管省庁において別途検討されるべきものだと考えているところであります。
○坂本(祐)委員 今回の分権一括法におきましては、都道府県から指定都市等への事務、権限の移譲といった地方の中での権限の移譲や、国と地方の間での手続方法の見直し等、国から地方への権限の移譲はほとんど行われておらず、地方分権改革とは言っているものの、地方分権を大胆に進めるようになってはいないという印象を受けますが、いかがでしょうか。
○境政府参考人 お答えいたします。
地方分権改革におきまして、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることが重要であると考えておりまして、これまでの地方分権一括法、具体的には第四次の一括法から前回第六次の一括法まででございますが、これらにおきまして、農地転用許可権限の都道府県または指定市町村への移譲を初めまして、国から地方への権限移譲に関しまして五十二法律を改正するなど、着実に推進をしてきているところでございます。
御指摘のとおり、今回の七次一括法におきましては、国から地方への権限移譲に係るものはございませんけれども、例えば、認定こども園の認定の指定都市への移譲など、政府が重要施策として掲げます地方創生あるいは子ども・子育て支援の分野におきまして、地方の現場で困っている具体的な支障に対しましてきめ細やかな対応を図るなど、大きな成果が含まれているものと考えております。
国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権改革を目指しまして平成二十六年から導入しております提案募集方式は、地方の現場における支障を解決し、地方創生や住民サービスの向上に資するものとして重要な意義があると認識をしておりまして、知事会あるいは市長会などからも、地方分権改革を着実に進める取り組み、真の分権型社会の構築に資するものなどの評価をいただいております。
今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ちまして、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと考えております。
(略)
○坂本(祐)委員 地方の時代と言われて久しいわけでございまして、今御指摘をいただきましたけれども、市役所あるいは町、村の役場、職員は常に地域住民と日々接しているわけでございまして、市町村長も市町村議会議員も日々その地域住民の中にあって、地域で何が求められているのか、福祉向上に取り組んでいるわけでございますから、これは、御心配をいただくよりは、地域の声をもっと行政、いわゆる国が吸い上げて、どのような形で応援したら本当に地方分権が推進できるのか、あるいは地方の自主性や自立性を高めることができるのかという、しっかりとしたアンテナを持つことも大切だというふうに考えております。
政府は、これまでの一連の地方分権改革の取り組みが、この地方分権改革の原点であります平成五年の衆参両院の地方分権の推進に関する決議にある、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現、この社会の実現にどの程度寄与したとお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 地方分権改革の起点となりましたのが地方分権の推進に関する決議でありますが、それから二十年以上が経過し、その間、国と地方の関係の、上下主従関係から対等協力の関係への転換、三位一体改革による税源の移譲、地方に対する権限移譲や規制緩和など、地方の自主性、自立性を高めるための改革を積み重ねてまいりました。
平成二十六年からは、提案募集方式に基づきまして地方の声にきめ細かく対応することにより、地域課題を解決し、住民サービスの向上を図る具体的な取り組みを推進してきたところであります。
これらの改革によりまして、地域がみずからの発想と創意工夫により地域社会の発展を図るための基盤の構築が進められてきたものと考えております。
今後とも、地方からの提案の最大限の実現を図ることにより、地域の実情を踏まえた住民サービスの向上、ひいては国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現に資するよう取り組みを進めてまいりたいと思っております。
○坂本(祐)委員 地方分権改革と地方創生の関係につきましては、まち・ひと・しごと総合戦略において、「地方分権改革の推進は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生において極めて重要なテーマ」としております。「国から地方への権限移譲や規制緩和に関する地方からの提案について最大限の実現を図るなど制度改正を強力に進めていく」とされています。
また、平成二十六年以降の地方からの提案等に関する対応方針におきましても、地方分権改革の推進は、地方創生における極めて重要なテーマと明記をされています。
地方創生の取り組みには、まさに権限、財源が伴わなければならず、権限、財源の移譲が不可欠であります。私は、地方分権改革の推進は地方創生における極めて重要なテーマであることはもちろん、地方創生は地方分権とセットで一緒に進めていかなければならないと考えております。
しかしながら、以前から指摘をさせていただいておりますけれども、現在の政府の地方創生の取り組みは、むしろ地方分権の流れとは逆行して、中央集権体制を強めているのではと感じてなりません。権限も財源も国が握っている状況で、地域が自立をしてみずからの発想と創意工夫を生かして地方創生を果たしてすることができるのか、疑問であります。
ここでお伺いをいたしますが、地方を創生するための今後の地方分権改革のあり方について政府はどのようにお考えか、具体的にお示しをいただきたいと存じます。
〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
○山本(幸)国務大臣 私は、昨年の八月に大臣に就任して以来、地方創生とは地方の平均所得を上げることだと定義するとともに、地方の自助の精神が最も重要だと強調して取り組みを進めてきたところでございます。
地方に対する権限移譲や規制緩和を進める地方分権改革の推進は、まさに自助の精神のもと、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものでありまして、地方創生において極めて重要なテーマであると考えております。
平成二十六年からは、国が選ぶのではなくて地方が選ぶことができるという観点から、提案募集方式を導入しているところでありますが、平成二十八年の提案募集においても、政府が重要施策として掲げる地方創生の分野において、地方の現場で困っている具体的な支障に対し、きめ細やかに対応することができました。例えば、公有地の拡大の推進に関する法律に基づき取得した土地の活用の促進、既存の住宅を寄宿舎に活用する場合の階段基準の合理化、都市公園内に設置できる施設の明確化など、地域資源の利活用に資する提案が実現いたしました。
また、これまでも長年、地方からの要望が非常に強かった農地転用許可権限の権限移譲や、地方版ハローワークの創設など、地方創生に資する取り組みを進めてきたものと認識しております。
今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと思っております。
○坂本(祐)委員 私は、平成六年に埼玉県の九万都市である東松山市の市長に就任をさせていただきまして、平成二十二年までの十六年間、続けさせていただきました。
その間に、第一次地方分権改革、平成の市町村大合併、三位一体の改革、第二次地方分権改革と、国による地方に対するさまざまな取り組みが行われてきました。そして私も、市長在職中は、国の推進をする地方分権改革に大いに期待をしたものであります。
しかしながら、私が期待をいたしました権限、税財源の移譲を伴った大胆な地方分権は一向に進んでおりませんで、進まないどころか、政策的にはどれもが中途半端であったのではないかというふうに考えております。
第一次の地方分権改革以降、さまざまな事務、権限が国から地方に移される中で、例えば、パスポートの申請手続が市町村でできるようになったこともありました。住民サービスの向上や事務の効率化の向上という面はもちろんあったものの、その後の地方の事務負担や財政負担はふえるばかりでございまして、権限、財源があればもっとさまざまな取り組みができたのではないかと考えております。
現在取り組まれている地方創生につきましても、何度も指摘をさせていただいているとおり、旧態依然とした中央集権的な体制でございまして、国から地方へのばらまき政策でしかなくて、真に地方の本来の活性化や将来の発展を見据えての政策であるとは考えられません。
政府は、地方の将来あるべき姿について本当に真剣に考えているのか、少子化、高齢化、そして地方経済の停滞化等多くの問題を抱えている中で、相変わらず中途半端な政策に明け暮れていてはもう手おくれになってしまう、本当に地方の時代、地域の時代というのがやってこないのではないか、このように心配をいたしております。
地方分権改革のあり方や地方創生の取り組みをいま一度見直して、これから日本のあるべき姿、地方のあるべき姿をしっかりと示すとともに、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現のために、税財源と権限を伴った地方分権を推し進めるべきと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 御指摘はもっともだと思います。
そういう意味では、平成二十六年からやっております地方に対する権限移譲や規制緩和に関する提案募集方式を導入して、地方の創意工夫を生かすという取り組みを進め、地方分権改革を推進しているところでありますが、その際には、移譲された事務、権限に伴う財源措置について、地方税や地方交付税や国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずることとしております。一方で、全体の地方に対する税財源配分など地方税財政の見直しについては、総務省等の所管府省において別途検討され、しっかりとやっていただきたいというように思っておるところであります。
また、今後政府が目指すものといたしまして、現在、我が国においては成長と分配の好循環を全国津々浦々まで波及させて、人口減少等地域経済の縮小の悪循環の連鎖に歯どめをかけて、将来にわたって豊かな地域社会の発展を図ることが必要だと考えておるところであります。
このために、地域が持つ魅力、知恵、人材、資源、それを最大限引き出して、国及び地方において、官民の総力を挙げて地方創生を本格展開していかなければなりません。そのために、地方が自分たちの未来をみずからの創意工夫と努力で切り開くという自助の精神が最も重要であり、国としても、自主的、主体的な取り組みを行う地方公共団体に対して、地方創生推進交付金等の財政支援、情報支援、人材支援の地方創生版三本の矢で強力に支援しているところでございます。
また、地方分権改革についても、地方の自助の精神を制度面から体現し、地域の実情に応じた住民サービスの向上を進めるための重要な取り組みと考えておりまして、先ほど申し上げました提案募集方式に基づいて地方からの提案にきめ細かく対応することにより、地域がみずから課題解決を図るための基盤の構築を進めてまいりました。
今後とも、地方の未来そして日本の未来をみずからの手で切り開くことができるよう、分権型社会の確立を図りつつ、地方創生に取り組む地方を積極的に支援してまいりたいと思っております。
○坂本(祐)委員 地方の時代と言われて大変久しいわけでございます。しかし、依然として地方の時代は到来しておりません。それはひとえに、政府が、そして省庁が権限を握り締めて、党利党略あるいは官僚の既得権益がそこにあるからではないか、私たちは地方にいたときにそのように感じてなりませんでした。本当に地方分権を推進するのであれば、私は道州制をもっとしっかりと推進するべきだと考えておりますし、また同様に、都道府県のあり方にも問題があるのではないかと思います。
平成の大合併が終わって、本当に地方は豊かになったのでしょうか。都市間競争は激化をして、ふるさと納税のように、真にふるさとを思う、そして地域を思うがゆえに納税を行うのではなくて、個人の利益に走ってしまい、それを、行政が拍車をかけてしまう。本来の地方の豊かさというのは、ふるさとを愛し、そこで生活を営む方々が、ささやかであっても、将来に夢や希望を見出して、そして豊かな生活を続けることができる地域なのではないかと考えております。それは、大都市で暮らしていても、地方で暮らしていても、同じでございます。
国は国で行うこと、地方は地方で行うことをしっかりと分けていく、そして、そこに暮らす方々がその地域や郷土に必要なものを行政を通して実現していく、そういった住民主体のまちづくりを実現させることが国の役割ではないのかということを申し上げて、質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
(略)
○田村(貴)委員 やはり、新設を抑制するという方向から脱却していかなければならない、そういう状況に地方が来ているというふうに思います。
ここの項の最後の質問なんですけれども、公営住宅法の改正は、この間、地方分権改革関連の一括法の中で行われてまいりました。二〇一一年の第一次分権一括法では、入居収入基準についての条例委任が行われました。また、同年の第二次一括法では、建てかえ事業を施行する土地の面積、整備すべき公営住宅の構造といった公営住宅建てかえ計画の記載事項について、義務から努力義務にしたわけであります。
これらは、公営住宅の建てかえ事業制度にかかわる重要な改正でありました。しかし、この国交省所管の法改正を審議するのが、この地方創生特別委員会であります。
今申しましたところの改正質疑に立ったのは、議員でたった一人であります。第二次一括法では誰もされなかったわけであります。なぜなのか。第一次は四十一本の法律が束になりました。第二次では、何と百八十八本の法律が一括して出されたために、取り上げたくても取り上げられなかった、こういう状況であります。こういう提案の仕方というのは、やはり国民にもこの内容が十分行き渡らないというふうに考えるものであります。
山本大臣にお伺いします。
今回も、今議論しましたけれども、たくさんの懸念があります。そういう法改正であります。公営住宅入居の収入基準や建てかえ事業について、これだけ重要な案件にもかかわらず、この審議で国土交通大臣は答弁されないんですよね。そして、立法府の役割をこれでは十分果たせないのではないかなというふうに私は考えます。
こうした、一括して提案していく、重要法案を束となって一括提案するというやり方はもう見直さなければいけないというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 今回の法案は、過去六次にわたる一括法と同様に、地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を通じて地域の自主性及び自立性を高め、みずからの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものでありまして、一括法として統一的に見直すことが適当であると考えているところであります。
また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づき措置することとした改正事項を盛り込んでいるところであり、関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることにより、改正の趣旨、全体像がわかりやすくなるものと考えております。
今後とも、改正する法律の趣旨、目的及び改正の経緯に鑑み、統一的に見直すことが適当であるかを検討しつつ法案を提出してまいりたいと思います。
なお、公営住宅法の改正についても、提案募集方式による地方からの提案に基づき検討が行われたものであり、現地建てかえ要件の緩和により、円滑な公営住宅の建てかえ、集約の実施が可能となることで、地域の住宅事情を踏まえたより適切な公営住宅の管理運営に資する等、地域の自主性及び自立性を高めるものであると考えております。
○田村(貴)委員 地方自治体からの提案であれば、なおさら重要な案件であります。所管大臣がちゃんと答弁に立てるところ、そうしたところで一本一本やはり法案というのは審議していくべきだというふうに思います。
この辺の改善を求めて、次の質問に移りたいと思います。藤井政務官、ありがとうございました。御退席いただいて結構です。
続いて、東京圏一極集中の是正について伺います。
総務省から、住民基本台帳人口移動報告、二〇一六年結果が一月に発表されました。この中で、東京圏の転入転出の状況について説明をしていただきたいと思います。
○千野政府参考人 お答えいたします。
二〇一六年の住民基本台帳人口移動報告から東京圏の転入転出超過数を見ますと、十一万七千八百六十八人の転入超過となっております。東京圏の転入超過は、一九九六年以降二十一年連続でございます。また、この転入超過数は、前年に比べますと千四百八十九人の減少となっております。東京圏で転入超過数が減少するのは、二〇一一年以来五年ぶりでございます。
○田村(貴)委員 資料を配付させていただいています。
都道府県別転入転出超過数ということでありますけれども、これはもう一目瞭然であります。東京圏、東京都それから神奈川県、千葉県、埼玉県、群を抜いて転入超過になっている。ほかの県はほとんど転出超過になっているということです。
私は福岡県でありまして、北九州市に暮らしているんですけれども、山本大臣御存じのように、北九州市の転出超過というのは日本で群を抜いているといったところで問題にもなっています。
その福岡県が転入増になっているのは、福岡市を中心とする福岡市都市圏の転入増の話であります。その福岡都市圏をもってしても、東京圏と比較しますと、東京圏との間では転出超過になっているという状況でありまして、やはり東京圏が全国の若者を中心として吸収しているという状況にあるわけであります。
この一極集中が長年にわたって変わっていないということであります。一九九六年といいますから、二十一年連続で東京圏の転入超過が続いているということであります。
こうした状況の中で、お尋ねしていきたいというふうに思いますけれども、政府は、まち・ひと・しごと創生総合戦略、二〇一四年のこの戦略の中で、東京一極集中の是正として、二〇一三年を起点に、東京圏から地方への転出を年間四万人増加させ、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させて、二〇二〇年の時点で東京圏から地方への転出転入を均衡させるという方針を閣議決定して打ち出しました。
しかし、現実には、二〇一三年以降、目標と真逆の状況になっていることを、私は昨年、本委員会でもそれから別の委員会でも再三にわたって指摘して、この計画の見直しはしないのですかということをお尋ねしてきました。
当時の石破大臣は、KPIについては見直しをしないというふうに言われたんですけれども、今般、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版については、総合戦略の見直しについても言及しています。ここについて説明をしていただきたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 御指摘のように、二〇一六年、五年ぶりに若干は減少したんですけれども、依然として東京一極集中の傾向は続いていると承知しております。
こうした厳しい状況が続いておりますが、国としては、企業の地方拠点強化税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまちの実現、地方創生インターンシップ事業等、多岐にわたる施策を推進するとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してきたところであります。
さらに、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等についての総合的な対策の検討等を推進することにより、東京一極集中是正の基本目標達成に向けて最大限努力してまいりたいと思っております。
ただ、二〇一七年度は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で五カ年を展望した中間年に当たります。その意味で、総合戦略で設定している基本目標やKPIについても必要な見直しを行い、より効果的な対応を検討することとしているところでありまして、基本目標について必要な見直しを行う中で、その目標を修正する可能性については否定いたしません。
○田村(貴)委員 まさに、ここの一丁目一番地に掲げた目標については、中間年であるので見直しになっていくというふうな理解として受けとめました。
そこで、私は、この東京圏一極集中の是正が地方創生の一丁目一番地だというふうに思って、前の大臣、石破大臣もそのとおりというふうにお答えいただいたんですけれども、その旗印は鮮明であったとしても、その旗印がオール・ジャパンとしての方針になっているのかという疑問があります。
東京圏の一都三県については、転入超過を縮小させる目標を掲げているんでしょうか。(山本(幸)国務大臣「もう一回質問を」と呼ぶ)
○木村委員長 もう一度質問して。ごめんなさい。
○田村(貴)委員 まち・ひと・しごとの一丁目一番の目標は東京圏一極集中の是正なんですけれども、では、その東京圏である一都三県は、転入超過を縮小させるというような人口ビジョンを打ち出しているのでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 地方創生は、地方と東京都がパイを奪い合うゼロサムではなくて、地方と東京都がそれぞれの強みを生かして日本全体を引っ張っていくプラスサムでなければならないと考えております。
こうした認識のもとで、石破前大臣のときに一都三県との間で地方創生に係る課題についての連絡会議を設けて、連携の方向性について検討したと承知しております。
地方人口ビジョンは、各地方公共団体において、人口減少をめぐる問題の認識の共有と目指すべき将来の方向性を提示することを目的として策定されているものでありまして、委員御指摘のとおり、一都三県の地方版総合戦略、人口ビジョンでは、東京圏と地方との転出入均衡という国の目標には必ずしも触れられてはおりません。
○田村(貴)委員 そうなんです。そうなっていないんですよね。ここは非常に大事なところであるんですけれども、まち・ひと・しごとの総合戦略の一番中心的な目標が、御本尊の、肝心な一都三県の政策と整合していないという一番の大きい問題があります。
転入超過が桁違いなのは東京であります。その東京は、個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である、人口の流入超過について、これを政策的に動かしていくことは難しいというふうにされています。
去年、石破前大臣は、このくだりにはかなり違和感を持つというふうにおっしゃいました。そして、東京圏の知事と問題意識を共有するところから作業を始めているというふうにお答えになったわけであります。
新しく大臣となられた山本大臣は、この重要問題について、東京都の小池知事あるいは三県の知事と、この問題についての認識を共有する話し合いを持たれておられるでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 直接一都三県の知事と一緒に会合したということはありませんけれども、地方六団体との意見交換会や国と地方の協議の場などについて、東京一極集中の是正を含む地方創生の諸課題については地方公共団体と意見交換しております。
小池知事とは個人的にもお話をしておりますが、小池知事は、東京をぜひ国際金融都市として引っ張る姿にしたいと言っておられます。
一方で、私は知事に対しても、やはり東京で余りに人口が集中する、特に若者が進学や就職のときに集中するというのは、これは問題があるという指摘もして、ぜひお互いにウイン・ウインの関係になるようにいきましょうねというような話をしているところであります。
私のもとで、今、先ほども紹介しましたけれども、地方の大学の振興や若者の地方での就職支援、あるいは東京における大学の新設、増設についての抑制というようなことについての議論を行っていただいているところでありますが、そこで私が指摘したのは、私は経済理論的に物を考える癖があるものですから、もうこれは市場が失敗している、明らかに。東京と地方では与えられた条件が全く違う、それから情報量が違う、そういう意味からいえば、市場の流れに任せていては全く解決できない。
そういう市場の失敗があるときには行政が介入をすることは可能であるというのがこれまでの私が学んできたことでありまして、そういう意味で、何らかの対策を講じないとこの傾向はなくならないと思いますので、そういうことも含めて今、有識者会議で検討していただいているところであります。
○田村(貴)委員 大臣が小池東京都知事と国際金融都市等についてお話しすることは、いろいろな重要なことがあると思います。
しかし、地方創生担当大臣としては、この問題が一丁目一番地なんですから、国としては、日本全国の人口減少社会に突入している中で、ここをクリアしないと地方創生ができないと言っているわけですから、この問題に限って、東京都、それから神奈川県、埼玉県、千葉県の知事含めてお話をされるのがやはり重要だというふうに考えております。
大臣は、大臣着任以降、六十五市町村を視察されたと。たくさんの地方創生の事業を御視察されたということは、これは非常に有益であるし重要であると思います。しかし、一番大事なところは、私が今申し上げたところだと思うわけなんです。
そもそも、二〇一四年の十一月、まち・ひと・しごと創生法ができたときに、この総則の目的、第一条には、「急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、」つまり、この問題は、人口問題を考えて、そして扱うんだと。そして、東京圏への人口の過度の集積を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保していくという大前提があるわけですね。この旗頭が基本になっているんです。この旗頭があって、この創生委員会も開かれているわけであります。しかし、現実は、閣議決定した目標も全く変わらない。
先ほど、東京圏の転入超過数が少し減ったと言いますけれども、これは少子化が一層進んで、そもそも移動する若者が減っているということのあらわれでもありますから、ここは余り強調をされない方がいいと思います。
こういう状況に変わりはありませんので、やはり原点に戻って、地方創生の一番大事な、東京圏一極集中の是正について全力を挙げていただきたい。必要な協議は直ちに開始していただきたいということを申し上げたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか、最後。
○山本(幸)国務大臣 御指摘のところはおっしゃるとおりだというふうに思います。
そういう意味で、必要に応じて、そうした会もしっかりやっていきたいと思います。
○田村(貴)委員 転出超過の北九州とかの事象については、今度また機会がありましたら議論させていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○木村委員長 次に、丸山穂高君。
○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。
維新の会は、今回の地方分権一括法、はっきり申し上げまして賛成でございます。
私、ちょうど役所にいたときにこの分権一括法、原課で、こういうのを、要は、分権すべきものはありませんか、出してくださいという指示が来まして、こんなものを役所に聞いたらあかんやろと思いながら、しかし仕事ですので、しっかりと、これをやるべきだみたいなものを出しました。
しかし、役所に聞いちゃうとどうしても、そんなものは、権限を地方が譲ってほしいと思っていても、しかし、国の方は譲るべきじゃないと考えてできない、分権ができないというのが基本だったんですけれども、その後、地方にもきっちり要望を聞かれるようになってまいりまして、それに基づいて、ほぼ毎年のようにしっかりと、要望の上がってきたものを検討して、できるものからやっていくということでやっておられますので、非常にすばらしい取り組みだというふうに思います。
そうした中で、ほぼ毎年のように改正されていますので、どうしても、最初の方はばあんと大きな規制緩和が進んでいるんですけれども、最近はどちらかというと、言い方がよくないかもしれませんけれども、小粒な改正も多くなったんじゃないかなというふうに言われているところです。それはそれで、別に、大きさが小さいから大きいから悪いというわけじゃなくて、現場において、地方においてニーズがあるのであれば、しっかりやっていかなきゃいけないというふうに思うんです。
しかし、こんなにいっぱい、いろいろなところで規制緩和をしていくと、一方で、地方の要望として、一度改正した部分でも、実は使い勝手が悪くて、もとに戻してほしいとか、逆に行けば、余りこれは使われていませんよねというような声も出てくるんじゃないかなというふうに思っているんです。
この法案は賛成なのでしっかりやっていただきたいんですけれども、確認だけしておきたくて、そうしたものがあるのかどうか、状況についてお伺いできますでしょうか。
○境政府参考人 お答えいたします。
提案募集方式は、地方の発意に根差した息の長い取り組みを図るものといたしまして、これまでの成果として、地方からの要望が強かった農地転用許可権限の移譲、地方版ハローワークの創設などのほか、本年は地方創生や子ども・子育て支援関係を初めといたします、地方の現場で困っている支障を解決してほしいという切実な提案を数多くいただいて、きめ細かくその実現を図ったところでございます。
御指摘の、過去の一括法の改正につきまして、改正前に戻してほしいといったような声は私ども承知しておりませんが、必ずしも十分に活用されていない事例といたしましては、例えば平成二十三年の第一次分権一括法によります保育所の居室面積の基準の緩和、これにつきましては、大阪市さんが活用されておられる一方で、地域要件を満たすほかの市、区ではまだ活用がされていないといったような事例はございます。
○丸山委員 去年ですかね、幼稚園とか保育園落ちた、日本死ねみたいな、死ねというのはけしからぬと思いますけれども、しかし、そうした声が国民の方から上がっているという話が出ていて、保育所が非常に問題になっているんです。
一方で、この面積の緩和、特に東京都なんて深刻で、東京都の話を中心にあのときされていたと思うんですけれども、私なんかは地方の議員ですので、大阪ですけれども、大阪の南の方で、そういった意味でいえば、やはり地方の話というよりはむしろ、先ほど例の挙がった大阪市内だとか、もしくは東京都だとか、愛知もそうなんでしょうけれども、そうした部分の問題にもかかわらず、問題の声が上がっているにもかかわらず、これを利用できていないということなので、実は我が党もこれを見ていまして、今、標準基準にされているんですけれども、参酌基準にしてほしいという要望もさらにあるんですが、一方でほかの、例えば、東京の話、愛知の話も含めて、どうやればもっと使い勝手がよくなるのか、地方の声は本当のところはどこにあるのかというのをしっかりと聞いていただいて、前に進めていただきたいと思います。
担当の方に聞いたら、早速行ってまいりますという話を聞いておりますが、大臣、この点も含めて、今後、改正方針、どういうふうに進めていかれるのか、もし変更とかもとに戻すというものがあれば柔軟にやられていかれるという理解でよろしいんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 この提案募集方式に基づく分権の取り組みは、地方の現場で困っている支障に基づく提案にきめ細かく対応して、地方創生や住民サービスの向上に資するものとして重要な意義があると認識しておりまして、全国知事会、全国市長会等からも、地方分権改革を着実に進める取り組み、真の分権型社会の構築に資するものとの評価をいただいております。
一方で、御指摘のように、これまでの分権改革の一部には、地方公共団体において十分に活用されていない例があるとは承知しております。ただ、それもいろいろ理由もあるようでありまして、まずはその実態をしっかりと調査、把握して、どうしたら、まさに地方の創意工夫が生かせて、地方公共団体の課題解決を図れるかということは検討していきたいと思います。
○丸山委員 しっかりとよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
この法案に関しては、きょうこの後採決ということでございますので、我が党もしっかり賛成していくということでございますけれども、次に、閣法として今、特区法の改正も予定されております。我が会派は毎回お時間を、もちろん会派ですのでいただけるんですけれども、いつも大体十五分か二十分でございまして、なかなかそれぞれに対してしっかりとした充実した審議がしにくうございますので、ちょっと先回りぎみなんですけれども、この特区法に関しても少しお聞きしていきながら、次の質疑につなげていきたいというふうに思うんです。
私、今回の、きょう採決する地方分権一括法の方はしっかりやっていくべきだと思うんですけれども、この特区の方は、もちろんやっていくべきなんですが、分野によってはしっかりとチェックしていかないと、五十年後、百年後の日本の姿を考えたときに、もうこれは大変なことになる可能性もあるものが含まれているんじゃないかというふうに思うんです。それは、いわゆる農作業に従事する外国人の受け入れ特区という形で、今回、含まれています。
昨年の臨時国会でも、介護分野への労働者の受け入れの話で、いわゆる技能実習制度の拡充という話をされてきました。そうした中で、まずデータからお伺いしたいんですけれども、どれぐらいの方が今日本に労働者として来られているという数をお伺いしていきたいんです。
まず最初に、我が国における外国人労働者の数とその推移、主な国別、どういった方々が来られているのか、割合についてお答えいただけますでしょうか。
○大西政府参考人 日本国内に就労する外国人労働者の数でございますが、外国人雇用状況届け出というのがございまして、これによりますと、平成二十八年十月末時点での集計で約百八万人でございます。
推移ということでございますが、平成二十六年の十月末時点では約七十九万人、平成二十七年の十月末時点では約九十一万人でございました。
また、国別の割合ということでございますが、平成二十八年十月末時点の外国人労働者の数を国籍別で見てまいりますと、先ほども申し上げた全体で約百八万人のうち、中国が最も多くて約三十四万人、続いて、ベトナム約十七万人、フィリピン約十三万人、ブラジル約十一万人という状況でございます。