平成29年3月22日 参議院内閣委員会
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は二つのテーマで質問を用意しておりまして、ちょっと順番を変えて、最初、ライドシェアの方から質問をさせていただきたいと思います。
ライドシェア、今世界的に見ますと、アメリカのウーバー社のような仕組みがかなり急速に広がってきています。じゃ、日本はどう対応していくのかということなんですが、このライドシェアに関して日本の対応、政府の考え、現状ではどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(早川治君) お答えいたします。
国土交通省といたしましては、自動車による旅客の運送において、安全、安心の確保が最重要の課題と認識をしております。
自家用車を用いましたいわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提といたしております。このような形態の旅客運送を有償で行うことにつきましては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。
○清水貴之君 今のは政府の考え方ということでよろしいでしょうか。国土交通省の考え方なのか。
というのも、政府の規制改革推進会議では、このライドシェア、解禁に向けて検討を進めていくと、法整備もしようというような流れも起きてきているというふうに聞いています。この辺りはいかがでしょうか。政府の考え方ですか。
○国務大臣(山本幸三君) 規制改革推進会議では、需給の構造変化を踏まえた移動・輸送サービス活性化のための環境整備について、事業者からの要望を踏まえて検討は行っておるところであります。
なお、議員御指摘の一般のドライバーが料金を取って自家用車で利用者を送迎するいわゆるライドシェアについては議論を行っていないと承知しております。
また、規制改革推進会議は委員主導による会議であるため、今後そうしたライドシェアの検討を行うかどうかについては私どもとしてはお答えする立場にはありません。
○清水貴之君 その一方で、現在、一部では、国家戦略特区などでは、過疎地ではという限定が付いているということなんですけれども、実際こういう有償運送も行われているというふうに聞いています。これは今どういった現状で、効果なり、何というんですかね、どういう認識でいるんでしょうか。
○国務大臣(山本幸三君) これは、昨年の国家戦略特区法の改正で、限定的に、そうした業者がいないところ等について、行政当局なりあるいはNPO法人なんかが責任を持って、そうした業者なんかとのまた調整も踏まえた上で、やむを得ないという場合にはそういうものを認めると、限定的に認めているところであります。したがって、そのことが大きな問題を起こすことになるというふうには承知しておりません。むしろ、どうしても観光上必要なことで、しかもちゃんと管理をしてやることにしているということであります。
○清水貴之君 現状は限定的で、特区でやっているわけですけれども、話を聞きますと、非常に利用実績もあって、その地域からは助かるという声が聞かれているということなんですね。ということは、特区でやってみて、もし、いいと、これがいいというのはほかの地域でも活用できる可能性があるわけですね。ということは、広がっていく可能性が十分にあるということですか、このやり方が。
○国務大臣(山本幸三君) そこは、先ほども国交省の方からお話がありましたように、まさに安全性を誰が確保するのかとか、あるいは事業者等の関係とかそういうことがありますので、そう簡単な話ではないというふうに理解しております。
○清水貴之君 これ、国交省にお聞きしたいんですが、済みません、事前にこれは具体的な会社とかは出していなかったんですが、相乗りサービスでnottecoというのもあります。それは御存じだと思います。これも相乗りサービスですね。ただ、実費以上の利益を取るのは違法になるため、利用者は遠方に行く場合に相乗りをすると、実費ですね、ガソリン代とか高速代を相互に負担しようという、こういうサービスを提供しているところがあるわけですね。これは、今の法の中であったりとかその体制の中だったら問題はないわけですか。
○政府参考人(早川治君) お答えいたします。
委員御指摘ありましたように、そのnottecoの現在のサービスにおきましては、要するに、例えば一定の場所に行く予定のある方が相乗りをする人をマッチングしてもらって、相乗りをしたときに、例えばガソリン代であるとか駐車料金であるとか高速代であるとか、そういう運行する上で避けられないような料金を分割するというようなサービスになっているというふうに承知しておりまして、そういう実費の負担するという範囲内においては現行法上問題はないものと考えております。
(略)
○政府参考人(佐々木聖子君) 今の御質問に関しまして、入国管理局といたしましては、留学生の個々の資格外活動の状況につきまして、厚生労働省から提供される外国人雇用状況届出により、雇用主やあるいは雇用開始時期等を把握することは可能になっています。ただし、就労時間を自動的に把握するような仕組みとはなってございません。
そのため、私どもも問題意識を持ってございまして、現在、外国人雇用状況届出の情報を活用して、留学生の資格外活動状況について実態を把握するための調査を行っています。また、日本語教育機関におきまして在籍管理等が適切に行われているかどうかを確認するための調査も行っているところでございます。
今後、これらの調査結果も踏まえまして、留学生に対する入国・在留審査に係る審査方針について検討いたしまして、週二十八時間を超えてアルバイトを行い、今まさに御指摘のように在留活動の主従が逆転をするようなことがないように努めてまいりたいと考えております。
○清水貴之君 この二十八時間という枠に関して、九州などからはもう少し延ばしてくれないか、三十六時間ぐらいまで広げてくれないか、特区として認めてくれないかと、こういった要望が出ているというふうに聞いています。これに対しては、政府としてはどのような認識でしょうか。
○国務大臣(山本幸三君) 国家戦略特区におきまして、北九州市から、昨年七月の集中受付期間及び九月の区域会議におきまして、留学生の資格外活動許可の規制緩和に関する提案をいただいております。
ただ、これは労働力として搾取をというような話では全くなくて、大きなスポーツ大会を開いたようなときに、大規模な国際大会、そういうときに留学生に是非活躍してもらいたいと。特に、英語とかだけじゃなくて、タイ語とかインドネシア語とか、通常の通訳のいない方たちもいますので、せっかく留学してきている学生たちにその期間だけ手伝ってもらいたいと、通訳とあるいはおもてなしというところで活躍してもらいたいと、そういうことであります。
これは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を前にして、いろんな大規模国際大会、その関連イベント、あるいは練習のための催しとかそういうことをやったときに是非留学生等に活躍してもらいたいということで、そのときの就労時間の規制緩和を提案しているものと、そういうふうに理解しております。
いただいた提案に対しましては内閣府が関係省庁と折衝を行っておりますが、法務省から個別の許可を取ればそれはできるという話があるんですが、その個別の許可を一々取っていると、聞くところによりますと大体二か月ぐらい申請してから掛かっちゃうというようなことで、ちょっと現実的ではないところもありまして、引き続き今調整をしているところであります。
○清水貴之君 もちろん、今足りていない労働力の分野、単純労働の分野でサポートをしてもらっているところもあると思いますが、一方で、やはり、先ほども答えていただきましたけれども、ちゃんと二十八時間という枠があって、国費の留学生などにはもう日本からも多額の、これはもう百億円を超えるお金が入っているわけですね。勉強してください、日本をもっと知ってくださいという思いで日本のお金を使って来てもらっている人たちが勉強せずに働いてばっかりというのは、これはやはり僕は違っていると思いますので、恐らく大分把握するのは難しいとは思うんですが、しっかりと把握をして対応していただきたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
(略)
○山本太郎君 前回、予算委員会で聞いたときよりも随分警戒した答えになっていますね。今の水道料金よりも高くなることは考えにくいという予算委員会ではお答えを多分いただいていると思うんですよね。随分気を付けて御発言なさっていると思うんです。
ええ、そうなんですよ。決めた幅以上にはならないよ、どうして、条例で決めているからねという話なんですよ。その条例、誰が定めるんですかって。全国それぞれの市区町村ですって。企業側との話合いになったときに、これひっくり返ることってないのかなって。それぐらいの交渉能力を市区町村みんなが持っているかって話だと思うんですよね。
水道事業の始まりから五十年以上たつところも多くあり、今後、老朽化による設備更新に費用が掛かると。そこに民間が運営、経営に参入してきて、今の水道料金よりも高くなることは考えにくいという答弁自体はすごく適当だなというふうに感じてしまう。老朽化による設備更新など、これら費用、当然料金に上乗せされてきますよね。どうやってそれ以外に回収する方法ありますか。
料金上げられないなら、インフラなどの設備も適当になります。その幅に見合わない、条例で決められた幅に見合わない料金、もっと上げていかなきゃこれ続けられないねという話になったら、撤退されちゃうんじゃないですか。民間企業は慈善事業ではないと。民間企業の目的は株主に対する配当を最大限にすることですから。だからこそ、公共性の高い水道事業は民営とはなじまないと。公共のサービスとしてここまで来た。
民営化された水道事業者は、地域独占という事業の性格上、地方公共団体に対して強力な交渉力を有することになりませんか。そのため、契約の途中に、事業者にとって有利な契約内容に変更を求められることや契約の解除や契約の不更新などのリスクも出てきますよね。
資料の三、厚労省の水道ビジョンの二って書いてある部分見ていただくと、水道事業というのは深刻化している、何が、人材不足についてということが書かれいていると思います。
PFI、水道では事業期間まだ決まっていないそうなんですね。水道以外のコンセッションでの事業期間はって聞くと、六年から四十四年ぐらいだよって、ほかのコンセッションで決まっていったものですね、それぐらいの期間だそうです。公務員の派遣も初期段階に限ってするというお話を聞いています。初期段階の期間ってどれぐらいなんですか。
○政府参考人(木下茂君) お答えいたします。
PFI法による公務員派遣制度につきましては、不必要に派遣期間が長期にわたることのないよう、派遣を事業の初期段階に限定することとしておりまして、具体的には、一人当たりの派遣期間は三年以内とし、事業全体での派遣期間も最大で五年程度を想定しております。
以上でございます。
○山本太郎君 三年とか五年とか、五年って今おっしゃいましたね。これ、五年って何なんだってことですけれども、公務員派遣できるよって。これ、どういう意味を持つかといったら、引継ぎの期間なんですよ。
三年とか五年、これ、時期が過ぎると技術やデータなどの蓄積どこに移りますかって、民に移るんですよ。それ以降、公的な部分から技術やデータなどの蓄積、すっぽり抜け落ちませんか。後継者は民によって育てられる。そのノウハウも蓄積も商業ベースに乗って公共性が犠牲になるおそれがある。
先日の予算委員会で、海外の水メジャーなどが日本に参入するんじゃないですかという私の問いに対して、麻生大臣は、そんな技術ないです、ほかの国にそんな高い技術はないですからと一蹴された。でも、既に進めているものを見たら、きっちり技術やノウハウを引継ぎまでお手伝いする仕組みになっているじゃないですか。そればかりでなく、実際には既に下水道事業では、フランスのヴェオリアが運営交渉権手に入れていますよね。日本でですよ。麻生大臣、答弁適当過ぎませんか。ごまかしているのか知らないのか、どっちかですよね、これ。
民間は参入するのも撤退するのも当然自由ですよ。利用者の都合によってビジネスとして論理を優先させる。株主の利益など経済的効率が優先され、事業から撤退することもあるでしょう。そのときに蓄積が奪われた状態、失われた状態をどうリカバーしますか。だからこそ、世界では民営化された水道が再公営化に進んでいるわけですよ。水道事業は国が責任を持って果たすべき安全保障の一つじゃないですか。
国連の広報センター、ホームページには水道民営化の問題点が指摘されていまして、そこを抜粋すると、契約を受注し、事業を開始してしまえば、民間企業は人員と維持費を削減したり、料金を引き上げたり、あるいは、その両方により収益を上げようとすると指摘なさっている。これ、国連だけじゃないですよね。世界銀行までPPP、PFIに否定的なコメントを出している。これはもう皆さん御存じのとおりです。
これ、私、全てのPPP、PFIが悪いとは言わない。実際、官民連携がうまくいっている部分もあるでしょう。というよりも、水道の事業でも検針の事業であったりとかメーターを見るということにはもう民間が入ってきているわけですから。しかし、余りにも広げ過ぎじゃないかなと思うんですよ。
今後、より一層力を入れていく、開放することが、資料の四、これ、あくまでも目次の部分なんですけどね、PPP、PFIの事例集にある。上から見ていっても随分広げるんだなって。事務庁舎、公営住宅・宿舎、小中学校、給食センター。施設系は分かりますよ、管理するとかというのは。でも小中学校、これ入ってきたらどうなるだろうと、給食センター入ってきたらどうなるだろうと。アメリカでこれ民営化されたりとかした部分のひょっとして二の舞になっていったりとかすることないのかなって。何よりもこのやっぱり上下水道というか、特に水道という部分に関してはライフラインなので非常に心配なんですよね。
水のようなライフラインは、運営、維持管理、人の育成など、その技術やノウハウが公的な部分に蓄積されていくことが国の責任だと思うんですよ。地方自治体の公的資産に国が触手を伸ばし、PPP、PFIを通じて民間にアシストするんじゃないかという動きが地方自治体宛ての二つの通知と一つの法案から読み取れます。
一つ目の通知、資料の五、平成二十六年四月、国は地方に対して通知を出しました。公共施設等総合管理計画を作れという通知。簡単に言うと、どんな公共施設持っているのか、その維持費、管理費、幾ら掛かるか、補修費、更新費、幾ら掛かるのか計算しいや、今後に備えなさいよというもの。これを策定した自治体に対して、策定費用の助成や除却、老朽化して使えなくなった施設などの廃棄に取りかかる費用なんかについて地方債を発行して調達できるようにルールを変えているんですよね。ちゃんと前向きに取り組んでもらえるようにあめも用意したわけです。
二つ目の通知、資料の六、平成二十七年十二月、人口二十万人以上の地方自治体に優先的検討規程の策定、運用を求める通知を出します。建設費を含む総事業費が十億円以上か、運営だけで単年度一億円以上掛かる事業で利用料金を徴収する公共施設が対象になると。これらにPPP、PFIの導入を従来型手法に優先して検討するための手続及び基準等を定める優先的検討規程の策定、運用を求める通知。
要するに、どういうことなんですかって。一つ目の通知、公共施設等総合管理計画でPPP、PFI事業の対象となる施設の整理を地方自治体にさせる。これは先々どうなるかといったら、民間業者にとって商品の載ったメニューやパンフレットの役割につながるわけですよね。二つ目の通知、優先的検討規程策定で、従来型ではなく、優先的にPPP、PFIを進められるよう基準等を定めさせ、運用できるようにさせたと。自治体が導入しない場合には、その旨及び評価の内容をネット上で公表しなさいという話になっている。これ何なんですか。やりたくないんだったらやりたくないでいいじゃないですか。ネット上で公表しなきゃいけないんですって。これ、国の方針に忠実に従っているか否かをインターネットを通じて外部から検証可能にするためでしょうか。
そして、国交委員会で継続審議になっている一つの法案が国の地方介入をより一層強固なものにしていく気がします。自民党、公明党より第百九十回国会に提出されて継続審議になっている官民連携事業の推進に関する法律案。この法案、いわゆる官民連携、PPP、PFIを強力に推進するため、地方公共団体に様々な責務、義務を負わせようとしている。
資料の七です。囲いをしてあるところ、条文ちょっと見てみたいと思います。十一条、民間業者に対してPPP、PFIについての提案を積極的に求めなければならない。どうして、強制されることじゃないですよね。十六条、民間事業者からのPPP、PFIに関する相談に応じる体制を整備しなければならない。どうして窓口つくらなきゃいけないんですか。十八条、PPP、PFIの推進を妨げるような規制の撤廃又は緩和を速やかに進めなければならないって、これ、すごいこと書いていませんか。これ、先ほどの地方自治法に基づいてというお話とは真逆だと思うんですけど。
結局、これは法的根拠を持って、地方自治体の責務、義務としてPPP、PFIの手法を優先的に検討しろということを求めるものになっている。これ、事実上の強制じゃないですか。もう地方分権とか地方自治なんということは神話の世界に入っていきますよ、こんなことをやっちゃったらという話なんですよね。これ、一体何のためにやっているんですかって、企業のもうけのためなら何でも差し出す気なのかって疑ってしまいますよって。
先ほども言ったとおり、全てのPPP、PFIが悪だとは言いません。アウトソーシングする部分、そしてしてはいけない部分の線引き、しっかり議論されているようには見受けられないですよ。その中で先ほどのような法案まで準備されている。不安しかないです。特に水のようなライフラインについては、運営、維持管理、人の育成など、その技術、ノウハウが公的な部分に蓄積されていかないことには。憲法二十五条の法体系の中にある水道法なんでしょう。みんなの権利ですよ、安全な水、安定した水を供給してもらえるということが。
世界から見れば周回遅れですよ。不健全な官民事業の在り方、時代遅れじゃないかって。新自由主義の最先端にこの国を引きずり込むことはやめていただきたい。非常に危険な法案も待機していると言っても過言ではないと思います。
山本大臣、これって、本当に今のようなPPP、PFIの方向性、地方創生、地方の活性化につながると本気で思われますか。
○国務大臣(山本幸三君) 地方創生の推進のため、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立し、それを支える町に活力を取り戻していくことは重要であると考えております。時代に合った町づくりのためには、人口減少を踏まえた老朽化した公共施設等の集約化、再編や地域活性化のための資産の有効活用といった観点からの公共施設、公的不動産の利活用が求められているところであります。
その際、民間の資金や創意工夫を活用し、効率的かつ効果的に公共サービスを提供できるPPP、PFIは新たなビジネス機会の拡大による地域経済好循環の実現や公的負担の抑制を図ることができる有効な手法と考えております。例えば、岩手県紫波町における図書館等を整備したオガールプロジェクトにおいては、PPP、PFI事業を活用し民間投資の誘導が図られたことにより、二百人の新規雇用創出、周辺エリアで四百人の人口増加につながったと承知しております。
地方創生の観点からは、今後ともPPP、PFIの取組を推進してまいりたいと思っております。
○山本太郎君 済みません、上手に朗読はしていただいたんですけれども、お答えになっていない。
是非これ、内閣府としても厚労省としても関係することですから、これ皆さんでPFIの在り方、PPPの在り方というのをもう一度考え直していただきたいと申しまして、質問を終わらせていただきます。