○木村委員長 これより会議を開きます。
地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。
山本国務大臣から所信を聴取いたします。山本国務大臣。
○山本(幸)国務大臣 まち・ひと・しごと創生担当大臣、地方創生を担当する内閣府特命担当大臣として、所信の一端を申し述べます。
地方創生は、昨年度までに国と地方の総合戦略の策定がほぼ完了したところであり、本格的な事業展開の段階に入っております。地方創生を実現するためには、地域資源を生かした仕事をつくり、地方の平均所得の向上を実現するとともに、それぞれの地方が自助の精神を持って、みずからのアイデアでみずからの未来を切り開くことが重要です。
私も、昨年八月の大臣着任以来、全国六十五市町村、百四十八カ所の地方創生の取り組みを視察しましたが、先進的な取り組みを行っている自治体も多く、地方創生のうねりが広がりつつあると手応えを感じているところです。
しかし、我が国全体の地方創生をめぐる現状を見ると、二〇一五年の総人口は約一億二千七百九万人と、二〇一〇年に比べ約九十六万人減少しました。また、昨年の出生数は約九十八万人と、統計をとり始めた一八九九年以降初めて百万人の大台を切ると推計されております。我が国の人口減少には歯どめがかかっておらず、人口減少克服のために一刻の猶予もありません。
また、二〇一六年の東京圏への人口の転入超過数は約十二万人に上り、五年ぶりにわずかながら減少したものの、人口の東京一極集中の傾向は依然として続いております。
地域の経済動向を見ると、雇用・所得環境の改善が続く一方、地方によっては経済環境に厳しいところも見られ、消費や生産といった経済活動の動向は地域間でばらつきがあり、東京圏とその他の地域との間には一人当たり県民所得等に差が生じております。
このため、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版に基づき、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立し、その好循環を支える町に活力を取り戻してまいります。
そのためには、まず第一に、地域資源を生かした仕事をつくり、地方の平均所得の向上を実現することが重要です。地域における仕事の創出のために、地域資源を活用した永続性のある企業づくりを進めるとともに、域内のしがらみに閉じこもりがちな地域経済の殻を破り、域外から稼ぎ、人材や投資を呼び込めるような開放的な力強い地域経済をつくり上げるための取り組みを進めてまいります。
具体的には、地方では、空き店舗、遊休農地、古民家等といった遊休資産が多く見られます。発想の転換を行い、これらを資源として有効活用することで、地域の魅力を引き出してまいります。
また、在外公館、ジャパン・ハウス、地域商社等を積極的に活用した地域の商品等の販路拡大、地域経営の視点に立った観光地域づくりの中心となる日本版DMOなどの新たな事業推進主体の形成、地域経済を牽引する事業への集中的支援等に取り組みます。
第二に、人口の東京一極集中が進行する状況において、地方への新しい人の流れをつくることが急務となっています。
地方での安定した良質な雇用の創出を通じて、地方への新しい人の流れをつくるため、地方拠点強化税制について、オフィス減税、雇用促進税制の拡充等を行い、企業の地方拠点強化をより一層支援します。
また、地方移住を希望する方々が実際に移住しやすい環境を整備するなどの支援をしてまいります。中高年齢者が希望に応じて移り住み、地域住民と交流しながら、健康でアクティブな生活を送り、医療、介護も受けることができるような生涯活躍のまちづくりを進めてまいります。
東京圏への人口の流れを見ると、地方の若い世代の多くが大学等への進学時と就職時に東京圏へ流出しています。地方を担う多様な人材を育成、確保し、東京一極集中の是正に資するよう、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等についての緊急的かつ抜本的な対策を検討するため、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を開催し、本年夏をめどに方向性を取りまとめます。また、東京圏在住の地方出身学生等の地方還流や地元在住学生の地方定着を促進するため、地元企業でのインターンシップの実施等を支援する取り組みを推進してまいります。
東京一極集中を是正するためには、地方への都市住民の移住や企業の移転だけではなく、政府関係機関が地方移転を進めることも重要です。
このため、中央省庁については、文化庁の京都への全面的な移転等具体化に向けた取り組みを進めるとともに、研究機関、研修機関等については、本年度末までに国、地方の産学官の関係者が作成する年次プランに基づき、具体的な取り組みを進めてまいります。さらに、地方に中央省庁のサテライトオフィスを設置して業務の一部を執行することの可能性について検討を進めます。
第三に、若い世代の結婚、子育ての希望を実現し、地域における少子化の流れにも歯どめをかけることが重要です。
このため、各地域の地方公共団体や労使団体、金融機関等の地域の関係者から成る地域働き方改革会議において、地域の特性や課題の分析、これに基づく仕事と子育て、介護等が両立できる環境整備等の地方の取り組みを主力とする働き方改革を進めることを支援してまいります。
第四に、仕事と人の好循環を支えるためには、人々が地方での生活やライフスタイルのすばらしさを実感し、安心して暮らせるような町の集約、活性化に取り組むとともに、急速な人口減少が進む地域においては地域の暮らしの基盤の維持、再生を図ることが必要となります。
このため、中山間地域等において持続可能な地域をつくるため、小さな拠点の形成を推進するとともに、地域運営組織の持続的な活動のため、農協や商工会等の地域内外の多様な組織との連携を推進してまいります。また、連携中枢都市圏の取り組みをさらに推進してまいります。
今後とも意欲的に地方創生にチャレンジする地方の皆様を、地方創生版三本の矢として、情報、人材、財政の三つの側面から支援してまいります。具体的には、地域経済に関する官民のビッグデータを見える化した地域経済分析システム、RESASによる情報支援、地方創生カレッジを初めとした地方創生リーダーの育成や小規模の地方公共団体に国家公務員等を派遣することによる人材支援、地方創生推進交付金や地方創生応援税制等による財政支援を推進してまいります。
国家戦略特区につきましては、来年度末までを集中改革強化期間として、重点六分野を初めとする岩盤規制改革に取り組んでまいります。農業の担い手となる外国人材の就労解禁など、さらなる規制改革事項を盛り込んだ改正特区法案を提出いたします。また、自動走行やドローン等の実証実験を円滑、迅速に行えるよう、事前規制をできるだけ設けない仕組み、いわゆるサンドボックス特区についても規定し、具体的な制度設計を行ってまいります。
地方分権改革につきましては、国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権を目指し、地方からの提案を踏まえ、地方創生や子ども・子育て支援に資するよう、指定都市等への権限移譲、地方に係る規制の見直し等を内容とする第七次地方分権一括法案を提出しました。
道州制は、地方経済の活性化や行政の効率化にも資する手段の一つと考えており、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。
地方の未来、そして日本の未来をみずからの手で切り開くという気概と覚悟を持って、地方創生の取り組みを強力に進めることが重要です。産学官金労言士の連携を促しつつ、地方創生にチャレンジする地方の皆さんを、政府一丸となって全力で応援します。
木村委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
○木村委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。
次に、平成二十九年度地方創生関係予算の概要について説明を聴取いたします。松本内閣府副大臣。
○松本副大臣 平成二十九年度における内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、内閣府地方創生推進事務局、内閣府地方分権改革推進室等内閣官房、内閣府本府における当委員会に関連する部局に計上されている予算につきまして、その概要を説明いたします。
平成二十九年度におきましては、総額千三十八億円を一般会計に計上しております。
その主な項目は、地方創生の推進に必要な経費として五百九十九億三千万円、地方創生の推進のための基盤整備事業に必要な経費といたしまして四百億七千万円、総合特区の推進調整に必要な経費として十五億円となっております。
以上で予算の説明を終わります。
○木村委員長 以上で説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時九分散会
○山本(幸)国務大臣 まち・ひと・しごと創生担当大臣、地方創生を担当する内閣府特命担当大臣として、所信の一端を申し述べます。
地方創生は、昨年度までに国と地方の総合戦略の策定がほぼ完了したところであり、本格的な事業展開の段階に入っております。地方創生を実現するためには、地域資源を生かした仕事をつくり、地方の平均所得の向上を実現するとともに、それぞれの地方が自助の精神を持って、みずからのアイデアでみずからの未来を切り開くことが重要です。
私も、昨年八月の大臣着任以来、全国六十五市町村、百四十八カ所の地方創生の取り組みを視察しましたが、先進的な取り組みを行っている自治体も多く、地方創生のうねりが広がりつつあると手応えを感じているところです。
しかし、我が国全体の地方創生をめぐる現状を見ると、二〇一五年の総人口は約一億二千七百九万人と、二〇一〇年に比べ約九十六万人減少しました。また、昨年の出生数は約九十八万人と、統計をとり始めた一八九九年以降初めて百万人の大台を切ると推計されております。我が国の人口減少には歯どめがかかっておらず、人口減少克服のために一刻の猶予もありません。
また、二〇一六年の東京圏への人口の転入超過数は約十二万人に上り、五年ぶりにわずかながら減少したものの、人口の東京一極集中の傾向は依然として続いております。
地域の経済動向を見ると、雇用・所得環境の改善が続く一方、地方によっては経済環境に厳しいところも見られ、消費や生産といった経済活動の動向は地域間でばらつきがあり、東京圏とその他の地域との間には一人当たり県民所得等に差が生じております。
このため、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版に基づき、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立し、その好循環を支える町に活力を取り戻してまいります。
そのためには、まず第一に、地域資源を生かした仕事をつくり、地方の平均所得の向上を実現することが重要です。地域における仕事の創出のために、地域資源を活用した永続性のある企業づくりを進めるとともに、域内のしがらみに閉じこもりがちな地域経済の殻を破り、域外から稼ぎ、人材や投資を呼び込めるような開放的な力強い地域経済をつくり上げるための取り組みを進めてまいります。
具体的には、地方では、空き店舗、遊休農地、古民家等といった遊休資産が多く見られます。発想の転換を行い、これらを資源として有効活用することで、地域の魅力を引き出してまいります。
また、在外公館、ジャパン・ハウス、地域商社等を積極的に活用した地域の商品等の販路拡大、地域経営の視点に立った観光地域づくりの中心となる日本版DMOなどの新たな事業推進主体の形成、地域経済を牽引する事業への集中的支援等に取り組みます。
第二に、人口の東京一極集中が進行する状況において、地方への新しい人の流れをつくることが急務となっています。
地方での安定した良質な雇用の創出を通じて、地方への新しい人の流れをつくるため、地方拠点強化税制について、オフィス減税、雇用促進税制の拡充等を行い、企業の地方拠点強化をより一層支援します。
また、地方移住を希望する方々が実際に移住しやすい環境を整備するなどの支援をしてまいります。中高年齢者が希望に応じて移り住み、地域住民と交流しながら、健康でアクティブな生活を送り、医療、介護も受けることができるような生涯活躍のまちづくりを進めてまいります。
東京圏への人口の流れを見ると、地方の若い世代の多くが大学等への進学時と就職時に東京圏へ流出しています。地方を担う多様な人材を育成、確保し、東京一極集中の是正に資するよう、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等についての緊急的かつ抜本的な対策を検討するため、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を開催し、本年夏をめどに方向性を取りまとめます。また、東京圏在住の地方出身学生等の地方還流や地元在住学生の地方定着を促進するため、地元企業でのインターンシップの実施等を支援する取り組みを推進してまいります。
東京一極集中を是正するためには、地方への都市住民の移住や企業の移転だけではなく、政府関係機関が地方移転を進めることも重要です。
このため、中央省庁については、文化庁の京都への全面的な移転等具体化に向けた取り組みを進めるとともに、研究機関、研修機関等については、本年度末までに国、地方の産学官の関係者が作成する年次プランに基づき、具体的な取り組みを進めてまいります。さらに、地方に中央省庁のサテライトオフィスを設置して業務の一部を執行することの可能性について検討を進めます。
第三に、若い世代の結婚、子育ての希望を実現し、地域における少子化の流れにも歯どめをかけることが重要です。
このため、各地域の地方公共団体や労使団体、金融機関等の地域の関係者から成る地域働き方改革会議において、地域の特性や課題の分析、これに基づく仕事と子育て、介護等が両立できる環境整備等の地方の取り組みを主力とする働き方改革を進めることを支援してまいります。
第四に、仕事と人の好循環を支えるためには、人々が地方での生活やライフスタイルのすばらしさを実感し、安心して暮らせるような町の集約、活性化に取り組むとともに、急速な人口減少が進む地域においては地域の暮らしの基盤の維持、再生を図ることが必要となります。
このため、中山間地域等において持続可能な地域をつくるため、小さな拠点の形成を推進するとともに、地域運営組織の持続的な活動のため、農協や商工会等の地域内外の多様な組織との連携を推進してまいります。また、連携中枢都市圏の取り組みをさらに推進してまいります。
今後とも意欲的に地方創生にチャレンジする地方の皆様を、地方創生版三本の矢として、情報、人材、財政の三つの側面から支援してまいります。具体的には、地域経済に関する官民のビッグデータを見える化した地域経済分析システム、RESASによる情報支援、地方創生カレッジを初めとした地方創生リーダーの育成や小規模の地方公共団体に国家公務員等を派遣することによる人材支援、地方創生推進交付金や地方創生応援税制等による財政支援を推進してまいります。
国家戦略特区につきましては、来年度末までを集中改革強化期間として、重点六分野を初めとする岩盤規制改革に取り組んでまいります。農業の担い手となる外国人材の就労解禁など、さらなる規制改革事項を盛り込んだ改正特区法案を提出いたします。また、自動走行やドローン等の実証実験を円滑、迅速に行えるよう、事前規制をできるだけ設けない仕組み、いわゆるサンドボックス特区についても規定し、具体的な制度設計を行ってまいります。
地方分権改革につきましては、国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権を目指し、地方からの提案を踏まえ、地方創生や子ども・子育て支援に資するよう、指定都市等への権限移譲、地方に係る規制の見直し等を内容とする第七次地方分権一括法案を提出しました。
道州制は、地方経済の活性化や行政の効率化にも資する手段の一つと考えており、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。
地方の未来、そして日本の未来をみずからの手で切り開くという気概と覚悟を持って、地方創生の取り組みを強力に進めることが重要です。産学官金労言士の連携を促しつつ、地方創生にチャレンジする地方の皆さんを、政府一丸となって全力で応援します。
木村委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。