平成29年2月16日 衆議院本会議

 

平成29年2月16日 衆議院本会議

○国務大臣(高市早苗君) 高井議員から私には、まず、ICTを活用した地域活性化策についてお尋ねがありました。
総務省では、ICTを活用した地域活性化に取り組んでおり、特に生活に身近な分野のIoTの活用には大きな可能性があると考えています。
昨年十二月に策定したロードマップも踏まえ、農林水産業、医療、介護、教育、雇用、行政などさまざまな分野で、身近なIoTプロジェクトなどを通じて、地域へのIoTの実装推進に取り組んでいます。
この地域へのIoT実装を推進する施策として、平成二十八年度補正予算及び平成二十九年度当初予算案に総額百五十八億円を計上しており、この中には、シェアリングエコノミーの活用を含めたIoTによる新サービス創出への支援予算も入っています。
今後とも、しっかりと予算を確保した上で、地域の自治体や企業などへの支援に積極的に取り組んでまいります。
次に、自治体クラウドについてお尋ねがありました。
自治体クラウドの導入には、コストの削減、セキュリティーレベルの向上、業務の標準化による住民サービスの向上といったメリットがあり、総務省も従来よりその導入を積極的に進めています。
これまでも、先行自治体の例を分析し、クラウドの導入手順書の作成、導入サポート人材の紹介、あっせんを行うとともに、政府CIOとも連携の上、直接地方公共団体の長に働きかけを行っています。
自治体クラウドの推進には大きな可能性があり、今後とも、コストの削減と住民サービス向上の両立を図りながら、積極的に取り組んでまいります。
次に、官民データ活用推進基本法の推進のための取り組みについてお尋ねがありました。
さきの臨時国会で成立した官民データ活用推進基本法は、官民が保有するデータの流通の拡大とさらなる活用を推進することにより、経済成長の実現や社会課題の解決を図るものです。
総務省としては、内閣官房、経済産業省など関係省庁と連携し、官民が保有するデータのオープン化、マイナンバーカードの普及などの施策を進めていきます。
また、今国会に、電子委任状の普及の促進に関する法律案の提出も予定いたしております。
地方自治体に対しては、本法の施行日に内閣官房と共同で本法に関する情報提供を行っております。本法の規定に基づく取り組みが円滑に行われるよう、全力で支援をしてまいります。
次に、個人情報保護条例に関する取り組みについてお尋ねがありました。
現在の個人情報保護法制において、地方公共団体の保有する個人情報については条例により規律することとされています。一方、地方公共団体において、非識別加工情報の仕組みの導入などが国の行政機関等と同様に行われることが官民データの効果的な活用に当たっては重要でございます。
このため、総務省では、現在、地方公共団体が保有するパーソナルデータに関する検討会において検討を行っており、地方公共団体に対し、個人情報保護条例の見直しなどに必要な協力を行ってまいります。
次に、平成二十九年度の税収見積もりと交付税法定率分の確保についてお尋ねがありました。
交付税原資を含む平成二十九年度の国税収入につきましては、政府経済見通しにおける雇用・所得環境の改善、消費や生産の増加等を反映して見積もりを行い、平成二十八年度補正後税収から一・九兆円増の五十七・七兆円を見込んでいるものと承知をしています。
政府としては、平成二十九年度には、雇用・所得環境の改善が続く中で、民需を中心とした景気回復を見込んでおり、アベノミクスの取り組みなどにより、これを実現してまいりたいと考えています。
次に、臨時財政対策債についてお尋ねがございました。
地方においては巨額の財源不足が計上していることから、臨時財政対策債の発行残高は平成二十九年度末には五十三兆円程度となる見通しでございます。地方財政の健全化の観点から課題があると認識をしています。
そのため、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要であり、歳入面では、アベノミクスの成果を地域の隅々まで波及させて、地方税収などの増を図ることが重要です。また、歳出面では、国の取り組みと基調を合わせ、めり張りをつけて歳出構造を見直すことで、財務体質を強化することが必要でございます。
今後も、地方財政の健全化に努め、まずは、国と地方で折半すべき財源不足が解消され、折半分の臨時財政対策債を発行しなかった平成十九年度及び平成二十年度の状況をなるべく早く実現することを目指してまいります。
次に、地方交付税法定率の引き上げについてお尋ねがありました。
地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引き上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向だと考え、概算要求時点でも事項要求をいたしました。
しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えているということ、それから、平成二十九年度においては、国、地方の役割分担に係る大きな制度改正がなかったこと、現下の厳しい財政状況のもと、国債発行額を引き続き抑制する中で、国の一般会計から交付税特別会計への繰入額を前年度から〇・三兆円増額して確保することができたことなどから、平成二十九年度地方財政対策においては、法定率の引き上げによらず、折半ルールを三年間延長した上で、国は、一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は、臨時財政対策債の発行により対処をすることといたしました。
国、地方とも厳しい財政状況であることから、法定率のさらなる引き上げは容易なものではないと考えてはおりますが、議員の御指摘、もっともだと思っております。今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について、私も粘り強く主張をし、政府部内で十分に議論をしてまいります。
最後に、配偶者控除等の見直しについてお尋ねがございました。
配偶者特別控除によって、税制上、百三万円の壁は解消していますが、百三万円という水準が企業の配偶者手当制度等の支給基準に援用されていることや、心理的な壁となっているという御指摘もございます。こうした指摘を踏まえ、就業調整をめぐる喫緊の課題に対応するため、配偶者控除等について配偶者の収入制限の引き上げなどを行うこととしています。
今回の見直しは、働きたい方が就業調整を行うことを意識しないで働くことができる環境づくりに寄与するものであり、女性活躍の観点からも、また、従業員の就業調整による人手不足の解消の観点からも意義があるものと考えています。(拍手)
〔国務大臣山本幸三君登壇〕

○国務大臣(山本幸三君) 全府省調査についてのお尋ねがありました。
 今般の文部科学省事案で生じた国民の疑念を払拭するため、安倍内閣総理大臣から私に対し、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示がありました。
 調査は、各省任せではなく、内閣人事局に外部の弁護士を含む再就職徹底調査チームを立ち上げ、直接実施しているところです。
 大事なのは、しっかりとした調査を厳正に行うことであり、最初からスケジュールありきではないと考えております。一方で、調査結果が出次第、速やかに結果を明らかにしていくことも重要であり、私の指揮のもと、スピード感を持って進めてまいります。
 次に、国家公務員法改正についてのお尋ねがありました。
 国家公務員の天下りについては、安倍内閣において、厳にこれを根絶していくとの姿勢で一貫して取り組んでまいりました。
 国家公務員の再就職について問題なのは、官民の癒着につながりかねない、公務員OBの口ききや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。
 一方、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があります。
 このため、密接な関係のある営利企業への離職後二年間の再就職の原則禁止にかえて、平成十九年の国家公務員法改正により、それまで禁止されていなかった各府省による再就職あっせんの禁止等厳格な規制を導入するとともに、監視体制として再就職等監視委員会を設置したところであります。
 先ほど申し上げた調査の結果を受けて、どのような対策をとれば実効の上がる対策がとれるか、しっかりと検討してまいります。(拍手)
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(略)

○国務大臣(高市早苗君) 足立議員から私には、まず、まち・ひと・しごと創生事業費についてお尋ねがありました。
地方創生については、地方団体が地域の実情に応じて、自主性、主体性を最大限発揮して取り組めるようにすることが重要でございます。このため、地方財政計画にまち・ひと・しごと創生事業費を一兆円計上し、地方団体の財源を確保しています。
地方交付税は使途の制限のない一般財源であることから、具体的にどのように活用するかは各地方団体が自主的に判断するものでございますが、この財源を活用して、今後とも、地方創生の取り組みが進められていくことを期待しております。
次に、地方自治法の公の施設の廃止の規定についてお尋ねがありました。
公の施設のうち条例で定める特に重要な公の施設を廃止する場合は、住民に広く平等に与えられるべき施設の利用に対する重大な制限となることから、住民の代表である地方議会において、出席議員の三分の二以上の特別多数議決を必要としています。
そして、どの施設を特に重要な公の施設とするかは、地域の実情に応じて各地方団体の判断に委ねられています。
地方自治法の規定は、住民の利用権を尊重する観点から、特別多数議決という議会の幅広い同意を求める選択肢を提供しているものであり、理不尽であるとの指摘は当たらないと考えております。
最後に、大阪府の財政状況についてお尋ねがございました。
まず、地方債については、新規発行額は、普通会計ベース、臨時財政対策債除きで見ると、平成十二年度から十九年度までの間の一年度当たりの平均額が二千百七十四億円だったのに対し、平成二十年度から二十七年度までの間は千二百三十六億円と減少しています。
また、残高を平成十二年度以降について、同じく普通会計ベース、臨時財政対策債除きで見ると、平成十四年度まで増加し、その後、平成二十年度まで減少して、平成二十一年度に一旦増加した後、平成二十二年度以降は再び減少しています。
また、財源不足を補うための減債基金の取り崩しは、平成十三年度から十九年度までの間に合計で五千二百二億円が行われていましたが、平成二十年度以降は取り崩しは行われず、平成二十一年度以降は積み立てが進められているという状況にあります。
そして、起債許可団体となるか否かは、実質公債費比率に基づき判断されます。実質公債費比率は、当該年度に支払う元利償還金を初め、普通交付税の基準財政需要額に算入される元利償還金や標準財政規模などのさまざまな数値を用いて算定するものですが、大阪府においては、過去に発行された地方債によって後年度の元利償還金が増加したことが比率の上昇の要因の一つとなっているものと認識をしています。(拍手)
〔国務大臣山本幸三君登壇〕

○国務大臣(山本幸三君) 東京一極集中を是正する意思とその方策についてお尋ねがありました。
 東京一極集中については、二〇一二年以降四年連続で転入超過数が増加し、二〇一五年に約十二万人の転入超過となっていました。二〇一六年には五年ぶりに若干減少しましたが、一極集中の傾向は続いていると承知しております。
 このように厳しい状況が続いていますが、国としては、東京圏と地方との転出、転入の均衡という目標の実現を目指して取り組みを進めてまいります。
 地方から東京圏への人口流出に歯どめをかけ、東京一極集中を是正するためには、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立し、地方の平均所得の向上を実現することが重要であります。
 このため、国としては、企業の本社機能移転税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまちの実現、地方創生インターンシップ事業等、多岐にわたる施策を推進するとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してまいりました。
 さらに、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等についての総合的な対策の検討等を推進することにより、東京一極集中是正に向けた取り組みをより一層強化してまいります。
 次に、地方拠点強化税制の成果についてお尋ねがありました。
 地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯どめをかけ、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保することが重要と認識しております。
 このため、平成二十七年の通常国会で成立した改正地域再生法において、地方において本社機能を新増設する事業者に対し、設備投資や雇用促進のための減税措置を講じる地方拠点強化税制を創設しました。さらに、今年度からは、地方において雇用者を増加させるインセンティブを強化したところであります。
 地方拠点強化税制については、平成二十七年八月の施行後、これまでに四十四道府県の企業の地方拠点強化に関する地域再生計画を認定しました。これらの地域再生計画においては、合計千四百三件の事業により、一万一千五百六十人の雇用創出が目標値として掲げられています。この地域再生計画に基づき、ことしの一月末までに百三十三件の事業者の計画が道府県において認定されており、この中で六千八百二十三人の雇用創出が計画されています。
 このように、各地域において、企業の地方移転や地方拠点の拡充に向けた具体的な取り組みが動き始めていると承知しています。
 さらに、東京一極集中の是正に向けた取り組みをさらに強化するために、昨年十二月に閣議決定された平成二十九年度税制改正大綱において、地方拠点強化税制に関する拡充措置が盛り込まれました。引き続き、地方創生の実現に向けて、企業の地方拠点強化に係る施策に取り組んでまいります。(拍手)

○副議長(川端達夫君) これにて質疑は終了いたしました。