平成29年2月07日 衆議院予算委員会

 

平成29年2月07日 衆議院予算委員会

○前川参考人 私に関する事案につきましては、全体の組織の監督者としての責任、また個別の二つの再就職規制違反、こういう事実認定が監視委員会からされているところでございまして、一月二十日付で松野文部科学大臣から、先ほど江田委員のおっしゃいました十分の一減給二カ月という懲戒処分を頂戴したところでございます。
これを受けまして、私といたしましては、責任をとるために辞職を申し出、承認をいただいた、こういう経緯でございまして、今後、さらなる調査の中で私に関しまして何らか責任がまた生ずるということがあれば、またその際に考えさせていただくこともあろうかと存じております。

○江田(憲)委員 そういう答えは求めていないんですよ。大臣は関係ないんですよ。大臣は政治家なんです。これは官僚組織の問題ですよ。役所の問題として自浄作用が果たせるかどうか。大臣に言われるまでもなく、政治家に言われるまでもなく、マスコミに言われるまでもなく、まさに自浄作用を果たさなければ、本当に官僚組織への信頼は決して戻りませんよ。
過去、大蔵スキャンダルで続々やめた官僚の中にも、一灯の良心があり、返上された方も結構いらっしゃいましたから、それはまちまち、自己判断、自己責任ですが、私はあなたを知る者として、あなたなら最低限、これは税金ですから、今後の調査の推移を見つつとか大臣がどうのこうの、私はこれは関係ないと思う。霞が関組織がこれから立ち行くかどうかの瀬戸際に立っているんですよ。
どうかどうか、事務次官という位をきわめた人として、私は、あなたを評価している、立派な役人だと思ってきたから、それが裏切られたという思いが今あるんだけれども、ぜひそこでけじめをつけていただきたい。もう一度答弁を求めます。

○前川参考人 私に関しましては、先ほど申し上げたとおり、既に処分をいただいたところでございまして、それを受けとめているところでございます。
今後、何らかのまた責任を問うということがあるのであれば、またその際にはそれにお応えするという用意はあるということを申し上げておきたいと存じます。

○江田(憲)委員 非常に残念です。小出し、後出しという言葉がいいのかどうか、そういう対処の仕方を国民が見て、やはり役人は特別なんだな、別世界に生きているんだ、甘いんだな、そういうことになるんだろうと思います。法律に違反しているわけです、法律に。しかも組織ぐるみなんです。トップなんです。しかも教育政策に責任を持つトップなんですよ。本当に残念でなりません。
さて、総理、この問題を教訓にして再発を防止するためには、まさに監視委が、OBを道具として使って実際上は現職の役人が手を染めるあっせんシステム、こういった組織的な裏あっせんシステム、受け皿をつくって、そして脱法行為、潜脱と監視委は言っていますけれども、脱法行為を働くような抜け道を塞ぐためには、やはり、こういったOBを介したあっせんについても法律で明確に禁止すべきだと思います。
先般の答弁で、安倍総理も山本大臣も、いや、文科大臣でしたか、OBへの資料提供やポストの情報提供、そういったものはやめるとおっしゃった。そうであるならば、こういった抜け道、脱法行為、潜脱行為をしっかり禁止する法律改正というものを検討する、これは最低限の政府の務めだと思いますけれども、総理の見解を求めます。

○山本(幸)国務大臣 今回の事案についてOBがあっせんに関与をしていたことは、再就職等監視委員会の公表資料によりまして指摘されておりますが、ただ、これはOBが単独で行っていたものではなくて、文部科学省がOBを利用して再就職のあっせんを行う枠組みを構築していたものとされております。したがいまして、現職職員が規制を遵守してOBを介して情報提供しなければ発生しなかった事案であると考えております。
 今後、国家公務員法に違反するような役所からOBへの組織的な情報提供は一切やらせないという考えでありますが、全省庁調査をしっかりやって、その結果を見て、実効性のある対策というものがどういうものかということについてはまた改めて考えていきたいと思います。

○江田(憲)委員 総理に御答弁いただく前に、これはもう本当に以前から指摘されていたんです。こういうあっせん行為の禁止をすれば、現職じゃないOB、OBというのは、これは本当に各役所とも、やはりOBの親睦会だ何だ、いろいろなことがあるんですよ。それから、事務次官経験者が一番その省に影響力を及ぼしていますから、そういう人たちが実際上、天下りが許されていたころはやっていたことも事実なんですね。ですから、そういう素地がある、素地がある中でこういった事案が起こった。
だから、ある意味では、いろいろな要件をそれは検討せないけませんよ、禁止をするためには。しかし、まさに象徴的なこの文科省のようなマッチングシステム、OBを使って、実質的にそれが現職職員によるあっせんと同視できるような場合はしっかり禁止するという措置ぐらい、今回事案はもう出ているわけですから、ぜひ総理の御決断を求めたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 他の職員またはOBを営利企業等の地位につかせることを目的として当該職員またはOBに関する情報を提供することが現行法で禁止されているのは、御承知のとおりであります。
改めて再就職規制の遵守を徹底することにより、国民の疑念払拭に努めてまいりたいと思いますし、また、あっせん規制違反になるようなOBへの情報提供はやらせないという考えであります。
現在、山本大臣には、文部科学省の事案と同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行ってもらっておりますが、調査の結果を踏まえ、必要な施策をしっかりと講じ、国民の信頼を確保していきたい、できることは全てやるという考え方のもとに臨んでいきたいと思っております。

○江田(憲)委員 それでは、今時点では考えていないということですか。こういう文科省のやっているような裏あっせんシステム、OBを介したそういったことについては禁止は考えていないということでいいんですか。

○山本(幸)国務大臣 今回の文科省の事案は、OBが単独でやっているというよりは、まさに文科省自体がOBを使って潜脱的にやっているということでありまして、現職の職員がしっかりと情報管理等をやっていれば起こらなかった事案だったろうと考えております。したがいまして、これはゆゆしき事案でありますので、あってはならないことだと思っております。
 ただ、そういう事案等について、全省庁調査の結果どういうことが出てくるか、それを踏まえて実効性のある再発防止策というものを考えていきたいと思います。

○江田(憲)委員 よくわからないんですけれども、要は、調査の結果、文科省類似のようなOBを介した組織的なあっせんシステムというのがあるということがわかれば、しっかり法律で禁止するということで、総理、よろしいんですか。何でもやるとおっしゃるんですから、このぐらいのことはやりましょう。

○安倍内閣総理大臣 現行法において、既に起こったことについて、どれぐらいしっかりと禁止をしていくことができるかどうかということも含めて検討しながら、そして、先ほど申し上げましたように、できることは全てやって、そして、しっかりとこうした再発防止に取り組んでいきたいと思っております。

○江田(憲)委員 これだけのことが起こったんですから、安倍内閣として、再発防止策を何もしないということにはならないと思うんですよね。
その意味で、当然、法改正も含む法的対応というものをしなければいけないということになると思いますが、法的対応も含めて検討すると、総理、おっしゃっていただけませんか。

○山本(幸)国務大臣 今回の文科省の事例のように、現職職員が情報を出さなければ起こらなかった事案であります。それが本当にOBだけでできるようなものであるのかどうか、それはそう簡単な話じゃないと思っておりまして、その辺はしっかりこれから調査をして、そして、その結果に応じて必要な対応策を考えていきたいと思います。

○江田(憲)委員 何を言ってもあれですが、要は、OBとの力関係というのは当然あるわけですね。今回もそうじゃないですか。嶋貫さんと人事課現職の職員にはやはり上下関係があって、つながりもあるわけです。それはもう全部普遍的にあるわけですよ。
特にキャリアの場合は、事務次官だ局長だと偉くなった人というのはOB集団をつくって当然人事に影響力を及ぼしている、こんなのは当たり前なんですね、私も役所におりましたから。だから、容易に想像されることが今回起こったんですね、今回起こったんですよ。ですから、ぜひ法的対応も含めて検討していただきたいというふうに思いますが、これ以上また答弁を求めても同じ答弁なのであれですが。
もう一つ、やはりこれも当時から議論があった、天下りあっせんに刑事罰がかからない、刑事罰がかからないから結局懲戒処分に終わってしまう、だから、やめちゃったら、もうやめた人に懲戒処分をかけるわけにいかないから、先ほどの前川参考人のように、これからの推移を見守ります程度のことしかできない。
ですから、やはりこれは、刑事罰をかけるという議論もございましたし、それから、天下りを、そういう違法な再就職を認識して受け入れた受け入れ先も何らかの制裁措置を受ける。例えば、補助金が出ているなら補助金を減額する、停止する。例えば、入札談合をすれば、その談合した企業には入札停止処分が出るわけですから。
そういった再就職のあっせんに刑事罰をかける、そして、その違法性を認識して受け入れた者にも何らかの制裁をつける、こういった法律改正も必要だと私は思いますけれども、総理の見解を求めます。

○山本(幸)国務大臣 現行の国家公務員法では、あっせん規制に違反する行為は、現職については懲戒処分の対象となり、職務上不正な行為をすること等の見返りとして他の職員の再就職を要求した職員については、既に刑事罰が設けられております。
 御指摘のあっせん規制違反への刑事罰については、再就職等監視委員会等による監視や再就職状況の公表など、刑事罰以外の手段をもってあっせんの抑止を図ることが本当にできないのか、また他の刑事罰との均衡はとれているかといった点も踏まえて、慎重な検討が必要であると考えております。
 また、天下りを受け入れた者に対する補助金停止処分等の制裁を導入すべきとのお尋ねについては、公務の公正性を確保することが目的である再就職規制において、公務外の者に対して補助金の停止等何らかの制裁を科することが適当なのかどうかについては、慎重な検討が必要であると考えております。

○江田(憲)委員 やはり、検査であれば手心を加えてほしいとか、許認可であれば何か便宜を図ってほしいとかいう思惑のもとに役所に働きかける。今回の事例もそうだったじゃないですか。某私立大学の関係者が前川参考人に、誰かいませんかと言って働きかける。そういう行為が端緒になってこういったことも起こってくるわけですから、余りしゃくし定規にそういうことを考えずに、やはり、こういう天下りを根絶させると安倍総理はおっしゃってきたわけですから、根絶するには余りにも抜け穴が多過ぎるというのが現行法なんですね。
それで、疑わしき案件、人事局が発表しているおびただしい数の再就職事例の中で、離職当日にもう再就職している、離職翌日に再就職している案件がきのうの山本大臣答弁で千二百八十五件ある、全体の大体一〇%超、千二百八十五件あるという答弁でしたけれども、この千二百八十五件のうち、利害関係企業等に行っている件数と案件をぜひ明らかにしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 御指摘のように、昨日の答弁で、離職当日や翌日の再就職が全体の一割超、千二百八十五件あるということを申し上げました。
 ただ、この再就職先が離職時の職員の職務に対して利害関係企業等の要件に該当するか否かについては、当該職務内容に応じて異なるものでありまして、それぞれの離職時の府省において判断されるものだと考えております。

○江田(憲)委員 それじゃ調査できないでしょう。全省庁調査というのは何をやっているんですか。当たり前でしょう。こういったことを、しっかり疑わしき母集団を特定してやらないと、何万件もあるのを一件一件調べてもしようがないじゃないですか。
離職当日にもう再就職している、翌日である、しかも利害関係だとなれば、これは在職中に求職活動をしているとか役所があっせんしていると推測できるわけですから、これを重点的に調査すると言ってもらわないと、国民は何の信頼もできませんよ。

○山本(幸)国務大臣 調査の対象あるいは方法については、不適切な対応策をとられるというおそれもありますので、ここでは明らかにできませんけれども、御指摘の点は重々理解できます。そういうところにも留意してしっかりとやっていきたいと思います。

○江田(憲)委員 ちょっとまたやりますけれども、このパネルをごらんいただくと、もう一つの疑わしきパターンが、税関と地方の財務局の職員が、二十七年七月一日に退職した、六十人いらっしゃる、そのうち四十人の方が同じ日の九月一日に再就職しているんですね。しかも、この表をごらんのように、税関職員が大体、物流とか貨物運送、直接の監督対象のところに再就職している。それから、下の方は、財務局の金融検査をやっていたような人が、地方の信用組合や地方銀行、金融機関に再就職している。それで判を押したように、これはそれぞれ地域が違うのに、七月一日に退職して九月一日に再就職している。
これはやはり役所の組織的なあっせんがあったと推測されますけれども、この点についての財務大臣の見解を求めます。

○麻生国務大臣 財務省として把握をしております組織的ないわゆる再就職のあっせんの事実はないと思っております。
その再就職日は、御存じのように、これは再就職者と民間企業との間の個別の事情によってそれぞれ異なるのは当然のことなので、財務省では必ずしも個別の事情を把握しているわけではありません。
しかし、いずれにしても、退職者の再就職のルールというのがありますので、そのルールにのっとって適切に対応していくべきもの、そう考えております。

○江田(憲)委員 財務省には任せられませんから、監視委員長、そして行革担当山本大臣、この点についてしっかり調査してください。答弁を求めます。

○山本(幸)国務大臣 この点については、再就職等の現職職員が利害関係企業等に求職活動する場合には届け出を出すことになっておりまして、その届け出が出た場合には、各府省において個別の内容をしっかり確認して、再就職規制違反が疑われる事例がないようにやってもらうように、既に内閣人事局の統括官から各府省官房長等にお願いの通達も出しております。
 したがいまして、そういうことについては今後もしっかりと周知徹底を図っていきたいと思います。

○江田(憲)委員 いや、全部各省任せのお手盛り調査というのがはっきりしたじゃないですか。
ですから、本当に、全省庁調査、いつまでやるかも言わない、どうやってやるかも言わない、それで、だらだらだらだら時間稼ぎで、予算が通るまで一切公表しない、そういう魂胆でやっているのは明々白々なので、こんな調査に国民の信頼は一切ないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。

(略)

○小川委員 適正な御判断だと思いますが、きのうも指摘があったとおり、この法人の解散が隠蔽行為につながることがないように、これは松野文科大臣にもお願いを申し上げておきたいと思います。
大臣、この資料、先般も指摘した資料ですが、これだけの、生命保険会社の顧問とか、生計の心配をさんざんしているわけですよ、文科省は。しかし、これは、我が党の勉強会に対して、一月二十四日ですよ、監視委員会からの指摘があった後に、下線部をごらんいただきたいんですが、R氏、これは嶋貫さんのことです、下、「R氏がどのようにして生計を維持していたかについては、文部科学省として関知しておりません。」と、しゃあしゃあと答弁しているんですからね。そういう体質ですから、内部調査には限界がある。しかも、内容も大事だが、スピード感を持って答えてもらわなきゃいけないということをさんざん野党は主張してきたわけです。
そこで、総理大臣に、きょうは総理大臣御出席の場ですから、お聞きしたいと思います。
昨日も麻生財務大臣から、今回の本予算の中で公益法人に流れる予定の予算は、まず総額三千億円近いという御答弁がありました。これは、どういう形で誰に流れて、今回のような巧妙な仕組みも含めて、どういう形で使われるか、非常に予断を許さない予算だと思います。この予算の成立なり執行前に天下りの構造、問題については全容を解明すると、山本大臣も期限を全く明言されないんですね。
ここはぜひ総理大臣のリーダーシップで、予算の審議中に、全省庁調査について、少なくとも中間的な報告、その概要を国会に報告したいと思うと、総理大臣、力強い答弁をぜひともお願いしたいと思います。

○山本(幸)国務大臣 今般の文部科学省事案で生じた国民の疑念を払拭するため、安倍内閣総理大臣から私に対して、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示がありました。
 この全省庁調査について大事なことは、しっかりとした調査を厳正に徹底的に行うことでありまして、最初からスケジュールありきではないと考えております。一方で、調査結果が出次第、速やかに結果を明らかにしていくことも重要であり、私の指揮のもと、スピード感を持って進めてまいりたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 平成二十九年度予算において、公務員OBの在籍の有無を問わず、公益法人等全体で申し上げれば、主として公益法人等への支出が見込まれる補助金、委託費等の総額は二千九百八十七億円でありますが、予算は、支出先が公益法人等であるか否かにかかわらず、事業の必要性等を精査した上で所要額を適切に計上しています。
また、その執行は、予算の配賦を受けた各省各庁の長の責任のもと、関係法令にのっとって適切に行われるものと承知をしておりますが、我々としては、この調査については、今申し上げましたように、しっかりと徹底的な調査を行いたい、それは、期限ありきではなくて、徹底的な調査を行い、調査結果が判明次第、報告をさせていただきたいと考えております。

(略)

○後藤(祐)委員 午前中の質問時間が来ましたのでこれで終わりにしますが、安倍総理、法律違反の案件が今だけで三つ絡んできているわけであります。大臣は調べて報告するということでございましたが、これは文科省だけじゃないんです。総理は監視委員会が機能したということを盛んにおっしゃられます。そうです、ある程度機能したんです。そして、この証人喚問をやったから、うそだということがわかった面もあるかもしれないんです。
ぜひ、ほかの役所でも嶋貫さんと同じようなことをやっていた場合には、これは無料職業紹介に当たる可能性がありますし、ほかの役所に対しても、少なくとも嶋貫氏と同じようなことをやっていないか、これを調べるということをお約束いただけますか。

○山本(幸)国務大臣 まさに、総理の指示を受けて全府省庁に対して今調査を行っているところであります。そして、その中で疑義が生じるような事案が出れば、再就職等監視委員会に連絡をとって、連携してやっていく所存であります。

○後藤(祐)委員 午前中は終わります。

(略)

○井坂委員 この課長補佐の方は二〇一六年に退職をされた、確かにそういうふうに伺っております。基本的には、そういう天下りをされた方、またはそれを受け入れた企業、団体の側の自発的な何かがない限りはおとがめなしになってしまう。私は、構造的な問題がこういう件に関してはあるというふうに思っております。
ちょっと総理に短くお伺いをしたいと思うんですけれども、午前中から各党の議員が、再発防止、あるいは、さらにもうこういうことが起こらないようにということでさまざまな提案をしておられますが、やはり違法な天下り、しかし、見つかるころにはもう天下り後、民間に行ってしまった後、大体のケースがこうなるというふうに思います。これはやはり刑事罰というようなことを考えない限りは、悪いと認定をしたのに本人は、もう居座ってしまえば、ずっとそこでやることができてしまう。
これはやはり直す必要があると思いますけれども、こういう違法な天下りに対して、懲戒処分だけではなくて刑事罰を科すことを検討していただけませんか。

○山本(幸)国務大臣 現行の国家公務員法では、あっせん規制や求職活動規制に違反する行為は、現職については懲戒処分の対象と職務上なります。
 それから、職務上不正な行為をすること等の見返りとして他の職員または自身の再就職を要求した職員については、既に刑事罰が設けられております。
 御指摘の刑事罰の強化につきましては、再就職等監視委員会による監視や再就職状況の公表など、刑事罰以外の手段をもって規制違反の抑止を図ることが本当にできないのか、あるいは他の刑事罰との均衡はとれているかといった点も踏まえて、慎重な検討が必要であると考えております。

○井坂委員 総理にお伺いをいたしますが、今大臣はこういう御認識でありましたけれども、この議論、別にこの消費者庁に限らず、文科省の件もそうですが、やはり刑事罰を検討する必要があると思いますが、御検討いただけませんか。

○安倍内閣総理大臣 再就職等監視委員会によって、例えば国交省におけるいわば天下り事案も摘発をされたわけでございます。そして、今回の事案もそうでございますが、その際、相当の処分もなされているわけでございます。
それが再発防止にどれぐらいの効果があるかどうかということだろうと思いますが、ただいま山本大臣からも答弁をさせていただきましたように、他の処罰との均衡等のこともあり、慎重に検討していくべきことだろう、このように考えております。

○井坂委員 この二件を今回議題に上げましたのは、再就職をした後も、本当にこれでいいのかなというようなことがそれぞれ起こっているんです。
例えば、この左側の長官の方は、昨年末はPCデポという会社のアドバイザーに就任をされました。PCデポ、どこかで聞いたなと思いましたら、昨年秋にまさに消費者トラブルでネット上で大問題になった会社でして、これは当時の新聞記事を引用しますけれども、岡村消費者庁長官は、パソコンのサポート契約、勧められて契約をしたが、後日解約を申し出たところ、高額な契約解除料を請求されたなどの消費生活相談が寄せられていることは事実、消費者庁としては引き続きこの相談状況を注視してまいりたい、わざわざこういうコメントを出して、記事になっているようなところなんですね。
もともと消費者庁の長官までされた方が、こういうところにまた再就職をしておられる。もちろん、いろいろなケースがあると思いますよ。問題がある会社が、心機一転、心を入れ直して、消費者庁の一番偉かった長官を迎え入れて真っ白に生まれ変わろう、こういうことならいいんですけれども、しかし、どうなのか。むしろ、受けとめとしては、何か用心棒みたいに入れたんちゃうかみたいな受けとめもあるようですので、これは一つ、いいのかというふうに思います。
もう一つ、右側の課長補佐の方なんですけれども、このジャパンライフという会社、これはもともとこの課長補佐が取り締まりの対象としていた会社でありますけれども、まさにその案件で、これも昨年末です、このジャパンライフ社に業務停止命令が出された。こちらに関しても、立入検査から実際の停止命令までやたら時間が、何でこんなにかかったんだとか、あるいは非常に消費者相談の件数が多いところだったんですけれども、何か消費相談の件数が多い、あるいは、これは平均一千数百万のレンタル商品で、契約者の八割の方が高齢の方々であった、こういうような案件にもかかわらず、一番短い三カ月の業務停止命令だったのはどうなのかとか、業界紙複数に書かれてしまっているような状況なんです。中には、まさにこの課長補佐が天下り再就職をしたがゆえに何か手心が加えられていたんじゃないのか、だとしたら問題ですよね、こういう論調まであるわけであります。
そこで、お伺いをいたしますけれども、今は、違法かどうかというのは、その公務員の方が在職中に就職活動をしたかどうかとか、あるいは今回の文科省みたいに何か組織的にあっせんをしたのかどうか、こういう求職とかあっせんとか、そこだけで違法かどうか決まりますけれども、私は、やはり最初に申し上げたように、天下り問題の本質は、こうやって役所から天下る、天下った先の企業に対する規制や取り締まりが甘くなったりとか何かが優遇されたりとか、この癒着構造が最大の問題だと思います。
もう時間がないので、最後、総理にお伺いをいたします。単に求職活動の有無とか、こういう違法の有無だけでなく、本来の業務がねじ曲げられたことはなかったのか、こういう観点からもこの天下り事案というのはしっかり検証する必要があると思いますが、きっちりやっていただけますか。

○山本(幸)国務大臣 今回の文科省の事案は、まことに言語道断でありました。そしてまた、消費者庁の事案については、その後のこと云々については詳細を存じておりませんのでコメントは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、全府省を徹底的に調査して、そして再発防止をどのようにしたらできるかどうかについてはしっかりと考えていきたいと思います。

○井坂委員 もう時間ですけれども、総理、やはり、できることは何でもするといつも力強くおっしゃっておられるわけです。ところが、きょうに限らないですけれども、この天下りの問題、我々が、ここはこういうふうに直したらどうですかとか、あるいはこういうふうにしたらどうですかと提案をしても、それは全部答弁を大臣に振られて、検討しますとか、それは確かにそう思うとか、私はそれぐらい言っていただきたいと思います。
最後、一言あれば、総理、お願いをいたします。

○安倍内閣総理大臣 まずは、全省庁において徹底的に調査をし、その検証を行い、そして、今後、やるべきことがあれば、やるべきことは全てやるという考え方で臨んでいきたいと考えております。

(略)

○宮本(岳)委員 総理、これは再就職の仕方の問題なんかじゃないんですよ。履歴書をいつ届けようが、誰が届けようが、直接口ききなどしなくても、高等教育局長が大学に天下ることなど許されるわけがないと思うんです。
やはり、退職した官僚がみずから所属した役所と密接な関係のある業界や団体などに再就職すること自体を禁止しなければ、癒着は決して防げないのではありませんか、総理。

○山本(幸)国務大臣 国家公務員の再就職につきましては、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があると考えております。
 一方、公務員OBの口ききや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等は、官民の癒着につながりかねず、根絶しなければならないと思っているところであります。
 現行制度による厳格な監視が機能したからこそ今回の文部科学省の事案が明らかになったものではありますが、このような事案は国民の信頼を揺るがすものであり、あってはならないことであります。
 国民の疑念を払拭するため、全力を挙げて調査を行い、その結果を踏まえて、どのような対策をとればよいか、実効の上がる対策がとれるか、しっかりと検討してまいりたいと思います。

(略)

○安倍内閣総理大臣 この案件は、確かに委員が最初に国会で取り上げられたということは承知をしております。
同事案については、国会での指摘に対し、当時の、これは民主党政権時代でありますが、当時の国土交通副大臣らをメンバーとする調査委員会が二度にわたって違反行為はなかったと認定したわけでございますが、しかしながら、第二次安倍内閣が発足後、平成二十五年三月に、再就職等監視委員会が調査した結果、違反行為が認定をされているわけでございます。
つまり、その前の段階では全く摘発されていないというか、これは違反行為はなかったと認定されていたものが、調査委員会の調査によって明らかになった、こういうことでございます。
今委員が御議論の点については、これはまさに監視委員会がお答えをするものであろう、このように思います。

○塩川委員 固定ポストがまさに天下りあっせんだというのは当時の担当大臣も言っていた。そういうことさえ調査したということも示せないのが監視委員会の実態なんですよ。まさに、天下りあっせんについて監視委員会が機能していると言えないということがこういうところにもはっきりとあらわれている。この全体像を明らかにしたのに二つしか言えなかったというところに、監視委員会がその役割を果たしていない、仕組み上がそうなっていることを示しているということを強く指摘するものであります。
重ねて総理に聞きますけれども、文科省でも国交省でも官僚トップの事務次官が関与していたように、役所ぐるみの天下りあっせんが一度ならず二度までも行われているというのは、まさに構造的な問題です。
第一次安倍政権の国家公務員法改正の重大な問題は、営利企業への天下り禁止という事前規制の仕組みをなくして、天下りを原則自由化したことにあります。そして、天下りあっせんだけを問題にしてチェックする仕組みをつくったけれども、その結果、まともなチェックもできなかった、そういうことになるんじゃありませんか、総理。

○山本(幸)国務大臣 先ほどの渡辺当時の行革大臣の発言は、その当時は再就職のあっせんというのが許されていたわけでありまして、その意味でそういう発言になったと思います。現在とは事情が違うと思います。
 平成十九年の公務員法改正以前は、国家公務員は、まさに離職後二年間、その離職前五年間の在職機関と密接な関係にある営利企業への再就職は禁止されていたわけであります。
 他方、当時は各省庁において、組織の新陳代謝のために、人事当局による勧奨退職と再就職先のあっせんが人事の一環として行われておりました。
 このような再就職は、個々の職員と再就職の間に必ずしも密接な利害関係が存在しないものであっても、官庁が組織的にあっせんを行うため、結果的に、当該官庁が有する予算や権限を背景に民間に押しつける形で行われることが多かった、これが公務員OBによる口ききなど官民癒着につながっていたというのが問題の核心でありました。
 第一次安倍政権では、このような官民癒着の温床を根源から排除するため、営利企業はもとより、非営利法人への再就職についても、官庁によるあっせんを一律に全面禁止することとしたものであります。
 一方、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があります。
 このため、密接な関係のある営利企業への離職後二年間の再就職の原則禁止にかえて、平成十九年の国家公務員法改正により、それまで禁止されていなかった各府省による再就職あっせんの全面禁止等、厳格な規制を導入することにしたものであります。
 その際、規制を実効性あるものにする観点から、離職後二年以内に再就職した場合にはこれを公表するとともに、極めて独立性が高く、かつ強力な調査権限を有した再就職等監視委員会を設置して厳しく監視することとしたものであります。
 この現行制度による厳格な監視が機能したからこそ、今般の文科省事案が明らかになったものではございますが、本事案で生じた国民の疑念を払拭する必要があり、今後、しっかりとした調査を行い、その結果を明らかにすることにより国民の疑念払拭に努めてまいりたいと思います。

○塩川委員 答弁が長いのは、機能していないということを言いたいだけということです。
総理に重ねて聞きますけれども、そもそも、監視委員会がこういう形で、機能していない。今言ったように、公益法人を対象にというのがありますけれども、そもそも、営利企業だけではなくて公益法人も天下り禁止の対象にする、範囲を広げろと要求してきたのは私たちであるわけで、そういうことこそ必要で、原則自由化、天下りの自由化を図ったというところに大もとがある。
総理にお尋ねしますけれども、二〇一一年三月の東電の原発事故、その直前の一月に、電力会社を所管する経産省の資源エネルギー庁長官が、退職後わずか四カ月で東電顧問に天下りました。原発を推進してきた経産省と東電の癒着を示すものであり、原発事故への反省がないと厳しい批判を受け、結局辞任に追い込まれました。それ以前は二年間はまさに営利企業、関連するところに行けなかったのを、それを撤廃したために、わずか四カ月で天下りをするということが可能となった。
これは、第一次安倍政権で天下り規制をやめて、天下りを原則自由化したから可能になったということじゃありませんか。

○安倍内閣総理大臣 それは自民党政権当時ではございませんが、民主党政権時代でございますが、まさにそのときに再就職等監視委員会のメンバーが決められていなかった、いわば発足していなかったという大きな問題があった中において、発足していれば恐らく、それは間違いなく、エネ庁の長官が東電ですから、当然指摘があったのではないかと推測されるわけでございます。

○塩川委員 私が指摘したことの一部しかやれていないんですよ。これでどうして機能したと言えるのか。
そもそも東電への天下りというのは、歴代の自民党政権でずっと続いていたんですよ。東電への天下りというのは、通産省、経産省から五代五十年にわたっているんですよ。連綿と天下りが続いていた、固定ポストとなっていたというのが、この経産省、通産省の東電の人事だった。顧問から入って、最後は副社長に上がっていく、そういうルートさえ全部同じなんですよ、こういうのを見ても。
まさに、こういった天下りの禁止を撤廃した、だからこそ資源エネルギー庁長官が天下ることができたというのは、第一次安倍政権がやった結果じゃありませんか。
官業の癒着をもたらした天下りというのは、全体の奉仕者たる公務員の仕事をゆがめ、国民の利益を損なうものになる、きっぱりと断ち切るべきであり、実効性ある天下り規制は、規制対象を民間企業だけではなく公益法人や特殊法人などに拡大し、離職後二年間の規制期間を五年に延長するなど、かつて行っていた天下り規制の抜本的強化を図ることであり、公務員を定年までしっかり働けるようにする、こういう取り組みこそ必要だ、この立場に立つことを強く求めるものであります。
それで、もう一つ指摘をしたいのが、民から官への天上がりの問題です。
第一次安倍政権は、二〇〇七年の四月に「公務員制度改革について」を閣議決定しました。天下り原則自由化の国家公務員法改正を行うとともに、公務員制度の総合的改革を行うための国家公務員制度改革基本法の立案を決めております。その中には、「官民交流の抜本的拡大」として、「官から民、民から官の双方での官民交流の抜本的拡大に向け、早急に所要の制度整備を行う。」とあります。官と民の間を自由に行き来できるようにするという回転ドアの実現を目指すものであり、その推進役を果たしたのが第一次安倍政権であります。
パネルを見ていただきたいんですけれども、民間企業から国への職員の受け入れ状況のグラフであります。
営利企業から国への職員受け入れの拡大を示しています。青い棒グラフですけれども、第一次安倍政権の二〇〇七年度のときに八百四十五人だったのが二〇一五年度には千八百八十二人へと、二・二倍に大きく増加をしています。
総理にお尋ねしますが、こういった営利企業にとって官民人事交流を行うメリットというのは何なのでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 官民人事交流法に基づきます交流採用は、民間企業における実務の経験を通じて効率的かつ機動的な業務遂行の手法を体得している者を採用して職務に従事させることにより行政運営を活性化することを目的とするものであります。
 交流採用を実施した民間企業においては、人材の育成や相互理解の深化等に資するとの評価がなされているものと承知しております。
    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

○塩川委員 人材育成、相互理解ということがありましたけれども、第一次安倍政権の国公法の改正時に総務省が行った委託研究があります。民間企業等における官民人事交流に対する意識に関する調査研究というもので、ここに、官民交流によって民間側が得たいと考えるメリットは三点ある。一つが派遣する職員の人材育成、二つが官庁との人脈形成、三つが新たなビジネス機会の創出というものであり、つまり、官庁との人脈形成、新たなビジネス機会の創出が営利企業のメリットだということになります。そこに官民癒着が生じるのも当然であります。
政権の政策立案の司令塔が内閣官房であります。内閣官房に置かれたTPPや健康・医療戦略、働き方改革などの事務局には、民間企業から多数が勤務をしております。赤い折れ線グラフですけれども、内閣官房における民間企業出身者数は、二〇〇七年度の六十人が二〇一五年度には二百五人へと、三倍以上に拡大をする。まさに、政権中枢で政策立案に深く関与するものとなっています。多数が出身企業の身分を持ったまま勤務し、数年後には出身企業に戻っていく。そうなれば、営利企業の利潤追求を代弁することになる。
総理にお尋ねしますけれども、例えば、第二次安倍政権で成長戦略に位置づけられた健康・医療戦略は、先端医療分野に予算配分などを集中し、省庁の縦割りを排除した連携を進めるものです。その推進体制の事務局である健康・医療戦略室には、製薬メーカートップファイブの武田薬品、アステラス製薬、第一三共、大塚製薬、エーザイなどの大企業が加わっております。
このように、予算の重点配分などの利益を得るような業界関係者を直接国家戦略の作成に当たらせるもので、これは公平公正な政策をゆがめるものとなると思いませんか。総理、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 官民人事交流法に基づいて民間企業から国に採用された職員は、当該民間企業と密接に関係する官職にはつかせず、当該民間企業の事業または事務に従事させないこと等の措置を通じて官民の癒着を防止しているところであります。
 また、採用昇任等基本方針においては、職務の特殊性等を踏まえて、官民癒着等の懸念が生じないように、制度を的確に運用することを定めております。
 これらに沿って、民間から国への職員の受け入れについては、官民の癒着との批判を招かないよう適切に行うことが必要と考えております。

○塩川委員 内閣官房における民間企業出身者二百五人のうち、非常勤職員が百五十九人なんですよ。ということは、皆さん、何年間か勤めたら帰っていくんですよね。そういう関係になっています。健康・医療戦略室においても、民間企業の出身者は十人おりますけれども、全て非常勤職員であります。先ほど紹介した製薬メーカートップファイブの企業など、大企業ばかりです。
そこで、石原大臣にお聞きしますけれども、そういう民間企業から来た職員のうち、課長補佐クラスの参事官補佐、それから係長クラスの主査の勤務時間とか給与などの勤務条件はどうなっていますか。

○石原国務大臣 委員御指摘の健康・医療戦略室では、今委員が御指摘されましたような企業等々を含めまして、民間における研究開発やグローバルな産業競争の最前線で活躍している方々の専門的な知見を企画立案等に生かす、もちろん山本大臣の御指摘されたような方法でございます、任命しております。
そこで、御質問でございますが、健康・医療戦略室に勤務する民間出身の職員の勤務時間は、月曜日から金曜日まで、午前十時から十二時及び午後一時三十分から五時十五分まで、一日五時間四十五分であると承知をしております。(塩川委員「給与。給与を質問したでしょう」と呼ぶ)

(略)

○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
本日、我々もまず天下りについて質問させていただきたいと思います。
我々は大阪で、安倍第一次内閣のときにつくられたものを手本にして、さらに実効性のある厳しい条例をつくりました。我々がその条例をつくるのは、天下りをしない、させない、できないようにするのがやはり目的だった、だからこそ事前に全て禁止するということにしてあります。
今、「再就職情報の届け出(イメージ)」というものを出させていただいています。ここにあるように、在職中の職員の再就職の約束時とか、これはちょっと、どういうふうなことを想像しているのか。こんなのわからぬでしょうというふうな感じなんですけれども、これはさておいて、こっち側ですね、管理職経験のある元職員。
管理職の経験のある方ということは、一定の役職にある人以外はもう既に再就職監視委員会の網の目から逃れてしまっているんですね。管理職以上の方と管理職以下の網にかからない人たちの退職者で、どっちの方が人数が多いんですかとお聞きすると、管理職以下の人たちの方が多いと言うんですね。
ということは、委員会の網の目にかからなくて天下りをしている可能性のある人がさらにたくさんいてる、これはあくまでも可能性ですけれども、そういうことになってしまうわけですね。私は、それではやはり、ある一定の役割を果たしていると総理もおっしゃっていますけれども、完璧ではないというのは言えることだと思います。
監視委員会の方にもお聞きしました。事後の審査の今のやり方ではやはり人数的にかなり難しい、全てを毎年毎年きっちりと網羅して調べることができるというのは非常にタイトな仕事ですということもおっしゃっておりました。
さらに、天下りというか、退職された方が就職したときにまず報告をするのは各省庁なんですね。省庁でまとめて、さらにそれを内閣に出す、その時点でまたフィルターがかかってしまっているんじゃないかという疑いも持つことになると思います。
私は、だから、監視委員会の人数も不十分だし、こういった制度だとやはりこの委員会の制度がかなり形骸化してしまうんじゃないかというふうに思っています。我々はもちろんもっと厳しい法案を提出させていただいておりますけれども、この点についてどうお考えでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 国家公務員の再就職について今一番問題となっているのは、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口ききや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為でございます。
 一方で、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があると思っております。
 このために、密接な関係のある営利企業への離職後二年間の再就職の原則禁止にかえて、平成十九年の国家公務員法改正によりまして、それまで禁止されていなかった各府省による再就職あっせんの禁止等、厳格な規制を導入するとともに、監視体制として再就職等監視委員会を設置したところであります。
 今般の文科省の事案もこの機能が発揮したからということで考えておりますが、しかし、こうした国民の疑念を払拭する意味で、総理からは全省庁について徹底的な調査を行うように指示がありました。
 御指摘の大阪府大阪市における日本維新の会の取り組みについては承知しておりますが、いずれにしても、全力を挙げて調査を行い、その結果を踏まえて、どのような対策をとれば実効の上がる対策がとれるか、維新の会の取り組みも一つ念頭に置きながら、しっかりと検討してまいりたいと思います。

○浦野委員 一件もなくすようにするためには、今のままではだめだと思うんですね。どこかをやはり変えないといけないというふうに思います。
これも提案ですけれども、受け入れ側のペナルティーについてなんですね。
今回、一番大きな問題になっているのは早稲田大学。早稲田大学といえば、誰もが知る名門私立大学ですよね。政治経済学部は一八八二年、明治十五年から、二〇一二年には百三十周年という非常に歴史のある大学です。もちろん、今、前に座られている中にも早稲田大学の出身の方がいらっしゃいます。大隈重信公はもちろんですけれども、下村前文科大臣、岸田外務大臣、稲田防衛大臣、山本農水大臣、そして松野文科大臣も早稲田の出身者であります。官僚にもたくさん優秀な人材を輩出している大学です。その大学がですね、天下りのことについて何も知らなかった、何も気づかなかったなんという言いわけは、本当にただの言いわけにしかならないと思うんですね。
起こってしまったことは、もうこれはこの国会で今さんざん追及していますから、それはそれでおいておいて、やはり私は受け入れ側のペナルティーがないと話が前に進まないなと思っているんですけれども、大臣は今後、この対策としてそういったことも含めて検討する意思があるかどうか、御確認をしたいと思います。

○山本(幸)国務大臣 現行の国家公務員法上の懲戒処分等は、まさに国家公務員制度の秩序維持という観点から行われているわけであります。その意味では、ある意味で公務員の内部の秩序維持ということでそうした処分が科されるわけであります。
 一方で、外部の方あるいは企業、団体等に対してそうした措置をすべきかどうかということについては、相当慎重な検討が必要だと思っております。
    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

○浦野委員 私は、するべきだと思うんですね。ペナルティーがあることによって受け入れ側も天下りを断ることができるようになりますので、そういったインセンティブが働くということで、ぜひこれは検討していただきたいと思います。
私は松野大臣に答弁を求めたんですけれども、松野大臣はどうですか。

○松野国務大臣 現行体制における法規制のあり方は、今、山本大臣からお話をさせていただいたとおりであります。
また、今回の事案で文部科学省としても早稲田大学に対して大変な御迷惑をおかけしておりまして、私の方からも鎌田総長におわびを申し上げたところであります。
文部科学省としては、現行法体制の中において、今、違法行為について御指摘をいただき、真相解明に取り組んでいるところでございますので、まず徹底的な事実解明を進め、そして国民の信頼回復を図ってまいりたいと考えております。

(略)

○椎木委員 次に、日本維新の会は、さきの国会で、政治資金使途制限法案、文通費使途公開・日割支給法案、議員歳費削減法案、教育無償化法案、公職に係る二重国籍禁止法案等々、百一本に上る議員立法を提案いたしました。与野党の国対や関係委員会の理事の皆様に対して、再三にわたって審議入りをお願いしてまいりました。国民の目線からすれば反対する理由が思い浮かばない法案ばかりと自負していたのですが、残念ながら聞き入れられませんでした。
国家公務員法改正案もその中の一つです。天下り規制が不十分であることを踏まえ、大阪府職員条例なども参考にしながらつくった法案です。
我が党が提出した国家公務員法改正案は、管理職職員等について、離職後二年間は一定の法人の役員等に再就職してはならないこととしています。再就職が禁止される法人としては、まず、行政執行法人以外の独立法人です。次に、政令で定める特殊法人、認可法人、公益社団法人、公益財団法人であります。
これらの法人への管理職職員等の再就職は、現行の国家公務員法では、百六条の二十四で、内閣総理大臣への届け出のみが必要になっております。我が党の法案は、単なる届け出ではなく、国と特に密接な関係のあるこれら法人への再就職自体を禁じております。これが大原則になります。
このお配りしている資料は、さきの参議院の予算委員会で我が党の浅田均参議院議員がお示しした資料と同じものです。
この資料を見ていただけるとおわかりだと思いますけれども、職員条例と国家公務員法の大きな違いが二点ございます。
まず、外郭団体等への再就職。これは、大阪府、大阪市の職員条例と比べて、現行の国家公務員法は禁止規定がなし。もう少し細かい話をすると、大阪府、大阪市の現在の職員条例では、外郭団体、出資法人、大阪府、大阪市から補助金、交付金を受ける団体に対する再就職、いわゆる天下りを全面的に禁止している。現行の国家公務員法は、その禁止規定がない。これが第一点目。
二点目に、監視体制。大阪府、大阪市の職員条例では、人事監察委員会が有効に機能しているために、天下りに関する問題が生じていない。さらに、職員の意識改革につながった。現行の国家公務員法では、こういった再就職等監視委員会が大阪府の職員条例と比べて有効に機能していない、そのように我が党は認識しております。
ただ、今回の事案を明らかにしたことについては、これは我が党としても大変評価はしております。ただ、いいものといいものを比較して、大阪の職員条例であれば、これが我が党が提出した議員立法であれば、大阪府、大阪市のように監視体制がしっかりできて、今回の事案は発生しなかった、そういうことをこの資料で私の方では説明させていただきたいと思っています。
したがって、この法律改正が必要だ、この点を強く申し上げたいと思います。
そこで、山本幸三大臣にお聞きします。
昨日公表された再就職等監視委員会の調査結果、中間報告によると、複数の人事課長経験者が関与という報道がありました。複数の関与があるのは、現在の制度規制だけでは防げないということです。大阪のように、職員の意識に踏み込んだ防止制度にすることが必要だと思います。
私は、我が党が提出した法案が法制化すれば、天下りが根絶できる最も有効な手法であると確信しておりますが、山本幸三大臣の所感をお聞かせください。

○山本(幸)国務大臣 今般の文部科学省事案で生じました国民の疑念を払拭するために、安倍内閣総理大臣から私に対して、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示がございました。
 御指摘の大阪府、大阪市における日本維新の会の取り組みについては承知しております。
 いずれにしても、全力を挙げて調査を行い、その結果を踏まえて、どのような対策をとれば実効の上がる対策がとれるか、しっかりと検討してまいりたいと思います。

○椎木委員 山本大臣に一点ちょっと確認させていただきたいんですけれども、大阪の取り組みは承知しているという御答弁をいただきましたけれども、この大阪の実績を調べていただくという予定はあるんでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 調べさせていただきます。

○椎木委員 ありがとうございます。
我が党は、建設的な考え方で、これはそもそも第一次安倍政権のいいものを取り込んで条例制定したものですから、今度は我々がさらにいいものをつくったのでそれを提案したい、そういう考えで質問させていただいていますので、しっかり調べていただいて、さらによりいいものをつくっていただければと思います。
私は、今回、文部科学省の天下りあっせん問題発覚後、この問題については、週末の地元活動を通して大阪府民の声を聞いてまいりました。町会、商店街の皆様、若い御夫婦、お年寄りの方、そして大阪府、大阪市の職員及びOBを含めて、多くの声を聞かせていただきました。
私は、大阪二区の選挙区ですが、今日に至るまで、地元の皆様にも恵まれ、大阪のすばらしい文化を見てまいりました。さらに加えて、大阪府民の皆様のこの改革に対する意識の高さ、そして大阪の改革を次は国のレベルで取り組んでほしいという大阪府民の声を踏まえて、我が党が提出した国家公務員法改正案の必要性について訴えております。
先ほどから外野がうるさい中、大阪、大阪と言ってまいりましたが、大阪の声はすなわち国民の声であります。国民の疑惑を払拭するという観点から真摯に対応する必要があると考えますが、安倍総理の御見解をお願いいたします。

○安倍内閣総理大臣 天下りの根絶は、今後も変わらない安倍内閣の基本方針でございます。
文部科学省における再就職規制違反事案については、文部科学省の人事当局も関与して行われました。まさに組織ぐるみと言われても仕方がない事案であります。国民の信頼を揺るがすものであり、あってはならないものである、こう認識をしています。
国民の疑念を払拭するためにも、徹底した調査を行います。必ず、必ず徹底した調査を行います。そして、徹底して調査したものをしっかりと我々も公表させていただき、それを分析して、しっかりとした再発防止策を立てていくことによって責任を果たしていきたい、このように決意をいたしております。