地方創生チャレンジフォーラム@仙台国際センター)
2月の最終週の土曜日、25日は宮城県を訪問してまいりました。
今回は、「地方創生チャレンジミーティング」を仙台市で行いましたので、少々いつもの視察よ
りも訪問場所は少ないものになりましたが、いくつか紹介したいと思います。
今回仙台で、開催した地方創生チャレンジミーティングでは、250名が集まる盛況の中で行わ
れ、私から地方創生の鍵となる理念やこれまで視察してきた成功事例などの講演を行うとともに、
会場の皆さんとも意見交換をさせていただきました。また、今回は東北での開催でしたので、東北
で地方創生に活躍される有識者の方々をお招きし、ご講演をいただきました。
ご参加を頂いた有識者の皆様
「スポーツで地域を拓く」
高畠 靖明 氏(秋田プロバスケットボールクラブ株式会社 専務取締役)
「あおもり藍産業協同組合の挑戦」
吉田 久幸 氏(あおもり藍産業協同組合 代表理事)
「世界遺産白神山地の保全を通じて「高質な田舎」を実現するプロジェクト」
上田 貴夫 氏(秋田県 生活環境部自然保護課 調整・自然環境班 主査)
染谷 高士 氏(株式会社アルビオン 取締役 カスタマーサービス本部副本部長)
「和光市における 地域包括ケアシステムの実践」
松本 武洋 氏(埼玉県和光市長)
この地方創生チャレンジミーティングは今週3月4日の土曜日、名古屋においても開催いたしま
す。お近くの皆様のご参加をお待ちしております。
詳細は、まち・ひと・しごと創生本部事務局のHPへどうぞ
・舞台アグリイノベーション株式会社
亘理町では、舞台アグリイノベーション株式会社の精米工場を訪問し、安全・安心の確保や品質向
上のための徹底した検査体制や、オートメーションによる生産性向上の取組等についてお話を伺い
しました。舞台アグリイノベーション株式会社はアイリスオーヤマと舞台ファームが共同出資して
できた精米事業会社であり、約42,000tのお米を15度という低温で保管ができるそうで、
年間約10万tの精米能力があるとのこと。それは、低温倉庫から、低温精米機、低温包装という
流れの「トータルコールド製法」で加工をしているようです。お米は、15度でずっと管理すれ
ば、栄養も壊れず、長持ちするそうですが、他社の貯蔵庫に積まれている場合は、温度が上がり、
場合によっては60度ぐらいになってしまい、味も壊れてしまっているような事例もあるそうで
す。私も実際にお米を頂きましたが、やはり品質は変わってくるようです。
(実際に味見をしてみました)
そして、東北や北海道をはじめとする東日本を中心として、広域的な農業者連携を構築しており、
共同出資の舞台ファームは広域の生産者を、アイリスオーヤマは小売業や外食をつないでいます。
そうすることで、コストダウンやお米の美味しさを実現し、国内外への広域な販売を可能にしてい
ます。2015年からは、マレーシア、アメリカへのお米の輸出を再開したそうです。こうした取
り組みは、特に被災地の復興にも大きな貢献をするのではないでしょうか。また、低コスト農法の
普及による効率的な農業経営指導や全量買い取り制度(契約栽培)など、若手農業経営者の育成や農
業経営の支援、営農拡大にも取り組んでいるとのこと。
・桃浦かき生産者合同会社
(仙台水産の島貫文好会長、大山代表と意見交換)
桃浦かき生産者合同会社は、石巻市桃浦のかき養殖漁業者と(株)仙台水産とでつくった会社で、地
元漁業者がかき養殖生産から加工販売までの一貫した取り組みを行っており、水産業復興特区の活
用により、会社が漁業権を取得し、民間企業と連携したマーケットへの商品開発や六次産業化の取
組など新しい養殖漁業を構築しています。更には、漁業後継者の育成・確保・会社を核にしたコミ
ュニティの再構築を目指しているそうです。
(加工場でブランドタグの取り付けや高圧処理装置による作業などを視察)
これは、東日本大震災復興特別区域法の漁業法の特例※の適用を受けて、宮城県知事が、石巻市桃
浦地区において、平成25年9月に同会社に直接漁業権を免許した事例です。
※漁協以外の法人が漁業権の取得・行使は漁業法でも可能ですが、壊滅的な打撃を受けた被災地の「復興」という特殊を考慮し、被災地からの要望を踏まえ、特別に設けた制度です。
これまで聖域ともいわれていた漁業権を、水産特区ではじめてこうした企業が入る漁業権取得がで
きるようになったわけで、将来的にはこの形式を一般的に広めてくことができれば、日本の漁業も
養殖漁業というものが大きく拡大し、生産性も向上していくのではないでしょうか。
桃浦かき生産者合同会社の設立の軌跡が同HPに詳細に掲載されています。是非ご覧ください。
(山田水産の皆様と意見交換)
水産加工や養鰻事業を中心に活動する山田水産の本社は、もともと大分県ですが、今回訪問させて
いただいた石巻事業所では三陸の海で水揚げされたサバ、サンマ、イワシなどを蒲焼きや照り焼き
といった製品に加工をしています。例えばサンマの蒲焼きですと、新鮮な魚を選び抜く「買い付
け」からはじまり、氷温解凍という中まで均一の温度で行う「解凍」、腹を開け中骨から腹骨、内
臓脂肪まで取り除く「開き」、高温の蒸気でふっくりと仕上げる「蒸し」、季節に応じ調整される
火加減のもとでタレ付けと焼を4回繰り返す「蒲焼き」、鰻のタレをベースにサンマに合うタレにア
レンジし白ワインを隠し味に入れた「たれ」、-30度で40分間で一気に凍結し焼きたての味をそのま
ま閉じ込める「凍結」と各セクションで匠のこだわりがあり、その美味しさの理由がわかります。
東日本大震災では、生産ラインに被害を受けるも撤退はせず、早期の復旧・復興を果たしたこと
で、販路を維持するとともに、従業員も50名から100名に倍増と地域の雇用にも貢献をしてい
るようです。
以上、今回の視察では特に東日本大震災の影響を受けた地域にお邪魔を致しましたが、そうした震
災を契機に創造的かつ革新的な地方創生の取り組みがいくつも生まれているようです。発災後まも
なく6年が過ぎようとしていますが、現場に来ると改めて未だ復興の途上にあると感じさせられま
す。今回見させていただいたような、この被災地から生まれた様々な取り組みが将来的に全国へ広
がっていくことができれば、東北からはじまり、必ずや地方創生という日本の復興につながってい
くでしょう。今回の宮城視察は、地方、そして被災地の力強さを再認識した視察でありました。