幸ちゃん物語 第35話 (北九州地域再活性化私案編)
ローカル・ホロニックス
~ホロンの協調的活動で都市文化形成~
都市や地域の構成要素のホロンは、最小単位が個々の人間であり、階層的にとらえると各家庭、企業、町内、市町村といった具合になる。それらが個性と自律性をもった情報発信基地となり、市の運営に参加する。その際、市全体の活性化と魅力増大には何が一番適当かという観点からフィードバックが繰り返し行なわれ、各ホロンも強調的にこの秩序形成参加する。こうして、個々の情報と全体の情報が統合と圧縮のサイクルを繰り返し、循環しながら意味=都市文化を確定していく。これが、ローカル・ホロニックスである。
さて、ローカル・ホロニックスが生きたシステムとなるためには、どんな点に気を付けたらよいのだろうか。
いちばん気を付かなくてはいけない点は、システムを機械と同じようなものに取り違えないことである。機械のシステムとは、上の人がスイッチを押すと下はその通りに動くというもので、軍隊的組織論というべきものである。ホロン自体が情報をつくり出すという肝心なことを無視している考え方で、これではまったく話にならない。
もう一つは、秩序の固形化である。多くのシステムや組織は、形成された初期は極めて柔軟だ。企業でも、状況に応じて新しい対応が可能である。ところが、秩序というのはいったんできあがると、その経験的な経済効果を重んじるために組織が硬直化してしまう。こうなると、その組織はすでに機械になってしまっている。
この秩序の固形化を防ぐためには、ものごとが一定の状態に定まらないよう”ゆらぎ”という機能を、構成要素であるホロンがもっている必要だ。つまり、ホロンがつくり出す情報の自由度が高いこと、情報が個性的で多様であることが要求される。それによってシステム全体の柔軟性が増し、柔らかい安定性が生まれてくるのである。
以上のように、秩序の固形化を防ぎつつ、個性と能動的な選択能力をもつ自主的な存在であるホロンが、常に情報的な新陳代謝を繰り返し、階層的に発展して魅力ある地域社会を形成していこうというローカル・ホロニックスの考え方こそ、これからの北九州地域のあり方を検討するに当たって、重要な指針になりうるものと信ずる。
これからの村おこし”村おこし”、”街おこし”、”地域おこし”といった運動を考える際にも、それぞれの構成要素がホロンとしてシステムのなかで情報を担い、また、情報をつくり出す役割を協力的に果たすようにしていくことが重要である。これらは一朝一夕にできる課題ではないが、北九州地域の将来を考えるうえで非常に大切なことである。
それでは、次にこうしたローカル・ホロニックスの観点に立って、具体的にどのような政策、方策を考えていけば北九州地域の活性化が図れるかを検討してみたい。