幸ちゃん物語 第43話 (北九州地域再活性化私案編)
ウォーターフロント開発
~苅田・行橋・豊前にアメニティ空間を建設~
このエンタープライズ・ゾーンの構想は、産業構造の変化をモロに受けた北九州地区にとって有効な施策である。とくに、これとウォーターフロント開発とを組み合わせれば、小倉から門司港にいたる地域の再開発を一挙に進められる。ただ、このエンタープライズ・ゾーンは立法措置が必要である。現行法制下の規制が、この開発のネックとなっているからだ。
例えば、臨港地域と指定されるとそこに設置される施設は、上屋や荷役機械などの荷さばき施設、サイロや倉庫などの保管施設、道路や鉄道などの臨港交通施設など、直接に港湾機能に関する施設に限定され、住宅、オフィスビルなどほとんどの商業施設は建設できない。従って開発を本格的に進めるには、こうした臨港地区の指定の解除や分区条例の改正が必要である。
その意味で一日も早く国政の場に出て、こうした立法に積極的に取り組みたい。それまでは、関係官庁と相談しながら現行法制のもとで、できるかぎりフレキシブルな対応が図られるよう努力していきたい。
こうした課題を念頭に置き官民の力を結集していけば、海に囲まれた北九州地域では、いろいろな絵が描ける。
例えば、門司ではボストンと同じように、かつて外国貿易の荷物を扱った古い赤レンガの倉庫が残っている。これらの倉庫を生かして、レストランや洒落たショッピング街を作る。木や街燈をうまく配置してロマンチックなムードを醸し出す。若者向けのイベント広場も演出する。海に面した場所に、シティ型ホテルやシルバー世代用マンションなどを配置する。国際会議場や小劇場などの文化施設も考える。他方、光ファイバーなどを駆使したインテリジェント・ビルを建設し、官公庁、民間企業も利便に資することとする。将来、事業税の免除など思い切った優遇措置を講ずれば、オフショア業務を行う内外の金融機関を、北九州に誘致することが可能であると考えている。これが実現すれば、北九州は一大国際金融センターとなる。長期的には、こういったことも考えていくことが必要である。
ウォーターフロント開発は、全く新しい地区においても可能である。例えば、苅田・行橋・豊前の埋立地。ここに外国の大学などを誘致し、ホテルとショッピング街をつくる。ゴルフ場やテニスコートもよい。海沿いには、ウォーターフロント・ウォークとして遊歩道にする。間隔を置いてシルバー世代用マンションを建てる。ヨットハーバーとボート用マリーナを整備する。子ども用の海水プールもよい。そうすれば、シルバーから子どもまで各世代の人達が楽しめる、新しいアメニティ空間ができるのである。
こうしたプロジェクトを実現するためには、地域の人達の理解と行政の協力、そして何よりも金融を含めた民間企業の投資が必要である。私自身、現在問題点を詰めながら、関心を有する企業家の方々と相談しているところであるが、できるだけ速やかにご理解を得、一歩ずつでも進めたいと考えている。