幸ちゃん物語 第47話 (北九州地域再活性化私案編)
北九州地域を人材育成基地に
~教育熱の高さを武器に~
現代は、知恵と情報と人材の時代といわれるが、突きつめていけば結局人材が勝負を決める。歴史的にみても産業というものは、栄枯盛衰、有為転変だが、人材というのは不易だ。
今地域活性策として、リサーチ・コアとかリゾート構想などが盛んに論議されているが、そういうハード面だけにとらわれるのは問題があると思う。いろいろな条件から考えて、北九州地域が全国的レベルでほかより特別すぐれているとは思えない。
しかし、人材というソフト面に注目してみると、北九州地域の将来には大きな可能性がある。もともと、この地域は、この地域は教育には熱心であり、今でもそうなのである。行橋市の稗田には、幕末から明治にかけて幾多の俊秀を生んだ村山仏山の学塾水哉園があったし、豊津には小笠原藩の藩校もあった。一時期、行橋の行事に外国語学校が開かれたこともある。そうした伝統を受けて、この地域では教育熱が高く、大学進学率も全国的なレベルで非常に高いと思う。この教育熱心さを利用して、北九州地域を人材養成基地となるようにもっていけば、二十一世紀に向けて大きな展望が開けてくる。
私は、将来北九州地域を香港やシンガポールのようにしたいと思う。つまり、豊富な人材の養成基地であるとともに、最先端の情報発信基地となるようにしたいのである。香港やシンガポールでは、その国土の狭さにもかかわらず、国際企業がひしめき合い活気に溢れている。
なぜかというと、大きな理由の一つは、それを支える人材が豊富に供給されるからである。国際企業が人を雇用しようと思えば、男女問わず英語を話せ、コンピュータが操作できる候補者が大勢要る。それに、国際ビジネスについての規制も緩やかなので、ビジネス・チャンスにも恵まれている。欧米企業を中心に国際企業が仕事をしやすいと感じるのは、当然の成り行きなのである。
北九州地域の多くの人々が英語を話せるようになり、コンピュータが操作できるようになるというのは、今は突拍子もないことのように聞こえるかもしれないが、二十年、三十年かけてやれば、夢物語ではない。もしそうなれば北九州地域は、人材養成という意味で日本の最先端の地域になろう。そのようなことを考えている地域は、今のところ全くないからだ。そのときには、北九州地域は香港やシンガポールのように、国際企業がひしめく活気に満ちた地域となる。街並みや人々のファッションは一変するであろう。
このためには、大学をはじめ外国語、コンピュータ技術を教える専門学校など各種教育機関を充実する必要がある。単に英語やコンピュータだけにとどまらない。社会福祉士とか不動産鑑定士など各種の資格取得のための機関もおおいに歓迎だ。
こういう教育機関は、別に都会でなければということはないので、京築や田川地区に人里離れたところでもよい。むしろその方が、勉強の効率は上がるかもしれない。施設の充実と上手なPRがあれば、全国から学生を集めることができると思う。
また、地方の人は学校に行かなくてもテレビで勉強するとか、サークルで楽しみながら学ぶとかいった習慣をつけるようにし、お互いに向上するように努めることが望ましい。子どもでも、パソコン通信で外国人と語り合うという時代である。大人にできないはずがないと思うのだ。
ただ、あわてる必要はないので、ゆっくり着実に皆で少しずつ二十一世紀に向けて、北九州地域を世界に誇る人材養成基地にしたいと思う。