○《現金給付について》
前回(政調全体会議:4月6日)の会議でも話したが、私は現金給付のやり方が政権の命運に関わるはずだと言ってきた。
そうした中で給付のあり方についてダメだと思っていたところ、最後の土壇場で安倍総理が一律給付にしたのは良いことだと思う。ただ、公明党が10万円というなら、私がこれまで主張してきた通り、自民党は20万円にしたら良いではないか。また、支給方法について一番早いやり方は、本日より始まったマスクと一緒に指名型小切手の配送がベストだと主張してきた通りで、何れにしろ少しでも早く届くようにして欲しい。
○《全体のマインドを準戦時体制に》
全体の頭を切り換えていくことが必要だ。IMFはコロナウイルスに対する見えない敵との戦争と言っているが、緊急事態宣言を出した以上は、準戦時経済体制に入ったと捉えるべきで、市場メカニズムは効かない。そのような時に政府は、対応する経済計画を立てて、ある部分には規制を行い、その代わり資源の割り当てを柔軟に行って誘導していくしかないと考える。日本の場合は強制力がないので、経済的インセンティブを設ける必要がある。そのためには、企業にしろ個人にしろ休業したら動かないということが、損をしないというように思わせなければいけない。それには、休業補償、端的には少なくとも人件費、家賃等を含めた経費を全部面倒をみるくらいの規模感が必要で、個人については現金給付を重ねていかなくては上手くいかないだろう。そして、出口においては、デジタル化の進展とかマイナンバーカードの活用など将来にプラスになるような方向に持っていくべきだと考える。
○《真水で100兆円規模の経済対策》
一番大きな問題は、補正予算における真水の規模感というのが全く議論されていないということだ。前回私は5月までに終息するという前提で、GDPが減る分の、真水の50兆円が必要だと言ってきた。ところが、それで終息する気配もなく、むしろワクチンができるまで今年いっぱいかかるとも言われている。そうすると100兆円以上GDPが消失すると考えられるので、少なくとも100兆円以上の基金、あるいは予備費をもって様々なことに対応できるようにしなければならないだろう。その100兆円については、国債を発行すれば良い。例えば、7年物の国債を100兆円発行したら、今金利がマイナス0.114%だから8000億円のおつりがくる。なぜ実行しないのだろうか。準戦時体制、戦時中に戦力の逐次投入は一番いけない。やるなら一気にやるべきで、それができるかどうかが、今回の勝負の分かれ道だ。
最後に国会議員の歳費等を削るという話があるが本末転倒の議論で、コロナ対策のなんの役にも立たない。一方で、回復期にこれは悪影響を与えるだろう。今やるべきは、所得が落ちてしまっている人たちにはその分を埋めてやること、所得が現にある人についてはそれを維持することが大事。そうしなければ回復するときに需要のもととなる原資がなくなってしまう。そういう意味では、経済理論的には今そのように減らしてしまっては将来に禍根を残すことになるのではないか。精神論ではなく経済論理的に物事を考えなくてはいけない。とにかく規模感を積んでしっかりと対応することが大事であろう。(以上)